今年初GⅠ
今週は本当に忙しかった。
仕事はいっぱいいっぱいだし、会議はあるし、バレンタインデーなる「お中元」なイベントもあって、エクササイズをするどころか、化粧を落としてから眠ったのも何回か思い出せない有様、忙しかったという以外の記憶がないというのが正しい。
なので、夕方、七時を過ぎてから、
「ダイヤモンドステークス何買ったの? 俺、あたりそうな気がしたから、五点も買っちゃったんだよね。まだ結果みてないんだけど」
と、しんがり君にいわれたときには蒼白になった。
すっかり日曜日だと思い込んでいた。
金曜日に、駅の売店でちらりと新聞をみたのに。
明日のGⅠに向けて、新聞を買おうかどうしようか迷ったのに。
デルタブルースくんを追いかけているくらい、長距離戦が好きだったはずなのに。
「どの馬券が当たっていても、トリガミ解消なんだよね。ね、ね、結果みた?」
しんがり君のうきうきした声が癇に障った。(二時間後には、結果をみてしょぼんとした声にかわった)。
まったく今週のレースには興味のない振りをして、こっそり結果をみた。メイショウカドマツは買っていただろうけれど、ジャガーメイルは買えたかどうか。参加できなかったことを、神様の采配と思うことにする。
フェブラリーステークスは、しんがり君がみていた出馬表をちらりと見て、
「セイクリムズンとカレンブラックヒルにする」と宣言した。なんとなく。勘。いや、「色馬券」で決まり。
夜中になって、オッズを見てみると、セイクリムズンは三桁の単勝人気。なぜだ。前走ハナ差のガンジスは十倍を切っているのに。斤量から考えても、セイクリムズンのほうが有利ではないか。
年齢か。
オッズに負けそうになるけれども、やっぱりインスピレーションを大切に、その二頭から、三連複を流すことにする。
小倉大賞典は、小回りなら地方出身ジョッキーということで、小牧騎手と、初芝のコウセイコタロウくんからいってみようかと思う。
「馬券の当りがあんなにすごくなくても、税金かかるの?」
もちろん三十五億円の方の話であるけれど、しんがり君が、
「先輩にいわれた」と心配そうにきいてきた。
馬券の払戻金は一時所得に当たるため、払戻金から、その払戻金を得るために投資した金額を引いた分が、特別控除額の五十万円を超える場合は、課税の対象となる。裁判では、はずれ馬券も投資金額とするべきと争っているようだけれど、前の『パドックのこちら側』にも書いたけれど、それこそ、博徒として所得の申請をしてでもいないかぎり認められないだろう。
ワイドか複勝馬券しか買わないしんがり君に関係する話になるには、遠い道のりである。