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009(回想。ニコルという男)

「ニコル? どういう状況? 訳が解らないわ」

「お嬢様。殺人犯の逮捕劇です。このタツヤという男は、私の恩人を轢き殺しました」

「ええ!? 更に解らないわ」

「君か。娘のサムにカジノホテル、マードックへ連れていかれた孤児というのは」




――20年前の冬、ニコルの両親はギャンブルでスッカラカンに負けて、ニコルを質屋に捨てた。当時まだ5年しか生きてない、幼子だった。そして、マイケルの娘のサムが買い取り、寄り添い、豪傑と知られる福富カンサイの元へ連れていった。


 泣きじゃくるニコルに、カンサイは諭す。


「お前の両親は死んだも同然だ。私の甥にあたる夫婦に娘が産まれた。ミヤビと名付けたそうだ。その子を守れるように鍛えてやる。それがお前の生きる道だ」


 ニコルはまだ泣きじゃくる。しかし、サムはホッとしていた。ニコルが豪傑に認められたからだ。


「ニコル君、大丈夫よ。大丈夫だからね」

「うわーん!」

「今は泣け、ニコル。涙が渇れるまで」




――ほどなくしてニコルは、カンサイが経営する総合格闘技道場で鍛え抜かれた。ニコルが産まれて10年経った頃、従者としての心得を学ぶ。15年経った頃になると、カンサイ所有のサーキットで運転技術を習い始めた。ニコルは涙が渇れていた。


 ニコルとミヤビお嬢様は幼馴染みの様に成長した。そして、ニコルが産まれて18年経つと、正式に福富家の従者として雇われる。




――ミヤビお嬢様の二十歳の誕生日1週間前、サムはタツヤが運転する車に轢かれて殺された。タツヤは焦った。


「俺が捕まったら、会社は倒産する…………人気はない道路だ。車は湖に捨ててしまおう」


 タツヤはサムの指にキラリと光る物を見付けた。20カラットのダイヤモンドだ。


「手数料だ。頂き!」


 タツヤはサムの遺体を車のトランクに積める。


「うっ…………」


 サムはまだ息があった。しかし、タツヤは車ごとサムを湖に遺棄した。




――そして、現在。タツヤは拘束されたまま、勝負を継続される。


 ミヤビお嬢様は71億円、マイケルは80億円、タツヤは100億円。


「捕まってもいいから、俺の勝ちな。危険運転致死は10年で出てこれる」


 警察官の1人がタツヤに告げる。


「道路交通法違反じゃないよ? 殺人事件だよ」

「何でだよ!?」

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