妹
期待しちゃ駄目。
俺は変だ。
俺には二つ下の妹がいる。
血は繋がっている。
俺はその妹が好きだ。
勿論、兄妹としてではなく、異性としてだ。
妹はそんな事には全く気付かず、兄である俺に接している。
俺は自分の気持ちを抑えて、兄として妹を一生守り続けようと決めた。
それが一番だと思ったから。
妹に恋人が出来たら、俺など必要ないだろう。
一生は守れないだろう。
せめて、恋人が出来るまで、守りたい。
それだけは許して欲しい。
兄の最後のわがままだと思って。
いつも通りの朝。
妹が喋りかけてきた。
「今日、一緒に学校行かない?」
俺は嬉しかった。
例え、妹にこの想いが伝えられなくとも、今この瞬間を大事にしたかった。
「いいよ。」 そう答えた。
妹は嬉しそうにして、朝食を食べていた。
それを見ているだけで幸せだった。
妹と登校。
一年半ぶりだった。
一緒に登校しなくなった理由は覚えていない。
何を話せばいいのか?分からない。
妹は隣を歩いている。
兄妹と知らない人が見たら、恋人に見えるかもしれない。
そんな事を考えてしまって、余計話せなかった。
結局、登校中一度も妹と話さなかった。
話せなかった自分を悔やんだ。
多分もう、妹は俺とは登校しないだろう。
何も喋らない俺ではつまらないだろうから。
あっという間に学校が終わった。
家に帰りたくなかった。
そんな気分だった。
原因は妹だが。
そんな事で友達を誘ってゲーセンに行った。
何も考えず遊んだ。
遊び終わった頃には夜遅かった。
家に帰った。
親にいろいろ言われそうだったので、部屋に逃げた。
ドアをノックしてきた。
ドアを開けると親ではなく妹がいた。
取り敢えず、部屋に入れた。
妹が座った。
俺も座った。
少しの間沈黙があった。
俺にはものすごく長く感じた。
そして
「私、好きなの。」
誰が?
「お兄ちゃんのことが好きなの。」
世界が止まった気がした。
「兄としてじゃなくて、男の人として。」
そう続けた。
妹が俺のことを?
ここで俺は自分も妹が好きなことを言える。
でも、それでいいのか?
それが、妹のためなのか?
血の繋がった兄妹が恋人になっていいのか?
いや、良くない。
多分、親は猛反対するだろう。
俺か妹を遠くに行かせるだろう。
なら、俺がとるべき行動は…。
「冗談はやめろ。」
冷たく言った。
「ごめんなさい。」
妹は部屋から飛び出していった。
これでよかったんだ。
これで…
涙が溢れてきた。
俺は久し振りに泣いた。
次の日、妹は首を吊って自殺した。
俺の判断は間違っていたのだろうか?
俺は最善の選択をしたはずだった。
分からない。
何がいけなかったのだろうか?
俺は妹を守るはずだった。
守ると決めた。
なのに、俺は守れなかった。
この世で一番大切なものがなくなった今、生きる意味がなかった。
そして、俺は…




