表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

7.真相

「小川っ、香川 喜美子を殺したのはお前だな!」

 瞳はそう言って、机を思いっ切りバンッと叩いた。

 小川は瞳の迫力に驚き、椅子から転げ落ちてしまった。

「吃驚したなあ。いきなり何ですか!?」

「お前は此処に呼ばれる数時間前、香川 喜美子の自宅に行き、香川 喜美子の首を絞めて殺害した」

「俺が喜美子を?

 一体どうやって!?」

「クロロフォルム。現場に使用した跡が残っていたよ。

 あんたはクロロフォルムを使用し、香川を眠らせ、首を絞めて殺害。その後、遺体を天井に吊し、自殺に見せ掛けた。

 しかし、あんたは此処でミスをしたんだ。それは椅子だ。現場には首吊りに使われた筈の椅子が無かったんだ」

「ちょっと待ってくれよ。それだけの事で何で俺が殺人犯になるんだ?」

「クロロフォルムだよ。

 あんたと初めて会った時、微かに甘い香りがしたんだ。クロロフォルムの独特なのがね」

「そんな馬鹿な!?

 俺はちゃ・・・はっ!?」

 小川は思いっきり焦った。

「どうした!?此処まで来たんだから躊躇う事は無い!吐いてしまえ!」

 瞳はノリで言った。しかし、小川は口を閉ざしたまま喋らなくなってしまった。

「何故黙る?」

 瞳はそう訊ねるが、小川は俯くだけで何も言わない。

(困ったな・・・答えてくれないと先に進め無いんだよな。

 仕方無い、滅茶苦茶恥ずかしいけど、あれをやるか)

 瞳は心の中でそう呟き、小川の真後ろに回り込んだ。そして、小川に覆い被さる様な感じで、背中に貼り付いた。

 小川は、一瞬にして顔がカーッと赤くなった。更に、心臓がドクドクと早くなり始めた。

「小川さん・・・──あたし、小川さんともっとお話したいな」

「わ、分かった。な、何から話せば良いかな?」

「香川 喜美子について、知ってる事全部教えてくれないかな?ね、オ・ネ・ガ・イ」

 小川は顔を更に赤くし、鼻血をタラーッと垂らした。

「鼻血が垂れてるわよ」

 瞳はそう言って、小川の鼻血をポケットティッシュで拭った。

「あ、ありがとう」

「あのさ、そろそろ話してくれないかな?香川 喜美子の事・・・」

「そうだったね。

 あれは一昨日の事だった」

それは二日前の事・・・。


 その日、小川は香川家に来ていた。

「ほらほら、もっと飲んで」

 喜美子はそう言って、小川に酒を注ぐ。

 酔って顔を真っ赤にしてる小川は、喜美子の注いだ酒を、グビグビと飲んだ。

「5年前の放火事件覚えてる?」

「5年前の放火?

 嗚呼、あれか。覚えてるよ。孝之と千恵と俺の三人で家燃やしたんだよ。そしたらそこに男がいて、焼死しちまったんだったなあ」

「へぇ、あれあんたが犯人なんだ。へえ」

 喜美子は不気味な笑みを浮かべた。

「やべっ、何か俺、眠くなって来た」

「そう。じゃあ、お布団入って寝よう?」

「ああ、そうするよ」

 小川はそう言って、隣の寝室に入って行った。

泊まるつもりか?──そんな感じである。

(巧く行った)

 喜美子はそう思った。


「と言う訳なんだ」

「成る程、そう言う事か。だからあんたは、鈴木 千恵、小渕 孝之を殺害した香川 喜美子を絞殺したのか」

「今朝な」

「小川さん、こっち向いて下さい」

はい──そう返事をし、小川は瞳の方を向いた。

「っざけんじゃねえ!」

バシンッ!──瞳の拳が小川の顔面にヒットし、その衝撃で小川はすっ飛んで壁にめり込んだ。

「てめえっ、昔の友人を殺されたから犯人殺しても良いと思ってんのかっ!?

 天国の友人はそれで喜ぶのかっ!?」

「そんな事言われたって、あいつ放っておいたら、俺が殺されちゃうもん。

 俺はやられる前に手を打っただけだよ」

「腐ってる・・・お前の脳味噌腐ってるぜ!」

「五月蠅え!てめえに俺の気持ちが解るか!?」

「解らねえな・・・──でもよっ、これだけは言わせて貰う!

 てめえが殺人者を殺した所で、被害者は帰って来ねえんだぞ!」

 その瞬間、小川は自分のした事に気付いた。

(これじゃあ、俺もあいつと一緒だな・・・。

 黙って、警察に突き出してやりゃ良かったな・・・)

 小川はそう思った。

「ねえ・・・」

 小川は瞳に声を掛けた。しかし、返事は無かった。瞳は一体何処いずこへ?




駄目ですか?これじゃ・・・。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ