第二話
「やぁお嬢ちゃんたちかわいいね!お兄さんと一緒にお茶しなーー」
「あ゛?」
「ーーくていいですしつれいしましたさようならー!」
町に戻り、キズナがまずはじめにしたことはイノリたち美少女組に群がるナンパの排除だった。
今ので通算5人目、どれもキズナのにらみで逃げて行った。
「ありがとうございますキズナさん」
「…快適」
「進行を邪魔されないっていいですねー」
アイリたち三人はたまに被害にあっているのか、キズナに礼を言っている。キズナとしては妹に群がる屑どもを消し去るためにやったことなのだが…。
「まぁお兄ちゃんのは過保護がはいってるのもあるかーー」
「ねぇねぇそこのかっこいいお兄さん。そんなちびっ子たちのお守りなんかやめて、私と楽しくあそばーー」
「は?」
「ーーないですよねしつれいしましたごめんなさーい!」
イノリがキズナのシスコンを説明しようとしたとき、今度はキズナがナンパされたのだが、イノリが対応していた。
ちなみにこれは3回目である。
「…イノリも似たようなものだよね?」
「…類は友を呼ぶ」
「なかよしですねー」
アイリたち三人は、それを見て密かにイノリのことをブラコン認定していた。
「さて、それじゃなにしよっか」
「はいはいはーい!」
いったん町の中央広場にもどり、何をするかと相談しようとしたとき、ココが手を挙げた。
「はいココちゃん」
「武器作りたいです!」
ココが提案したことは生産活動をしたいというものだった。
「ふむ、ほかに何かある人ー」
イノリがほかの3人に尋ねたが、3人は首を横に振るだけだった。
「それじゃいこっかー」
イノリは4人を連れて生産する場所へ行くことにした。
「はい、ここが生産する場所、工房だよー」
イノリは工房と呼ばれるところに4人を連れて行き、生産活動について説明をする。
生産は、専用のアイテムまたは、工房を借りて行うのだという。
「ほんとは素材は自分で持ってこなきゃいけないんだけど今は私が持ってるからこれあげるね」
「ありがと!」
そういってイノリは武器制作に必要な素材をココに渡した。
「それじゃさっそくやってみる!」
そういってココは、生産活動を始めた。ウィンドウを開いていることからチュートリアルを受けているらしい。
「さて、ココちゃんが終わるまでどうしよっか」
「どれくらいかかるんだ?」
「わかんない」
「あちゃー」
「…だめじゃん」
まさかのいつ終わるかわからないという宣言に、アイリとユナが頭を抱える。
「それじゃぁ…私たちも生産活動する?」
「…なにするの?」
「なにしようか…」
そしてまた頭を抱える。
そして、がばっとイノリが頭をあげた。
「そうだっ!お兄ちゃん料理教えて!」
「お?おれか?」
キズナを指さして言う。
キズナとイノリの家は両親が共働きでほとんど家にいない。
なのでキズナが朝昼晩の食事を作っているのだ。
「そう、YEOには食事のシステムはあるんだけど今は多少のステータスアップするだけなんだ」
「ふむ、それで?」
「どうせそのうち満腹度とかいうシステムが追加されそうだから今のうちに料理スキルを取得しときたいの」
「なるほど…」
キズナとしてはいつでも俺が作ってやると言いたいところだが、ゲームでいつも一緒にいるというわけにはいかないだろう。
「わかった、いいぞ。二人はどうする?」
「うーん、まぁ、どうせ暇ですしね。やります」
「…花嫁修業」
キズナとしても断る理由はなかったので了承し、アイリはしぶしぶ、ユナはやる気満々という感じで参加した。
そして料理するスペースを借り、食材は先ほど狩ったボアの肉をつかう。調味料は使い放題のようだ。
「んー…なに作るか…あ、米とパンも使い放題なのな…あ、カレールーあんじゃん」
「カレーで決定だね!」
カレールーを見つけた時点で、カレーを作ることを決定した。
肉と野菜切って火を通して煮込むだけ。簡単だと思い、3人にも指示を出してやってもらうことにした。
…が、
「ア、アイリ?」
「…ナンデショウカ?」
「これ、ジャガイモだよな?」
「…ソーデスヨ?」
アイリが皮をむいたジャガイモはこぶし大の大きさだったのが一口大になっていたり、
「うーん、めんどい。よいしょぉ!」
「イノリ!?危ないから包丁全力で振り下ろさないでくれ!」
「でも切れたよ?」
「まな板ごとね!?」
肉がなかなかきれなかったイノリが包丁を両手で持ち思いっきり振り下ろしてまな板ごと両断したり、
「~~♪」
「あ、君は手際いいのな」
「…おかしいですか?」
「…いや、この流れで君もと思った俺がおかしかったんだろう。ごめん」
「…いえ、あれはしかたないです」
2人と違って手際が良かったユナを疑ってしまい、謝罪したりした。
そんなこんなで、
「できたー!」
「デキマシタ」
「…できた」
「ほいおつかれさん」
カレーが完成した。
「ただいまですー」
それと同時にココも帰ってきた。
ちょうどよかったのでココに試食してもらった。
「ではいただきまーす…ふむ、ジャガイモが一口大で食べやすいですね」
「あ、あはは…」
「お肉は…結構バラバラな大きさで切ってますね」
「力入れたからね!」
「あとは普通においしいです」
「…どやぁ」
ココのコメントに三者三様のリアクションをしていた。
「それで、ココちゃんは何を作ったの?」
「ん~?えっとね…」
ココはウィンドウを操作し、アイテムをオブジェクト化した。
それは槍だった。
「はい、お兄さんどうぞ」
「え?おれに?」
ココはそういってキズナに金属製の槍を渡した。
「お近づきのしるしということで…」
「なるほど…ありがとう。ありがたくつかわせてもらうよ」
そういい、キズナは槍をウィンドウに入れた。
そして、それから狩りをして、解散の時間となった。
アオイ「アオイです」
キズナ「キズナです」
イノリ「イノリでーす」
アオイ「料理できるイケメンとか死ねばいいのに」
キズナ「直球だな…まぁそれには同意しておこう。完璧な奴とか消えればいいのに」
アオイ「お前だよ!?」
イノリ「お兄ちゃん自覚無いから」
キズナ「ん?なにが?」
アオイ「畜生が、次行くぞつぎー」
兄妹「「次?」」
アオイ「今回二話編成なんだよ…ということで続けてどうぞ!」




