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主役は僕(ワタシ)  作者: ティる
主役は僕(ワタシ) 1
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どうしてこうなった…4

手錠を吹き飛ばし早くなる鼓動を抑えるため深く息を吸う。

改めて周りを見る。

あの時ギターケースを担いでいた男は二人、そのうちの一人は今無力化したがまだもう一人がいない。

同じ型のデバイスがもう一つどこかにあるはずだ。

すると上の階から発砲音がした。

急造だが防御用の結界を張り銃弾を弾く。

その間にしっかりとした結界をもう一枚貼り奇襲に備える。

さらに銃声のする場所に向け魔術を発動させる。

光の爆弾が爆発し二階のフロア一帯から眩い光が溢れてくる。

これで二階にいた強盗たちは一時的にだが失明状態にすることが出来た。

順調に強盗を無力化している瑞樹だがその顔はより険しいものなり呼吸も荒くなっていく。

「はぁはぁ、はぁ」

その時一枚目の結界が破られるのを瑞樹は感じた。

(来た、もう一つの…ライフル型デバイス!)

立て続けに放たれるデバイスからの魔術弾。大型のデバイスのためかなりの威力があり一発ごとに結界が揺らぐ。

恐らく先ほどと同じ手は通じないだろう。

瑞樹はそう判断し先ほどとは違う、攻撃型の魔術を発動。

瞬間、魔術弾の嵐が止み男の苦しむ声が聞こえてくる。

氷雪系魔術、アイスフラワー。小さなタンポポの綿毛のようなものが触れた場所から少しずつ凍結させていくという魔術だ。

それによりデバイスを握る手を凍らせ無力化したのである。

「はぁ、はぁ…これで終わったかな」

完全に銃声もならなくなったので一息つこうとした瞬間、瑞樹の頭の中に「バケモノ」という言葉が浮かぶ。

思い出したくない過去の記憶。

少しずつ目の前が真っ暗になっていく。

―いやだ、いやだ、いやだ。見ないでくれ僕をそんな目で見ないで…。僕はバケモノなんかじゃない、みんなを助けるために全力だっただけなんだ。

立っていられなくなりその場に崩れてしまう。

「だ、大丈夫ですか!?」

先ほどまで貼り付けにされていた彼女が引きちぎられた服で胸を隠しながら

駆け寄ってくる。

彼女の一言でどうにか立てるくらいまで意識を取り戻したので少しふらつきながらも立ち上がり返事をする。

「助けるつもりが助けてもらってありがとうございます、よかったら肩をお貸ししますよ」

ありがたいが瑞樹はそれを断る。

「大丈夫だから心配しないで。それより後始末だけお願いしてもいいかな?」

正直この後の事後処理をするだけの体力が残っていないし何より魔術師としての免許を今は持っていない。

彼女はAランクの科学魔術師のようだし後始末は彼女に任せた方がいいと判断したからだ。

「はい、わかりました」

彼女はそういうとひとまず破けた服の代わりを取りに行くと言って奥へ走っていった。


「…ただいま」

トラウマのせいで頭が痛く魔術がうまく発動できない状態ながらもなんとか飛行魔術で自宅に帰ってきた瑞樹はケーキを冷蔵庫に入れそのまま自室へ行く。

途中楓とすれ違い何か言われたような気がするがその言葉が頭に入ってこない。

部屋に入りそのまま崩れ落ちる。

そのまま保っていた意識から手を放し闇の中へ落ちて行った。

翌日、昨日の夜から何も食べていないのでいきなり食べず軽く済ませシャワーを浴び男物の制服に袖を通す。

やはりこっちの方が落ち着く。

「おはよう…、おねにぃ…」

眠そうな声で楓が起きてくる。

「おはよう、楓。僕はもう行くからちゃんと戸締りしておいてね」

そういって僕は靴を履き外へ出る。

外に出ると綾人が待っていた。

「よ!おはようさん」

「おはよう、綾人」

挨拶をかわしいつものように飛行魔術で学校に向かう。

このときばかりは瑞樹もデバイスで魔術を発動させる。

その道中、綾人が心配そうに尋ねてきた。

「お前の妹さん、あの事件に巻き込まれなかったか?」

そう聞かれ一瞬、頭が痛くなるが平然とか答える。

「大丈夫だったよ、楓は僕と違ってしっかりとした科学魔術師だし」

「それもそうか、それにしても見たか?その事件の記事」

「まだ見てない、朝はちょっと時間がなくて」

そういうと綾人はポケットから端末を取り出しサッと操作して画面を出すとこちらに差し出す。

飛行魔術が干渉しないように注意しながら受け取り画面を見ると『ランクA相当の魔術師、お手柄』と書かれた記事があった。

「これって、いわゆるネットの掲示板ってやつだよね」

「甘く見るなよ、そのサイトはかなり信憑性の高いことしか書かないからな。そんなことより読み進めてみろよ」

綾人に言われた通り読み進めていくと昨日の少女の写真が写っていた。

さらに読み進めていくともう一つ写真が。

それを見た瞬間ぞわっとした。

そこに映っていたのは瑞樹(女の子バージョン)だったのだ。

「一枚目の子はこの学園の1年、この前話していたSランクに近いと言われている少女『紗倉さくら しおり』だとよ。んで二枚目の子はまだわからねぇんだけどこの子が解決に導いたって話だ。」

「へ、へぇ~そうなんだ~」

背中に嫌な汗が流れる。

もしばれたら…そう考えるだけでぞっとする。

「それでその子、データベースにもまだ乗ってないからいろいろな憶測が飛び交ってるのよ。帰国子女でまだデータベースに乗ってないだけだとか国が秘密裏に作った対犯罪組織の一人だとか」

そういいながら綾人は指を折っていく。

「もういい、わかったって」

綾人に端末を返すため数えるのを中断させ手渡す。

結局学園に着くまで綾人はこの話題で話を続けていた。


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