4.改変
「……」
僕の中に存在するルカが、僕に優しく語り掛けているような気がした。
__ごめんね、
と。
何も謝る必要などありはしない。
ルカは、何も悪いことはしていない。
謝られる筋合いもない。
この世界を、幾ら恨んでも恨み足りない。
__。
いつかの夢の中に出てきた、あの少女が脳裏を過った。
__願えば何だって出来るんだよ、
そう言っていた、白髪の少女。
願えば。
はは、実に馬鹿馬鹿しく、非現実的な話である。
幾ら願えど、叶わぬ夢はある。
例えば、今。
どれほどルカを生き返らせたいと望もうが、世の中の条理、生き返らせることは不可能である。
__復讐する事なら、
もしかしたら、叶うのではないか。
ふと、頭に浮かんだ悪魔がそう呟く。
ルカがそれを望まないとわかっていても。
僕はそれを望んでしまった。
それが叶えられるとは思わずに。
実に馬鹿馬鹿しい話だと思っていた。
叶えられるはずがない、そう思った故に願ったのだ。
いつかの夢に出てきた少女は、今度は夢ではなく現実世界へと出てきていた。
思わず、目を擦り、頬を抓りとしたが、どれもそれが現実であることを証明しているばかりであった。
「願えば、いくらでも叶えられるの。」
凛とした声が響いた。
鈴が、からころとその音を響かせるように。
まるで夢のよう。
少女が僕へ手を翳すと、
「能力を授けてあげるよ。…君の願いを叶える、能力をね。」
青い光が僕を包んだ。
__が、何も僕の容姿が変わることも、中身が変わることも、無かった。
ありうるはずが無い、その一言で片付けてしまっては、自らの前にいる青い光を発光する少女が説明がつかなくなってしまう。
「望めばなんでも手に入る。…、それは、凄いことなんだよ。望めど手に入らないものはあるからね。」
少女はそう笑い、どこかへ消えていった。