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PHOENIX SAGA  作者: 鷹野霞
プロローグ
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船中模索

≪経験の蓄積により、『走行』を習得しました≫

≪スキルLvの上昇により、敏捷値が上昇します≫

≪経験値を獲得しました≫


 ねんがんの、『走行』スキルをてにいれたぞ!


 ……いやはや、長く苦しい道のりだった。

 走っては歩き、走っては歩きをひたすら繰り返し、たまに上昇するスタミナを確認して走る歩数を増やす。

 ……4時間以上甲板をぐるぐる回っていたようで、気が付けば日が暮れて、辺りは一面真っ暗になっていた。


 繰り返しているうちにスタミナが上昇する切っ掛けも判明した。

 恐らくは現SP最大値の十倍のスタミナを消費すること。検証としてSPを満タンから枯渇状態までもっていくのを十度繰り返したらアナウンスが響いたので、間違いないと思う。

 

 途中でステータスに、『SP自動回復』なる数値が現れていた。一秒間にスタミナを1ポイント回復する仕様らしく、そのあたりから随分と楽になった。


 さて、前置きが長くなったが、現状のステータスを確認してみよう。



   ●



プレイヤー名:コーラル

種族:人間   Lv:0   戦力値:1

HP:20/20

MP:0/0

SP:54/54


攻撃:5

防御:5

技量:5

敏捷:10(↑5)

魔力:5

抵抗:5

SP自動回復:5/sec

地形特性:中庸の民

保有スキル:走行Lv1


Exp:4



『走行』

類別:フィールド 関連ステータス:敏捷

走行時のスタミナ消費を5%軽減する。

走行速度が上昇する。



   ●



 ……我ながらやりすぎた感がある。


 特にスタミナの上がりっぷりが凄まじい。この調子で上げていったら、最終的には1000の大台を超えるのではあるまいか。

 そしていつの間にか敏捷値が初期状態から5も上がっている。


 ……ううむ、半日前の2倍の速さを出せるというのか。実感がわかないし違うと思う。多分、ステータス0の状態があって、そこから加速していくイメージなのではないか。

 走っているうちに慣れたのか体の違和感もかなり薄れていた。これなら上陸してからも不自由なく冒険生活を送れそうである。


 ―――最初は無駄だったようにも思えたものの、結果を得ることに成功した。

 俺はやり遂げたのだ。


 清々しい達成感に満たされて、俺は船縁の手すりに腰掛けた。航海さなかの海は既に闇に包まれ、夜空には満天に星が広がる。まるで俺を祝福してるみたいだなーと馬鹿みたいなことを考える俺は、今間違いなくランナーズハイだ。

 

気が抜けていたのだろう。日の暮れた周りに誰もいない船上。鍛錬上がりの疲れ切った身体。……本来なら船室に戻って他のプレイヤーと雑魚寝でもするべきだった。


 ―――ふっと、気が遠くなる

 不可解な眠気が押し寄せ、一瞬平衡感覚が失われた。そして、


「……あ、やば―――」


 空転する視界。肝の冷える浮遊感。

 悲鳴を上げる暇もなく、俺の身体は夜の海に真っ逆さまに落ちていった。


 心構えすらできていなかった。口と鼻から海水が入り込み、むせ返ろうにも息ができない。

 どうにか浮かび上がろうと海中でもがいたが、冗談のように手足が重い。55もあったはずのはずのスタミナは5秒程度で底をつき、身体から活力を奪うに留まらずあっという間にHPを侵食し始める。


 ……30秒。それが俺が船から落ちて溺死するまでの時間。

 すでに手足は、諦めたようにびくびくと痙攣を繰り返すのみである。



≪経験の蓄積により防御値が上昇しました≫

≪レベルアップしました。任意のステータスに2ポイント加算してください≫

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