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Your Experience Online  作者: 真田 蒼生
異世界の経験
2/5

プロローグ

時刻は15:58、それまで雑談などをしていた絆と祈は、YEOを始める準備をする。


「それじゃおにいちゃん、私の名前はイノリでそのまんまだから、あとで会おうね」

「了解、にしても名前そのままとは…やはり考えることは一緒だな」

「そだね、それじゃ私は友達と合流するから、お兄ちゃんはチュートリアルをしっかり受けてから中央広場の時計塔まで来てね」

「…うっす」


妹の適当なあしらいに若干傷つきながら、絆はリンカーを装着し、寝転がった。

ネット回線につながなくて便利だ。

そう絆は考えながら、リンカーの起動ワードを口にした。


「リンクスタート」



…気が付くとキズナは大きな広場にいた。

広場の中心には噴水があり、周りにはヨーロッパのような建物が建っていた。


「おぉ…」


その完成度の高さに、キズナは放心する。

そのキズナの周りには似たような反応をしているプレイヤーなのであろう者たちが何人かいる。

しばらくそうしていると、キズナは右手、正しくは右手首に違和感を感じた。

そこを見てみると、真っ黒な腕輪がついてあった。


「…なんだこれ?」


疑問に思い、キズナはそれをつついた。

中央にあるボタンのようなものに触れると、キズナの前にウィンドウが表示された。ウィンドウにはこう表示されている。


『Your Experience Onlineの世界へようこそ。チュートリアルを開始しますか?』

「あぁ、これでウィンドウとか呼び出すのな」


これで腕を振って呼び出すやつだったらほんとパクリだったな。

そう思いながらキズナはチュートリアルを開始した。


『チュートリアル:腕輪の機能について を開始します。』


そこからキズナはYEOでのアイテムの使い方など、基本的な操作を学んだ。

大体の操作はこの右手にある腕輪を使い、ウィンドウを呼び出して行うとのこと、

それらのチュートリアルをこなし、キズナが完全にチュートリアルを完了するとウィンドウにこう表示された。


『チュートリアルをすべてクリアしました。ビギナーズボックスをプレゼントします。』


アイテムボックスに追加されたそれをオブジェクト(実体)化すると、リボンのついた箱が出てきた。触れてみると、『開封しますか?』というウィンドウが表示される。


「まぁ、祈待たせてるし後回しだな」


そう考えたキズナは、それをアイテムボックスに戻し、祈との合流に指定された時計塔を目指すのだった。



「…さて、時計塔についたはいいんだが…」


キズナは時計塔にたどり着き、その前で立ち尽くしていた。なぜかというと…


「人多すぎだろ…」


時計塔の周りは、キズナと同じように友人たちと合流しようとしているプレイヤーたちで、ごった返していた。


「名前はイノリにしたっていってたけど…この中から探せるか?…いや、シスコンの力をもってすればこの程度…」


半ば本気でそんなことを考えていたとき、


「あ!いたいた!」


と言いながら誰かが近づいてきた。

近づいてきているものを見てみると、きれいな銀髪のセミロングに赤いチェックの帽子をかぶり、赤のラインの入った黒いシャツ、そして同じく赤のチェックのスカートとその下に黒のスパッツを穿いた少女がこちらへ駆け寄ってきていた。彼女を注視して頭上にHPバーと一緒に表示されたプレイヤーネームは<Inori>ーー間違いなく、キズナの妹であった。


「写真とれねーかな」


そんな感想を漏らしながら、キズナはイノリが近づいてくるのを待った。

イノリはキズナの近くに行くと、こういった。


「いやー意外と人多かったね。見つけられてよかったよ。お兄ちゃんで…あってるよね?」

「あぁ、そういうお前はイノリであってるよな?」

「そだよ。そんじゃいこっか」

「え?どこへ?」


キズナの手をつかみ、引っ張っていこうとしたイノリにキズナは問いかける。


「ん?私の友達のところだよ」


イノリはキズナの手を引っ張りながらも、そう答えた。



イノリに引っ張られていった場所には3人の少女が待っていた。

イノリはすぐさま、3人を紹介した。


「ええっと、まずアイちゃん!」

「ア、アイリです。よろしくおねがいします」


黒髪ポニーテールの少女が頭を下げる。


「次に、ユナちゃん!」

「…ユナです。…よろしくお願いします」


同じく黒髪のショートカットの少女が頭を下げた。


「最後に、ココちゃん!」

「ココです!よろしくお願いします!」


最後に金髪のロングヘアーの少女が頭を下げた。

そしてキズナも最後に自己紹介した。


「あぁ、キズナだ。よろしく」


ちなみに、イノリ以外の4人格好だが、上は全員質素な長袖のシャツ、下はキズナは長ズボン、彼女たちはスカートをはいていた。


「あ、そうだお兄ちゃん」

「ん?」

「これあげる」


そう言って、イノリはトレードを申込み、以下の装備を渡してきた。


装備名:ブライトコート

部類:上着

概要:混合糸が使われている丈夫なコート。


装備名:ダークジーンズ

部類:ズボン

概要:混合糸が使われている丈夫なジーンズ。


装備名:ライトブーツ

部類:靴

概要:軽い素材でできているブーツ。


「似合いそうだったからベータ時に保管してたんだ」

「へぇ…ありがとなイノリ」


キズナは礼を言いながら受け取り、すぐに装備した。


「それにしても、やっぱり印象違うね」

「ん?なにが?」

「いや、お兄ちゃんが」


髪もさっぱりしてるし、とイノリが言う。

キズナの現在の格好は、先ほどイノリからもらったコートとジーンズを身に着けている。ちなみに、ブライトコートは膝丈くらいのロングコートで白をメインにして青のラインがいくつか入ったもので、上部分は閉じられ、腰のあたりから広がっている。

そしていまいわれた髪のことだが、現実ではキズナは散髪をめんどくさがり、髪は伸びっぱなしで前髪が顔を隠している状態だ。

しかしこちらでは、少しでも明るくしようと髪を金髪にし、髪形も変えて、しっかり顔が見えるようになっている。そして、キズナの顔はイノリと同じく美人といえるくらいには整っている。

いつも前髪で隠されている状態を見ているイノリとしては、劇的ビフォアアフターといえるだろう。

今度散髪させよう。

イノリはそう考えながら、キズナたちにいう。


「さて、それじゃ自己紹介も終わったことだし、さっそく町の外に出て戦闘しよう!」


アオイ「アオイです」

キズナ「キズナです」

イノリ「イノリでーす」


アオイ「ふ、服の描写がぁっ!」(挫折)

キズナ「妹からプレゼントもらったぜヤッホーイ!」(ご満悦)

イノリ「ちょ、お兄ちゃん。恥ずかしいからやめてよ」

アオイ「…ちくしょうが」(怨嗟)


イノリ「それにしてもお兄ちゃん、現実でもしっかり散髪してくれればいいのに…今の時期前髪とマスクで顔が隠れて完全不審者だよ?」

キズナ「いいよ別にこのままで…」

イノリ「いや切ろうよ」

キズナ「いや、金がもったいないし何よりめんどくさーー」

イノリ「--お兄ちゃん、お願い」(完璧な上目遣い)

キズナ「よっし文章拙すぎなアオイ、髪切ってくれ。」

アオイ「任せろ腐れシスコン残念イケメン、スキンヘッドにしちゃる」(バリカン準備)

イノリ「ちょ、それは切り過ぎだからー!」


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