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新しいスターたち

 金杯は予想する時間がなく、参加に留めた。

 中穴、大穴から本命への三連複を買い、もちろん両方はずれ。しんがり君も、両方外して、

「どっちも当たらないなんて、今年一年恐ろしい」などとのたまわっていたけれど、鼻で笑う。

 そういえば、めずらしく金杯を当てて、焼肉を食べたあと、おかまちゃんたちと騒いで記憶をなくしたことがあったことを思い出した。2010年の京都だったと思うけれど、そのときには回りに競馬ファンが少なく、なぜあの馬券を買ったのかすら思い出せないまま、金杯をとったという名誉など全くわからないメンバーにむさぼりつかれたような気がする。

 などと名誉なような不名誉な記憶をたどっているうちに、

「今年も完敗でした」メールがぞくぞく届く。

 ところが、仕事にいってみると、にやにやしながら近付いてくるスタッフが一人。

「いやぁ、初めてですわ、両方とったの。今年はいい年になりそうですねぇ」

 中山の金杯で、とんとんになり、京都の分で勝ちましたと話す。

 まじですか。

 結局私の周りで金杯をとったのは、彼一人。そのほかに当たった話はきかなかった。

 翌日。

 シンザン記念も、ろくに予想ができなかった。しんがり君はいろいろとネットで調べ予想をしていたようで、

「そういうときはファーストインプレッションがいいよ」ともっともらしい助言をくれた。

 私のファーストインプレッションは、5着7着にしずみ、三連複の相手に選んだ馬たちが掲示板をしめた。きちんと予想できていたわけではないのでたいして悔しくはなかったけれど、久しぶりにレースを見たので楽しかった。助言をくれたしんがり君は、人にはいっておきながら考え抜いた末はずしたファーストインプレッションの馬たちが上位を占めていたのでのた打ち回っていた。

 金杯を両方とったスタッフは、翌日、頭を垂れて、

「シンザン記念ですでに負けに転じました」といった。

「エーシントップには、距離が長いと思ったんです。NHKマイルは絶対に買いません。府中の千六はそんなに甘くない」といっていたので、私もそう思うけれど、天邪鬼なので押さえておこうと思う。

 私は紐にエーシントップを押さえていたのだけれど、それは血統をみたわけでも、人気だったからでもない。昨年のリーディングジョッキーが騎乗していたからだ。

 しばらくみないうちに、リーディングの顔ぶれも随分変わったものだと思う。上位の平均年齢もぐっと低くなったのではないか。顔と名前が一致しない騎手もでてきた。

 これではいけない。

 シンザン記念の勝利ジョッキーインタビューをみながら思った。浜中君は、こんなに男前だったのか。しかし、うーん。娘の五歳上か……

 私に金杯の勝利をもたらしてくれたライブコンサート号も引退した。私の引退も近いか。

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