021(とにかく、道連れ)
ニコルはまず建物の物陰に行き、スナイパーライフルを構える。…………スパン、スパン。ニコルは2体キルした。360度見渡す。斜め左後ろに、敵を4体発見する。すかさず手榴弾を投げた。ボン! 4体をキルする。
ニコルは目を疑った。ミヤビお嬢様が両手にアサルトライフルを持ちながら、突撃して敵をキルしまくる。
『ヤバい奴が来るぞー! 逃げろー!』と誰かが叫ぶ。ミヤビお嬢様の事だ。
ニコルはミヤビお嬢様を無視して、建物の屋上に行く。先客が張り付いていた。ニコルはアサルトライフルに持ち換えてキルする。ここは狙撃をするのに良い場所だが“賞味期限”は短いだろう。ニコルにキルされたプレーヤーは、また戻ってくるはずだ。
ミヤビお嬢様はやりたい放題だ。ハイになってキルしまくる。レーダーに映る敵影にアサルトライフルを2丁で無敵状態。本来の対人レーダーの役割は狙撃手が、背後を取られないようにするための物だ。ミヤビお嬢様は数十発も被弾しているが、ヘッドとハートには当たってない。時間差でダイになるまで、リロードを繰り返し、撃ちまくる。
ニコルに乱射音が近付いてきた。ニコルは階段の方を向き、アサルトライフルを構える。パッと現れたのは、ミヤビお嬢様だった。
「ニコル! いざ勝負!」
「御意」
ダダダダ! ダーン! ニコルは胴体に被弾したが、ミヤビお嬢様をヘッドショットして一撃死にした。
「ニコル、やるじゃない。これなら、世界大会優勝も夢じゃないわね」
ニコルとミヤビお嬢様は復活する。
「お嬢様、空爆をするので屋内に隠れてください」
ニコルはサブメニューを操作すると、ブラックバードが飛んできてミサイルを数発撃ち込んでいく。
「30キル1ダイ、充分だわ。ニコル、ログアウトするわよ」
「御意」
ニコルとミヤビお嬢様は、ログアウト手続きをして現実世界に戻ってくる。
ニコルの腕時計型ウェアラブル端末にメールが入っていた。差出人はゼータだ。ニコルはメールのやり取りをする。
『お嬢様の戦いぶりを見せてもらった。あの勇気はどこから湧いてくる?』
『あれが深層心理なのでしょう。とにかく、道連れです。テロリストの気があるのかもしれません』
『日本が銃社会じゃなくてよかった。世界大会の正式発表後にまた連絡する』
『了解です』