007(20カラットのダイヤ)
ニコルとミヤビお嬢様、タツヤはガソリンスタンド風の建物で、マイケルを待つ。
「逃げたか。福富家のお嬢様、サシでやるか?」
「後5分、待ちましょ」
ニコルはマイケルが来ると確信している。あの男だ。
すると、コォーーン! と乾いたナチュラル・アスピレーションのエンジン音が聞こえてきた。
ガソリンスタンド風の建物に横付けされる。ダッジバイパーだ。ロングノーズ、ショートデッキ、曲線で作られているフォルムは最早芸術。
バイパーから降りてきたのは、マイケルだった。役者は揃った、いよいよ金持ちのプライドを懸けた戦いが始まる。
マイケルが先陣を切る。
「遅れて悪かったね。あのバイパーは1億円だよ」
「オッサン、携帯電話で査定額を見せてくれ。本当に1億円の価値があるか」
「ズルはしてないよ」
マイケルは携帯電話で査定額を見せる。ウェブを通じて、車の査定をして、金額を弾き出す。マイケルのバイパーは1億円ジャストだった。
「次は、俺の番だ。これを見ろ」
タツヤは自社株の時価を見せる。20億円だ。
「やるじゃない。でも所詮は小金持ち。ニコル、私の誕生日プレゼントを」
「御意」
ニコルは他の従者に指示を出す。屈強なセキュリティポリス2人がデカイ壺や水差し等の高級調度品を運び入れる。金銀プラチナ、ルビー、サファイア、ダイヤモンドがあしらわれてる。
タツヤは偽物じゃないか携帯電話の鑑定アプリで調度品を調べる。本物だ。
20個の調度品をミヤビお嬢様のバックに置いた。トータル18億円。
すかさず、マイケルは動く。
「私の不動産登記だ。時価20億円」
タツヤは20億円、マイケル21億円、ミヤビお嬢様は18億円。
「ニコル、どう思う?」
「いやはや皆さん、本当にお金持ちですね」
「そうだ! ニコル。私は二十歳になったのだし、お酒が飲みたいわ。コンビニで適当に買ってきてちょうだい」
「御意」
ニコルは指示された通りに、近くのコンビニへ歩いていく。ガソリンスタンド風の建物から100メートル程の所だ。
ニコルはビール、チューハイ、赤ワイン、白ワイン、ウイスキー、日本酒等、数種類のお酒を買う。
ニコルに電話がかかってきた。ミヤビお嬢様からだ。
「ニコル〜。タツヤって男が勝つかもしれないわ。20カラットのダイヤモンドを隠し持ってたの」
「対処します」