プロローグ
競馬観戦には年齢制限はありませんが、未成年の勝馬投票券購入は、法律で禁止されています。
ナリタブライアンが三冠馬になった年、それが私の競馬を始めた年である。
そして、『パドックのこちら側』を執筆してから早五年。
無理矢理競馬学校を受験させた娘は、もうすぐ成人式を迎え、春には正真正銘の二十歳になる。大手を振って馬券を購入できる――今年も大学にそっぽを向かれれば――わけだ。
この五年間というもの、私自身は少々競馬から遠ざかっていた。
周りに熱心な競馬ファンがいなかったからのように思うし、なにより文章を書くことからも遠ざかっていたからかもしれない。そしてこの半年ばかり、テレビをやめていたので、レース自体を見ることも少なかった。
今年、環境が変わったのは娘だけではない。
私自身、かなり環境が変わった。
東京競馬場からは遠ざかり、県境も越えた。
実際に競馬場に足を運ぶのは難しい環境になったといえる。しかし、競馬ファンのすべてが競馬場に気軽に行ける環境にあるわけではない。私もさぼっていてはいけない。
現在の私の状況や、環境がどうして変わったかなどは、本文の中で徐々に明らかにしていきたいと思う――読者の皆様には興味のないことかもしれないけれど。
今回は、普段は、「そこそこの勝率」という毎日王冠からびりを的中させる才能を発揮するばかりで、あまり当たっているところをみたことがない、通称「しんがりくん」とのコラボレーション(勝手に)でお送りしたいと思う。しんがりくんは複勝、馬連での勝負が主で、「十円でもプラス」をモットーとしている。彼のことも追々紹介していくことになるだろう。
お暇な方は、また一年、お付合いいただきたい。




