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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

拝啓 お祖父様。この世紀末と化した世界を僕はネタの能力で生きて行きます。

作者: はーと♪

お久しぶりです、時間にゆとりができ始めたので書きました


 吹き荒れる強風、その風に飛ばされる人々。極め付けは、ビルや住宅、道路の舗装や電柱等を破壊して街を暴れまわっている怪物達。


 今、僕は目を疑ってしまうような、非現実的な光景を目撃していた。


 ♪〜♪〜♪〜〜〜〜♪〜〜〜〜〜♪


「ん?もう朝か。起きたくねぇー」


今日もいつもと変わらない眩しい太陽の光が、カーテン越しに差して来て、僕の脳を覚醒させてくる。


 「りょーたろうー、いつまで部屋にいんの!早く起きな!」


一階から僕の清々しい気持ちをぶち壊してくるような声が二階の自室まで響いた。


 

 

 僕の名前は、辻 涼太郎 男盛りの18歳だ。今日は金曜日で明日は土日と言うだけあって、登校する5日間のうち1番はやく時間が流れる日だ。


 今日もいつも通り6時半に起き、迅速に朝飯と制服に着替える作業を終えた。


 僕の通う高校は市を跨がないといけない為、早起きしないと学校に遅刻してしまうのだ。


 「母さん、時間だからもう家出るねー」


 聞こえているかは定かでは無いが、一言だけ発して学校に行く。これが僕の日常だ。


 あ、やべぇ電車に間に合わないかも。僕は全力で自転車をこいで駅へと向かった。


 結果から言えばギリギリ間に合った。だが駅員さんに睨まれてしまった。


 はぁー、怠いなぁ。朝でこれだけ疲れたら学校終わった時とかどれだけの疲労が溜まっている事やら。考えたくもない。


 「はぁ、はぁ、はぁ・・・あ、空いてるな」


 なんとか空いていた座席を見つけて僕は腰を下ろした。朝から疲れた僕は、睡眠不足のせいもあってか眠かった。


 僕は1度寝てしまうと中々起きないと自分でも理解している。


 そのため上から僕の瞳を隠そうと落ちてくる瞼に、必死に抗っていたのだが、電車の揺れの後押しもあり寝てしまった。


 「あ、まずいぞ。寝てしまった!」


目を覚ますと、そこには同じ学校の制服の人は1人もいなかった。いるのはピシッと決まったスーツとワックスで髪を固めたサラリーマンばかりだ。


 そして、電車が止まっている場所は僕が通学のために利用する駅だ。しかも朝に僕のことを睨んできた駅員さんもいる。


 冷静に僕は考えてみた。


 「あれ?俺一往復した?」


やってしまった、寝過ごして一往復してしまった。今の時間は9時だ、とっくに1限目が始まっているだろう。


 今から行っても着くのは9時半でそこから歩いて9時45分ぐらいか。しかも、学校に着いた後も担任からのありがたい指導が入るだろう。


 うちの高校はとても校則やらなんやらが厳しいのだ。自称進学校にあるあるのやつだ、本当にうざい。


 ウォォォォォォォォ!!!



 僕の心の中の悪魔が目覚めた。僕は良い子では無いのでもう家に帰る事を決意しホームを抜けて自転車に跨り朝来た道を引き返した。


 こんな爽快な気分はいつぶりであろうか。


 中学校でいつも叱ってくる体育教師に反抗した時ぶりか。

 

それとも今は亡き祖父と一緒に苦労して1から育てた野菜を食べた時ぶりだろうか。


 

 僕はとにかく全力で自転車を走らせていた。途中途中で近所の人に異物を見るような目で見られたけど気にしない。


 僕はとにかく気分がいいんだ!!何が来ても怖くないぜ!


 ん?なんだ?このキラキラ光るダイヤみたいな物。高く売れそうだし持ち帰るか。


 そんなこんなで自転車を走らせ十数分後に、家に着いた僕は早々に母さんにこっぴどく叱られていた。メチャ怖い。


 なんで寝るんだ〜、やら なんで帰って来たぁ〜、等だ。

その中でも特に酷かったのが、 なんでお前は天パなんだ〜

である。


 てか、これに関しては全く関係ないし、理不尽の極みであった。てか産んだの貴女でしょ、と言いたかったが火に油を注ぐだけなので口を噤んだ。


 

 10分後、言いたい事を言い終えたのかやっと母さんはリビングに帰っていった。


 ったく、やっと嵐が去りやがったぜ。さ、部屋に行って寝っ転がりますか。


 僕は木製の扉を開けて、自分だけの世界へとやってきた。

やはり1番落ち着く。誰にも邪魔されずにやりたい事をやれるというのは素晴らしい事だ。


 そんな時僕の世界に干渉してきた奴がいた。


 ピコンッ!


 そんな機械音が僕のポケットから僕にケンカを売って来る。


 上等である。誰だ?僕の世界に干渉した奴は?僕は勢いよくスマホに顔を近づけて顔認証でロックを解除した。


 見ると、メッセージは僕の友人である たっ君 からであった。


 たっ君はぼくの1番の友人で、いつも僕をいじってくるクラスメイトだ。クラス内のカーストのトップでもある彼は人気者だ。


 ちなみに僕のクラスメイトからの評価は イキリト である。


 解せぬ。ただ僕が不良に絡まれた時に気づいたら、周りに不良達が倒れていたのを話しただけなのに・・・。


 そんな事より、たっ君からのLINEだ!彼はズル賢くていつも禁止のはずの携帯を学校で弄っている。僕には真似できない芸当だ。あっぱれ


 内容の方はごく普通にあるたわいも無いものであった。

 

 「おーい、なんで休んだ?」


 それに僕はありのまま話した。なんだかんだ彼は信用に値する男だ。口は堅い


 「電車で寝過ごして時間がアレだったし、めんどくさいから帰った」


 それに対しすぐに既読マークが付いたものの、飽きたのか既読無視されてしまった。とんでもない男である。


 と、こんなやりとりをしているうちに外から強風が吹き始め、家に風が叩きつけられる音や、近所の家のバケツが転がる音などが、聞こえはじめた。


 流石に異常だと感じた僕は慌ててテレビををつけ、この状況を理解しようとした瞬間にそれは起きた。


 ドゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!


 「 は? 」


 あまりにも大きな揺れに対して僕はなす術がなく抵抗すら許されぬまま床に地面に身体を打ち付けた。


 と、そこで帰り道拾ったダイヤ見たいなものが頭に降ってくるのが視界に映った。


僕は慌てて頭を守ろうと試みてみるが、いかんせん対応が遅くダイヤが頭に直撃してしまった。


 そして、そのダイヤがニュッルっと頭に刺さった気がしたが気のせいだろう。  


 そして風も弱まったので家の外に避難する事にしたが、そこで僕は後悔する事になる。


 玄関の戸をスライドさせると、そこには目を疑ってしまうような非現実的な光景が広がっていた。


 強風や地震での被害はもちろん凄かったのだが、その中でも特に異質だったのが大きな穴がポッカリと空いていた事だった。


 水道管や下水管が埋められている空間が地震によって地盤沈下したものならまだ分かるが、その穴はデカい。


 今見ている家の場所から穴まではゆうに1キロは離れている。その距離からでも大きく、そしてハッキリと見える穴だ。


 そしてその穴を凝視していると何かが蠢いているのが分かった。


 そこに1人の人間が近づいていった。


 まずい、絶対にその穴は何かおかしい!!


「今すぐその穴から離れるんだ!」


僕は思わず叫んでいた。だが、この距離から聞こえるはずもなく、その人間は歩みを進めていた。


 そんな時だった。


 ドゴンッ、バンッ!!!


 穴の中にいた"何か"が大量に出て来た。その数は数十ではきかず、数百はいるのではないだろうか。


 しかもどいつもこいつも、武装らしきものをしていて姿形は、よく世界の神話に登場するような怪物達に酷似しているものも居た。


 しかも1番体高の低いやつでも3mはあるしまつ。こんな奴らにとっては人間は餌でしかないだろう。


 僕はあいつらの目の前にいる人間でもないのに、明確な死を意識してしまった。


 そんな時。その化け物達が爆発を起こした。辺りを見回してみると、空に自衛隊の戦闘機が飛んでいた。


 「よしっ!そのままやってやれ!」


僕は声を出して喜んだ!これで奴らは数を減らしただろうと考え束の間、煙が晴れ現れたのは無傷の化け物共だった。


 怪物のうちの一体が、空を飛んでいる戦闘機に気付いた。


 その怪物は膝を曲げ、顔を俯けた。側から見てもそれは力を貯めているようにしか見えなかった。


 刹那、目視もできないほどに跳躍しその戦闘機にビンタをかまして墜落させてしまった。


 絶望感で僕は目の前が真っ暗になった。


 その間に、あの化け物達は動きだし、道路の舗装や電柱、ビルや住宅を破壊し始めた。


 もうダメだと思ったら瞬間に希望が穴の付近から広がっていった。


 僕は目をやると衝撃的な光景に口が閉まらなかった。あの人間が生きていた事にも驚いたが、1番はあの人間、いやあの人から真っ白な光が溢れ出していたのだ。


 その光に触れた怪物は体がドロドロに溶けていたり、その場から逃げだしたりしていた。


 だがその人は、その怪物達が逃げていった方向に向けて腕を振るった。


 刹那、ありえないほどに大きな光が全てを覆い包んだ。


 しばらくして光が収まると、その怪物達は一体もおらず、残ったのは壊れたビルや住宅地、道路。そしてそのひとだけだった。


 その人を僕は夢中でみていたのだが、突然その人が消えたのだ。


 僕は目を擦ったがやはり居なかった。僕が不思議がっていると後ろから肩を掴まれた。


 正体は母さんだった。そういや母さんも一緒に家にいたのだった。


 「あ、母さん生きてたんだね。」


「当たり前じゃない、だってお母さん勇者だよ?」


は?何言ってるんだ?、この母親は。


 聞き間違えじゃなかったら勇者とか言ってたけど、まじ?


 「あ、信じてないでしょ?あの怪物消したの母さんなのよ!」


え?あれウチの母親だったのかよ!!頭がテンパっている。天パだけにね!


 いや、つか勿体ぶらずに最初から早く光だせや?そしたら被害大きくねぇだろ。


「まじか、てかそれならもっと早く倒せんかったの?」


「いや、異世界から帰った時に封印されたら力が急に解放されて戸惑ってて遅くなっちゃたのよ」


いや、ビックリ発言しかして来ないのだが。何回ドギモ抜かれればいいんだよ。


 はぁ、僕は取り敢えず自分を落ち着かせようとした瞬間にまた爆弾発言が飛んできた。


 「てかアンタも何か能力とかないの?私は目の前に現れたダイヤに触れたら使えたんだけど、あんたは何か見たり触ったりしてないの?」


ふぁっ!?心当たりしかないんだが・・・


えー、とりあえず何か言ってみるか。


 「オープン!!」


 すると頭に何か文字が浮かんできた。


          イキリト


は?イキリトってなんだよ。最悪だ、もうー


 はぁ、嫌ダァァァァ


 「え?あんたイキリトって何よ?プッ絶対弱い能力でしょ」


この母親めぇ、絶対に勝つ。



 俺はイキリトでこの世紀末と化した世界を生き抜いてやる!



 


 


 

 


 



 


 



 

 


 


 

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