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主役は僕(ワタシ)  作者: ティる
主役は僕(ワタシ) 1
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どうしてこうなった…3

周りの視線がすごく気になる。

普段絶対に気にならないのだが今だけはすごく気になってしまう。

そんな突き刺さるような視線を受けながら瑞樹は建物の中に入る。

持ってきたチラシをみてフェアの場所を確認してエスカレーターに乗る。

向かい側から降りてくる人たちにじろじろと見られすごく気持ち悪い。

目的の階まで上がりフェアの場所に向かって歩く。

その途中でガラスに映った自分を改めて見る。

いつもより白く透き通った肌、背中まである髪、そしてロングスカートを履いた姿。

(…ホント、これが自分だとは信じたくない)

今の瑞樹はどこからどう見て女性だった。

あのあと、楓に無理やり化粧から着替えまでさせられてしまい家から蹴りだされてしまった。

さらに鍵まで掛けられてしまい『ケーキ買ってくるまで入れると思うな!』と言われてしまった。

仕方なくこの格好で来たのだが…。

(足がすーすーしてすごい変な感じ)

絶対見えないようなロングスカートなのにどうしても不安になってしまう。

早く買って帰ろう。そう決めて歩き出す。

歩いていると前からギターケースを持ってる男たちが歩いてきた。

近くでバンドのイベントでもあるのだろう。

それにしては随分と周りをきょろきょろしている気がするが気にすることではないので無視してそのままケーキフェアの会場に向かった。


「ありがとうございました~」

瑞樹はケーキを片手に会場から出てきた。

流石は全国のケーキが集まっているだけのことはあった。

見たことのないケーキが数多くあったのでお金の許す限りで買い漁った。

満足げに歩いていると後頭部に何か硬いものを当てられる。

「動くな、声もあげるんじゃねぇぞ」

突然の出来事に慌てそうになるのを必死に抑え後頭部に当てられた者を予想する。

デバイスにしては随分と冷たい。

恐らく拳銃なのだろう。

そんな分析をしていると手錠をつけられ腕の自由を奪われる。

「そのままホールまで歩いてもらおうか。抵抗は無駄だからな」

言われた通りおとなしく一階のホールに向かうと同じように手錠を掛けられた人々がいた。

「これであとはあの会場にいる奴らで終わりか」

「もうじき来るだろうよ。っと言ってたら来たみたいだぜ」

男たちにつられて視線をそちらに向けると先ほどのケーキフェアの会場にいた人々が手錠をつけた状態で歩いてきていた。

恐らくこの男たちは強盗でこのデパートにやってきたのだろう。

どうやって外と連絡を取るか…周りを見渡し隙が無いかを探す。

(とはいっても、この人数じゃ隙なんてなさそう)

男たちは見えただけでも20人以上いる。

これだけの人数に監視されていたらとてもじゃないが動けない。

完全にお手上げ状態だ。

ここは警察が来てくれるのを待つしかないと思っていたら強盗の一人が吹っ飛ばされ壁に激突した。

「おい!!てめぇ!!何してやがる!!」

突然仲間が吹き飛ばされ怒りをあらわにする強盗。

そんな中手錠を魔力の爆発で破壊し立ち上がる一人の少女が答える。

「何って、見てのとおりあなたたちを逮捕するのよ」

そう答えると同時に少女は左右のふとももに付けた拳銃型デバイスをそれぞれ抜き先ほどと同じように強盗を吹き飛ばす。

基礎魔術、魔力弾マジックバレット。基礎の魔術のため殺傷力は低いが多彩な用途が可能な魔術だ。ただ成人男性を吹き飛ばすほどの威力を出すにはデバイスでは難しいはずだが…。

「ふ、ふざけやがってー!!」

三人目が飛ばされると男たちは一斉に少女に向けて発砲する。

それらすべてを左右のデバイスで交互に魔術を発動させ弾丸を止める。

同時展開ができない科学魔術でここまでの弾丸をすべて止められるなんてなんて展開スピードなんだ。

弾が切れた奴から飛ばされていく。

あと5人というところでどこからか放たれた魔力弾で少女の左手のデバイスが飛ばされてしまう。

あまりに突然の出来事で彼女は立ち尽くしてしまう。

それがいけなかった。無防備になってしまった彼女に魔力弾が放たれ男たちと同じように壁まで吹き飛ばされる。

「っぁ」

声を上げることもなく倒れこむ少女。

「おいおい、こんなのがA級科学魔術師なのかよ。がっかりさせるなよ」

そうして現れたのは大型のライフル型デバイスを担いだ男。

その男は瑞樹が先ほどすれ違ったバンドのメンバーの一人だった。

なるほど、あの時周りをやたらと気にしていたのは強盗をするための下調べだったわけだ。

そしてギターケースにはあの大型デバイスが入っていたというわけか。

男は少女のもとへ歩いていき再びデバイスの引き金を引く。

少女は再び壁に飛ばされ貼り付けにされる。

「ははっ、無様だな科学魔術師のお嬢さんよ。しょせんランクは数値だけだな、戦い方が雑すぎる。」

「-っ」

少女は先ほどの威勢はどこにもなくただ俯いていた。

「おら、さっきまでの勢いはどうした?もう手も足もでねぇってか」

それはおかしい、先ほど見た実力ならあの程度の魔術から抜けられそうだが…

すると男がにやりと笑う。

「なるほど、お前さっきまで強がってたが男が苦手だな?なら男に慣れておかないといけないよなぁ」

そういうと男は彼女の服を乱暴に引きちぎる。

あらわになる豊かな胸。白く透き通った柔肌。

「い、いや…やめ、て」

先ほどまでの強気な少女からは想像もできないほど弱弱しい声。

しかしそれは逆効果だったのか男はさらに笑いながら手を伸ばす。

あと少しで触れるというところで残っていた五人の強盗がすべて同時に吹き飛ばされる。

「な!?まだ居たのか!?」

デバイスを構え直そうとしたが突然右側から来た衝撃に耐えられず左側に吹き飛ばされる。

そうして目の前に少女の目の前に現れたのは腕に手錠をされたままの瑞樹だった。


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