3.放火跡殺人事件
予定通り順調さ。
グサッ!
──ナイフが腹に刺さった。
「うっ!」
男は驚き、その場に倒れ、意識を失った。
ブウウウン!
──バイクの音が聞こえる。そして、その音は段々と近付いて来た。
乗っているのは、瞳と楓だ。
瞳は右手で前輪ブレーキを、右足で後輪ブレーキを掛けた。
ブレーキが掛かったバイクは、スピードを落とし、止まった。
「此処だな」
瞳はヘルメットを取ると、そう呟いた。
此処は、5年前に放火があった場所だが、今は空き地になっている。
「あ、あれ・・・」
と、楓は顔を真っ青にし、あるものを指差した。
「どうした?」
と、瞳は振り向いた。
「だから、あれ見て!」
そう言われ、楓が指差した方向を見る瞳。
するとそこには、腹にナイフが突き刺さった男が血を流して倒れていた。
(あっ!?)
瞳は駆け出し、男の脈を調べた。
(死んでる・・・)
と、その時、女性の叫び声が聞こえて来た。
「きゃああああ!
人殺し!」
瞳は慌てて振り向いた。
すると、こっちを見て指差していた女性が逃げて行った。
何なの?──楓はそんな感じで、女性が走って行った方を見た。
「あの人、警察行ったな」
瞳はそう言った。
「何で分かるの?」
「何と無くだ」
「何それ?」
「どうでも良いが、学園に連絡しとこうぜ。殺人事件に出くわしたってな」
「じゃあ私、連絡するね」
楓はそう言って、携帯を取り出し、学園に連絡をした。
すると、学園はこう言って来た。
「その事件解決するんだ」
そんな事言われても──楓はそんな顔をしながら、
「やってみます」
そう言って、電話を切った。
「何をやるの?」
「事件の捜査」
と、その時、交番のお巡りさんと、さっきの女性がやって来た。
「あの人です!あの人が男の人を!」
「ちょっと待て!
オレはやってねえ!」
「やってないと言ってますよ?奥さん」
と、お巡りさん。
「私は見たのよ!
この女が殺した所を!」
「奥さん、落ち着いて」
お巡りさんは必死になだめるが、女性は静まらない。
瞳は仕方なく、女性の腹を殴って、気絶させた。
「なっ、何やってるんですか!?」
「安心して、眠らせただけだから」
「そうは言ってもね・・・」
「ほらよ」
瞳は懐からS.D手帳を取り出し、お巡りさんに見せた。
「ごっ、ご苦労様です!」
そう言って、敬礼をするお巡りさん。
「あのさ、あの人調べて欲しいんだけど」
瞳はそう言って、遺体を指差した。
「では、警視庁から捜査一課呼びますので、暫くお待ち下さい」
そう言うと、お巡りさんは携帯を取り出し、警視庁に連絡をした。