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第2章、011(涙のダブルバイセップス)

――数日後、ベガスシティでボディービル大会が開かれた。福富カンサイ主催のものだ。華やかな舞台で、ポーズを決めるボディービルダー。まだ予選だが、すごい熱気だ。ミヤビお嬢様も観戦に来ていた。ニコルを従えて。


「5番の男、いいわね」

「5番の方は、ハワード様ですね。去年のファイナリストですよ」

「へえ〜、実績はあるのね。ハワードって何人?」

「アメリカ人です」


 ミヤビお嬢様はワイングラスを傾けて赤ワインを一口飲み、歓声を上げる。


「5番、キレてるよー! フロント・ダブルバイセップスを決めてー!」


 ハワードはミヤビお嬢様の歓声に応えるように、正面を向き、上腕二等筋を見せ付ける。白人なのに真っ黒に日焼けし、鍛え抜かれた身体は正に鋼の鎧。


 ハワードがリア・ダブルバイセップスを決めた時に、『キャー!! 人が死んでる!』と叫び声がホール内に響き渡った。


 辺りは騒然となる。ある者は警察に通報し、またある者はテロだと思って会場から脱出し。どうやら、死体は壇上の袖にあるようだ。ミヤビお嬢様は死体の所へ歩いていってしまった。ニコルは制止しようとしたが、ミヤビお嬢様は振り切って行った。数人の参加者が死体を取り囲んでいる。


「事件ね? 私が解決するわ」

「お嬢様、まだ事件と決まった訳ではありません。それに鑑識が来るまで現場保存です。皆さん、警察官が到着するまで動かないでください」


 殺人事件だとしたら、犯人はハワード、他3人の参加者と死体を発見した女性司会者。死んでるのはボディービル大会参加者の4番、ロジャーだ。


 数分で現場に警察が到着した。早速、鑑識が検死を行う。刑事は事情聴取をする。


 新米の刑事はまず、ミヤビお嬢様から事情を聞く。


「お嬢ちゃん、名前は? どこから来たの? ワイングラスなんて持って優雅だねえ」


 スパーン! と新米刑事は上司に頭を叩かれる。


「バカもん! 福富家のお嬢様には敬語を遣え!」

「えっ…………。すみません! すみません!」

「いいのよ。誰だってミスはあるわ」

「はっ!」


 しかし、ミヤビお嬢様は重要参考人になってしまった。亡くなったロジャーからアルコールが検知されたからだ。ロジャーの死因は脱水症と急性アルコール中毒。お酒を持っていた、ミヤビお嬢様が疑われている。

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