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翌日、部活があった。楽器が終わり春休みに入って部活の時間は大幅に増えた。そして同時に、俺の自由な時間も、大幅に減る。
「今日は、午後からか。一日の後半に部活があるのは嫌だな。まあもう慣れたけど。」
俺は、午前8時に起きて、2時間のハリウッド映画を見て、その後昼食を食べて、片道45分の学校へ向かった。学校に着くと、午前中は中学生の試合で、監督はそっちに付きっ切りだったから、高校の練習前半を見に来なかった。
「よっし、キタコレ今日は楽だぜK。」
俺は、いつも通りKと話した。
「なんか今飯食ってるらしいから、もうちょっとしたら来るよ。どんまい。」
そいつはちょっとニヤニヤしていた。
「ふざけんなよ。フルコース食っとけ。」
その日の練習は、とっても楽だった。監督は、たまにこういうことがある。とてもラッキーだ。
「こういうふうに思うのなら、やっぱり俺はバスケが好きじゃないんだな。」
その日の練習は、レギュラーチームばかりが動いていて、俺はほぼ見学だった。そしてそのまま部活が30分ほどで終わろうとしていたとき、監督が、
「今日はなんだか調子がいいな。あと一時間延長だ。用事があるやつは今のうちに帰っていいぞ。」
俺はその瞬間、コートに目をやった。レギュラーと準レギュラーが対戦形式で練習をしていた。
「まずい。こっちはもう完全に冷え切っているっていうのに、ここで誰かが帰ったら恋歌いさせられることに...」
その俺の予想は、見事に的中し、俺はコートに入った。
「はぁ。マジかよ。まぁせいぜいレギュラーの練習台にすらならないようにはするか。」
俺は、そのあとの一時間、必死にバスケをした。レギュラーがDFの練習をしていたため、こっちはずっとバスケの楽しい部分のOFだった。そして一時間のみの上に、交代も入ったので、ある程度の休みが取れた。
「なんだろう、この気持ち。」 「つぎは俺がこっちに走れば、あいつはこっちに来るから...」 「よし来た、シュートだぜ!」
そう。実は、バスケが楽しくなってきてしまった。