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夫婦で営むモンスターファーム~目指せ、まったりスローライフ~  作者: 三田 白兎
1章 ペットが飼いたいので、VRMMO始めました。
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93話 魔力樹の枝と樹液




桜の花弁

レア度:2 品質:中

サクラトレントの頭部から落ちた桜の花弁。

押し花や料理の飾りとして使用される。


魔力樹の枝

レア度:2 品質:中

地面から魔力を吸い上げ体に貯めると言われているサクラトレントの枝。これを素材として作った武器は魔法との親和性が高くなる。


魔力樹液

レア度:2 品質:中

トレント系の魔物から採取できる樹液。非常に甘いため、これ単体で食べる者は少ない。

少量だが魔力を含んでいる。




 ふぅー、と俺は大きく息を吐き出す。無事品質が中の魔力樹の枝を手に入れたからだ。

 これでまた手に入った素材の品質が低かったりしたら、どうしようかと思ったよ。


 それとさっき倒した奴からは手に入らなかった素材が今回はドロップした。魔力樹液、少量だが魔力を含んでいる。か……これは低級マジックポーションの素材になったりしないかなぁ。見習い錬金本のレシピの素材とは別だけど、この鑑定結果を見ると使えそうな気がするんだよね。おいしいポーションみたいにオリジナルのレシピで錬金術を使うことはできるんだし、あとで確かめてみるか。


 俺がしばらくドロップアイテムとにらめっこしていると、隣にいた妻から声がかかる。


「どうだった?」


 どうやら結果が気になって待ちきれなかったみたいだ。興味津々といった感じで、俺のアイテムボックスのリストを覗きこんでくる。


「今回は焼いてないし、闇魔法で穴も空けてないけど」


 前回のドロップアイテムの品質が低かったのは十中八九火魔法のせいだ。しかし、妻は闇魔法でサクラトレントを貫いたからだという可能性も考えていたらしい。1番火力が高いのは闇魔法なのに、どうして他の魔法を使ったのかと思っていたのだがそういう理由だったのか。


「無事、品質:中だったよ」

「おぉー! やったぁ~、これで満足できる杖の素材が手に入ったよ! ハイト付き合ってくれてありがと!!」


 妻が弾けるような笑顔でこちらを見る。


「いつも俺の装備ばかり優先しちゃってるからね。このくらいはしないと」


 俺は盾も鎧も、武器だって更新できるタイミングで変えてきた。だが、妻は未だに防具は普通の皮製だし、武器も初期の頃NPCの武器屋で買ってきたものだ。流石にこの差を放置するわけにはいかない。これを機に現状最高級の装備を手に入れてもらおう。


 それにね、君の笑顔を見れたんだから俺は十分に得をしているんだよ。流石に口に出すと恥ずかしいから言わないけど。


「それは前に出るハイトの装備を良い物にした方が負けないからだよ! 別に大好きだから、ゲームでも死んで欲しくないとかそういうのじゃないもん」


 ゲームでも死んで欲しくないって、そこまで思ってくれていたのか。だったら、これからはより一層死ねないね。エリアボスと戦うときは今まで以上に下調べをしよう。


「リーナは優しいね。じゃあ、死なないようにがんばるよ」

「別にそういうのじゃないってばっ……でも、死なないようにはして欲しい」

「うんうん。わかったわかった。それじゃあ、とりあえずフェッチネルの中に入ろうか。ログアウトするために安全な場所を見つけないといけないからね」


 恥ずかしさからか顔を真っ赤にする妻。これ以上つつくと可哀想なので、話題を元に戻す。


「……うん。まだ強制ログアウトになるまで時間はあると思うけど、余裕はあった方がいいもんね」


 手に入れた素材をアイテムボックスにしまい、俺たちは街道沿いに足を進めた。


「お前たち、止まれ!」


 石でできた街道は真っ直ぐにフェッチネルの入場門へと繋がっていた。歩いていた俺たちが門の前に行くと見張り番がいて、止まるように指示を出された。


「はい、止まりましたよ」


 素直に従い、尚且つ敵意はありませんよと両手を上げる。


「よし、それでは身分証を見せろ。我らがフェッチネルには身分の不確かな者は入ることを禁じられている」


 たしか初めて話したNPCの赤いバンダナおじさんによるとファーレンの場合は身分証がないと町に出入りが少し面倒になるだったか。

 対してフェッチネルの場合は入場禁止と。規模がデカいだけあって、出入りの規制も厳しいようだ。


「ギルドカードでも大丈夫ですか?」

「あぁ、構わない」


 よかった。ダメって言われたらどうしようかと思ったよ。他に身分証なんて持ってないんだよね。


「では、これで」

「私のはこっちです」


 俺たちは門番に従い、それぞれのギルドカードを見せる。


「うむ。確認した。問題ないので、通ってよし!」

「ありがとうございます。それじゃあ――――」


 無事、入場許可を得た俺たちは地方都市フェッチネルへと足を踏み入れるのだった。




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