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6話:ドラゴン討伐

ここで短編の第二部は終わりです。

 「この街のピンチですか?」

 「うむ、ドラゴンがここに向かっているとかで……」


 ギルドマスターのヴィクターはこの世の終わりのような顔を見せる。あの手紙の内容はこの件だったらしい。


 「ドラゴンぐらいAランクの冒険者がいれば何とかなるのでは?」

 「無理だ……ドラゴンといっても飛竜……報告によるとガンドラという個体なんだ……」

 「なるほど……それはヤバイかもですね」


 確か前にAランク冒険者十人を葬り、Sランク冒険者三人で討伐したという記録が残る上位ドラゴンだ。


 「そこでSランク冒険者に要請をしたんだが世界に六人しかいないSランク冒険者は都合がつかないんだ……」

 「それはそれは……」


 そんなのを倒せばSランクまったなし。

 これは大チャンスだ。


 「ソロでやりましょうか?」

 「な、なんだって!?」

 「それは流石に危ないですよ~」


 横で聞いていたアニマも止めに入る。


 「やらせてください、そして勝ったらSランクにしてくださいな~」

 「いやまぁそれはガンドラ倒せばSランクなんざ余裕だが……」

 「あなたは今やギルドの希望……王国や学校からもなるべく特別待遇をなんて要請がきてるのよ~」


 まぁ魔法教育や魔法師団養成の為に一役買っていたし当然か……でもだからって私を縛る権利はない!


 「ならアニマ、私に同行して。もう一人私の連れと合わせて三人で殺るわ」

 「えっ……えぇぇぇぇ~」


 アニマが飛び上がる。


 「そ、そんな私じゃ……」

 「なら二人で行こうかしら」

 「わ、わかりました……いきますぅ~」

 「というわけでいいかしら?」

 「構わんが危険だと思ったら引き返してほしい。俺も行きたいがこのギルドがある……すまんが任せた!」



 ◇



 一週間後、早速ガンドラが羽休めをしている洞窟へ向かった。同行したのはアニマとカリムだ。


 「中々神秘的じゃない~」

 「何そんな喜んでるんですか!」


 久々に骨のあるのと戦えるしテンションがアゲアゲだ。前世の魔法学校で序列三位だった男からドラゴンについて聞いたことがあった。


 「ドラゴンは知能が高く人の言葉も理解するんだ。そして強き者に敬意を払う生き物でもあるんだ」

 「じゃああなたクラスだとドラゴンとも肩を組むわけ?」

 「そうだな、基本的に俺と対峙すると大半は向こうからは襲ってこないな。奴らは強い個体と知能が比例し、相手の強さに敏感になる。ティアマトという神獣クラスの奴と対峙した時は、流石に命を懸けて認めてもらったがね」


 ティアマトというのは竜の中では最上位種の一角で伝説とされる竜だ。人の身でそんなに認められたこの男に驚いてしまう。


 「確かあなたは竜王にも会っていたわね。それでティアマトとも?」

 「そうだな、あの方の計らいで戦うことを許してもらった。俺同様校長の教え子だったのもあって特別にな。でもその時教えてもらったが、上位個体の定義は人の言葉を理解し竜人になれる竜のことを指すらしい」

 「つまりそうでない個体は上位ではないと?」

 「そう、今この学校で十席以内にはいるお前でも、上位個体じゃなければ問題なく殺れるということだ」


 そんな話をされてドラゴンを討伐に参加した。もしガンドラが前の世界での上位ドラゴンでなければ……


 「ついたわ」


 洞窟の最奥部、上は空洞で空につながるその場所の真ん中でドラゴンが眠っていた。大きな翼と黒い肌……中々強そうだ。


 「本当だ……」

 「ヒッ……」


 今にも騒ぎそうな二人の口を塞ぐ。


 「駄目よ……声を出しては……」


 二人を大人しくさせると早速準備に取り掛かる。バリアを二人に貼り危害が加わらないようにする。


 「二人はここに」


 自分に補助魔法をかける。このまま高位魔法で不意打ちをしてもいいが、それじゃあつまらない。


 「サンダーショック!」


 寝ているガンドラに不意打ちを当てるとそのまま目を覚ます。


 「いくよ!」


 浮遊魔法を発動し宙に浮かび上がる。


 「あれは浮遊魔法!」

 「凄い、私も見るのは初めてです」


 ガンドラが起き上がり対峙する。


 「すぐ終わらせる……」

 「カオスドライヴ!」


 第六位階魔法で対象の周りに混沌の渦を回転させる魔法だ。


 「ワイルドボルト!」


 第五位階魔法だ。続いて昔教えてもらったこの技を実践する。


 「エアロバースト!」


 そう、無詠唱のまま魔法を連続で放つ高等技能……連続魔だ。今の世界で使っている者を見た事ないが、それだけ凄い技ではある。

 前世の学校ではこれを習得しなければ上位になどいけなかった。


 「何であんなに連続して魔法を……」

 「凄い……僕もいつかそこに……」


 ガンドラもやられっぱなしではない。ブレスを吐きこちらを爪で切り裂こうとする。


 「オーロラシールド!」


 全ての属性攻撃に強い耐性を持ちながら物理攻撃にも耐性を持つ第六位階魔法だ。ブレスと爪攻撃の両方を防ぐ。


 「なるほど……」


 これでわかった……この竜は上位種ではない。あっちだったらこれは中の下程度に過ぎない。


 「ならあれを使うまではないか……」


 勝てないようなら使う予定だったがあれは必要ない。


 「そろそろ終わりにしましょうかメガフレア!」


 第七位階の魔法の中ではポピュラーな広域殲滅魔法。それより上の超人達が使う八位階より上の魔法には劣るがこの相手にはこれで十分だ。


 「あれはメガフレア……」

 「伝説の大魔法を無詠唱……やはりあなたは凄すぎるわ……」


 メガフレアを直撃しよろけたところで空に一度上がる。


これで止めだ!


 「魔法剣!」


 あの第三位に教えてもらった、剣などの殺傷武器に魔力を纏わせその魔力から様々な力を付与する技。剣に魔耐性がなかったり、鈍らだと持たないが少しなら持つはずだ。


 「これで終わりよ!」


 この鈍らに出来るだけ魔力を込め水の力を付与する。ガンドラは炎属性の竜……水の力は効果抜群のはずだ。


 「いけぇぇぇぇぇ!」


 剣はそのままガンドラの心臓部を切り裂くと、うめき声をあげ倒れた。


 「私の勝ちね……」


 すると持っていた剣が砕けた。


やはり本物の魔剣でなければこれは使えないわね。その調達もしないとだ。


 「アンナさん!」


 カリムとアニマがこちらにやってくる。


 「凄いです!凄いですよ!」

 「フフッ、大したことはないわ。あんな中位種の竜相手じゃこれぐらい当然よ」

 「何を言ってるんですか!ガンドラ倒すとか英雄ですよ!Sランク確定ですって」


 これでSランク。

この程度の竜を狩るだけでSランクとは……この世界はどうなっていることやら。


 「素材を回収して戻りましょう」

 「はい、言われたあれ持ってきました~」


 素材なんかを回収するアイテム袋の特注品だ。ギルドマスターから借りてきたのだ。



 ◇



 その頃ドラゴンの噂が流れたこの街だが少年の姿をした男が立ち寄っていた。


 「竜か……もしここまできたらワシの出番か……」


 そんなことをぼやきながら馬車が道の脇に挟まっているのが目に入った。


 「あれは……」


 馬車を持ち上げようと奮闘している若い青年とお腹を膨らました女性がいた。


 「しょうがないか……」


 近づき魔法で場所を持ち上げた。


 「君は……」

 「たまたま目にはいってのう、気にするな」


 そのまま行こうとした時妊婦が崩れかけた。


 「むっ……」


 倒れそうな妊婦を抑えお腹を守る。


 「メリダ!」


 そのままその地べたに座らせる。


 「お前、汗を拭け」

 「う、うん!」


 汗をふき治癒魔法を付与する、おそらく近いのだろう。

 

念の為に確認するか……


魔法で中の胎児の拍動を確認する。


 「むっ……」

 「ど、どうしたの?」


 おかしい、胎児の拍動がないいや今衝撃を与えたわけでもないしどういうことだ。


 詳しく調べるか。


 魔法を用いて中の気配を察知する。これだけ大きいし中で息をしていなかったら危ない。


 「おかしい……」


 やはりおかしい。中に子供の気配どころかその体すらもない……これはただ膨らんでるだけだ。


 「どうしたんだい?」

 「これは妊婦のフリか?この娘の中に子供などいないぞ!」

 「えっ……」

 「どういう魔法か知らんが思い込んでいるならそう伝えてやる事だな」

 「そんなバカな……」


 どうやらこの青年の目からして芝居ではなさそうじゃな。この娘も演技というわけではあるまい。本当に思い込んでいるのかもしれない。


 「とにかくワシは嘘はつかん……それじゃあな」



 ◇



 討伐から三日ほど経ったが、報告を受けた時のギルドマスターはビックリ仰天だ。Sランクへの昇進も決まり、王都にあるギルドにて正式に受理される。他のSランクの六人が集まるとのことで行くことになった。


 「というわけで二週間ほどあえなくなるけど精進を怠らないように!」

 「はい!帰り待ってます」


 帰ってきたらまたデートをする約束をしたし、この二週間待ち遠しいだろうな。


私も楽しみだ。


 「アニマもAランク目指してちょうだい。私パーティ変える気はないから」

 「は、はいです~」


 アニマとカリムと一緒にパーティを組む日もそう遠くはなさそうだ。二人に別れを告げ王都へ向かおうと馬車に乗り込んだ。


 「とうとうSランクか~」


 思ったより早く到達できたがまだまだだ。

今度はこの世界のこともっと詳しく調べないと。


馬車に乗り街を出ようとした時だった、


 「止めて!」


 馬車を止め一旦出る。そこにはジムが立っていた。


 「ジム?……」

 「アンナ……」


 ジムはそのまま私に抱きついたのだった。


次は新しい話です。

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