Mission1 When The Devil Appears
やっと始まった!!(長かったぁ)
未熟者ですので、どうもよろしくお願いします。
両親の死亡原因は、交通事故。幼い頃から伯母さんにそう言われて来た。
でも、本当にそうなんだろうか?
伯母さんがそう言う時、彼女の目は嘘をついている。
分かる。目を見たら分かる。
それでも私はこの十六年間、ずっと交通事故だと一応信じていた。
もしかしたら、あまりにも死亡原因が残酷すぎたため、伯母さんが交通事故だと偽っているかもしれない。私はそう思っていた。
でも、と言うよりやっぱりか。
交通事故なんかじゃなかった。
「行ってきます、伯母さん」
私はそう言うと、急いで家を飛び出た。
日は沈みかけていて、住宅街の家が真っ暗になる。
「気を付けてねー、マリア」
背後から伯母さんの大きな声が聞こえた。
伯母さんは優しい人で、よく近所の人を誘ってお茶を飲む。
私は十六歳にしては小さな手で、伯母さんからもらったコインを強く握った。
小柄な体を精一杯動かして、勢いよく走る。
だんだんと街が見えて来た。
私が向かっているのは小さなパン屋さんで、トムというおじいさんが経営している。
今日は伯母さんが特別に、パンを買っていいと許可したのだ。
長い黒色の髪を翻しながら、元気よく走る。
パン屋が見えて来た矢先、力一杯ドアを開けた。
「いらっしゃいマリア」
トムがカツラを急いでかぶったが、バレバレだ。彼は禿げている事を隠している。
「……ぷっ」
「何が面白い?」
トムのずれたカツラを見て、マリアは思わず吹いてしまった。
「なんでもないよ、おじさん」
「おいおい、お兄さんだろうが」
マリアはトムの無理がある発言を無視して、早速パンを選ぶ。
二三個選ぶと、お金を払って店を出た。
「ありがとうね、あとヅラが…」
「ヅラァ!?」
トムの声を聞いて、マリアはクスリと笑った。
テクテクと歩く。
空を見上げると、あと数分で日が沈む頃だった。
『おお、この時間帯は、丘の上の教会が奇麗なんだなー…』
早速丘を駆け上がる。
丘の上には、ボロボロの教会がある。その教会のステンドガラスが夕日色に染まる時、とても奇麗になるのだ。
ボロボロの扉を開けると、ステンドガラスがキラキラと光っていた。
「わぁ…」
マリアはとても感嘆した。
恐らく、彼女が闇の世界に踏み込む前までの、最後の幸せだった。
突然、マリアのこれからの明るい人生を、狂わす音が鳴り響いた。
ギギギ、と。
『これは……扉の音!?』
考えている間に、視線を扉に向ける。
男が、立っていた。
黒いトレンチコートに黒いパーカー、ジーンズという格好。
黒い髪の中には、顔立ちが整った顔。
目は、赤だった。
片手には身丈程もある大剣を握っている。
「___」
マリアは絶句した。
絶句させられたというべきか。
「おい」
男がふいに口を開いた。
「その女に手ぇ出すな」
《お見事。気配を察するとは》
頭の中に、直接鳴り響くような、奇妙な声だった。
戸惑った。
ワケが分からない。
突然男が乱入して、そして謎の声。
「あ」
腰に力が入らなかった。
倒れ込むようにして長椅子に座り込んだ。
「…悪魔か?」
《当たり前。無礼、下等な魔物と同類にするな》
また会話している。マリアは汗を拭いた。
怖い。恐怖が体を襲った。
怖い。
なんだこの男は。
なんだこの声は。
「なぜその女をつけまとう? もしやそのパンか? それとも可憐な容姿か?」
《くくく。違うな。こいつは__》
突然、背中を何か冷たい物が、流れ落ちる感触がした。
体が震える。
《__特別な存在なんだ……》
体の中から何かが離れる感触がする。
「出たな」
男が笑った。
ガガガガガガガガガガガガ!!
キーンキーッン!!
ズギャアアアアオオオオオン!!
ガシャーーン!!
意味が分からない。
マリアは長椅子の陰に隠れていた。
さっき、唐突に「隠れろ!」と言われ、長椅子の影に隠れたのだ。
するといきなり爆音と鋭い音が立て続けに鳴り始め、
所々「ぐっ!」や「くがっ!」など聞いているだけで痛くなる声が聞こえて来る。
バァァンン!!
と爆音と同時に、椅子の向こうがパッ、と明るくなる。
マリアは、涙を流した。
闇の世界に、踏み込んだのだ。
嫌な終わり方ですよね?(笑
次回もお楽しみ下さい。