005(それぞれの準備)
タツヤは明日の決戦に向けて、準備をする。カジノホテルのスイートルームで。自分のIT企業の株式でタツヤの保有率は51パーセント。時価20億円だ。しかし、タツヤは勝ちを確信できなかった。タツヤは部下に連絡して、他の会社の株式もどれくらい保有しているか、確認させる。それと貴金属を集める。指輪、ネックレス、アンクレットまで。
マイケルも別のカジノホテルで作戦を練る。あの男だ、間違いない。マイケルは自分が保有している不動産登記とジュエリーショップの売上を届けるように部下に伝えていた。マイケルが泊まってるのは、下層のスタンダードルームだ。
ミヤビお嬢様は特に何もしなかった。明日は誕生日だ。世界中のお友達セレブからプレゼントが届くだろう。ミヤビお嬢様はワクワクしてる。
夕食でミヤビお嬢様は父のトキオと母のエヒメに勝負事を打ち明ける。ミヤビお嬢様の両親はたいそう喜んだ。ギャンブル、勝負の世界で生きる覚悟を感じ取っていた。しかも、勝つ見込みのある戦い。大勝負で負ける戦いをしてはいけない。ミヤビの妹、シナノは目を輝かせながら、話を聴いてる。ミヤビの兄、キンキはニコルを懐疑的に視ていた。
ニコル以外の従者数人は、大慌てでミヤビお嬢様へのプレゼントを検品していた。そして、いつ渡すか、どこで渡すか。悩んでいたところにニコルが来て、段取りを教える。多くの従者達は、驚きと伴にミヤビお嬢様の勝ちを信じて行動に移す。しかし、中には負けたら、プレゼントが他人の物になってしまうのかと、心配する従者もいた。
ニコルはミヤビお嬢様の勝ちを信じている。ニコル自身が提案した賭け事。勿論、公算はある。しかし、IT企業の社長と得体の知れぬ外国人が相手だ。ニコルには考えがある。
ニコルはメイドルームで食事を摂る。福富家専属シェフの賄い料理だ。
ニコルは片付けて、食器を厨房に返す。
「ごっつぉうさん。美味かったよ、シェフ」
「おおう…………ニコルか」
ニコルはメイドルームに戻り、ダイレクト感応システムのVRゲームをプレーする。椅子に座ってるだけで、仮想の中では歩いたり走ったり出来る物だ。全て脳波でコントロールする。ミヤビお嬢様の父、トキオが作り出したシステムだ。
ニコルは2時間ほどプレーして、7万円を稼いだ。ゲームの腕は超S級。そして、眠りに着く。