5.洗脳
莫大な音と共に、光が灯る。
また何処かで爆音が鳴り響いた。
「……、全て、壊れてしまえばいい。消えてしまえばいい。」
記翔はぶつぶつと呟いていた。
能力を貰ったあの日。
信じ難かったが、きちんと能力が使えるようになった今は便利なものであると確信している。
あの日、あの少女がくれた能力。
僕が復讐を果たすには十二分すぎる能力であった。
__望むもの全てを破壊することの出来る能力。
少女はそう言った。
何度も爆破音は鳴り響く。
それらは無論、記翔が仕組んだ物だ。
ルカを助けなかったこの世界を、
僕から全てを奪っていったこの世界を、
__僕は絶対に許さない。
その一心だ、全てを壊すまで止まらないであろう彼の意思はとても固いものであった。
もう元の形すら残らない街々を更に追い討ちするように壊した。
__、愉しい。
記翔は実に愉快だと思った。
無力だった僕らを助けなかった人間。
そんなクソみたいな奴ら、助けなくていいだろう。
はは!最高だ、ルカは見てるかな、
僕がルカの分まで彼奴らに仕返ししてやるんだ。
暫くすると壊すものも無くなる位に全てを破壊してしまった。
__あーあ、面白くない。
記翔はぼそりと呟いた。
壊す事を愉しみ始めていた記翔は、神から見放しを受けていたようだ。
そんな事に気付くはずもなく、ふらりと次の破壊物を探しに出るのであった。