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異世界で社長になる。   〜5歳児から始める異世界ビジネス革命〜  作者: Mizunoki.Kawai


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## 43話 手土産と新たな問題

## 43話 手土産と新たな問題


いつものように山盛りの朝食をかき込んでいると、母さんがウキウキしながら話し始めた。


「いよいよ明日はテトの実家ね!」


「手土産くらいは用意してるんだろうな」


父さんがパンをちぎりながら母さんを見る。


「忘れてたわ。ライム、銀貨3枚あげるから市場で買ってきて。あんた、そういうのは得意でしょう?」


「……わかったよ。甘い物がいいかな。市場に行ってくるね」


〈父さんは気が利くなぁ。そして母さん……俺は5歳なんだが〉


明日の予定を頭の中で並べる。

〈今日は市場組合で空容器の一時預かりの依頼、カチさんの様子確認、手土産の調達。ついでにクララも誘っていこう〉


朝食を終えて歯磨きを済ませ、1階へ降りると、テトが店の掃除をしていた。


「テト、今いい?」


「ようライム! どうした」


「今日は市場に行くから、組合で空箱を預かってもらえるように話を通してくるね。それと明日の手土産も買いたい。クララも連れていきたいから、テトも来てくれる?」


「わかった!」


テトは箒を立てかけて、軽くうなずいた。


洗い屋の裏口を叩く。石鹸の匂いがふわっと広がる。


「おはようございまーす!」


「まぁライムくん、朝から元気だねぇ」


サクラさんが顔を出した。


「おばさん、今日はテトと市場に行くんだけど、クララも一緒に行ってもいい?」


「テト君がいるなら安心ね。クララ、行ってらっしゃい」


「うん! ライムとテトお兄さんと遊びに行く!」


クララは勢いよく飛び出してきて、俺の隣に並んだ。


市場通りを抜け、組合へ。掲示板の前は相変わらず人だかりだ。いつものように、受付のエリーナさんに声を掛ける。


「エリーナさん、こんにちは!」


「ライムくん、こんにちは。今日はクララちゃんも一緒なのね!」


「今日はテトもいるからね! ちょっとお願いがあって来ました!」


「お姉さん、こんにちは」


クララがぺこりと頭を下げる。


「うふふ、こんにちは。何かしら。組合長も話したいことがあるって言ってたわ。こちらへどうぞ」


組合長室の扉を開けると、やっぱりリバーシ盤が出ている。

〈本当に好きだな〉


「ライム君、よく来たね。今日は何かな」


組合長が顔を上げると、クララがピンと手を挙げた。何度か見た仕草だ。


「お弁当箱の件です。お弁当は広場で売ります。その後、テトお兄さんはウチの配達があるから、みんなが食べた空箱を組合でちょっと預かってください!」


〈行き道で話した要点を、クララはそのまま、でも分かりやすく言う〉


「あ、あぁ。クララちゃんには驚かされるね」


〈まぁ俺も5歳なんだが、それはもういいか〉


「預かっていただけたら、その日の夕方に受け取りに伺います」


テトが続けて頭を下げる。


「わかりました。広場で買ったお客さまには、受付横の返却袋に入れてもらうよう案内してくださいね。場所は用意しておきます」


エリーナさんが、てきぱきと段取りをまとめていく。


「助かります。ありがとうございます。販売は11時過ぎから14時前くらいまでです。その後配達を終えてから、16〜17時くらいには回収に伺います」


テトは時間もきっちり伝えた。


「エリーナさんのところは、お弁当は何個必要ですか」


クララが、当然の流れのように聞く。


「まずは5個で様子見するよ。追加があったらテト君に伝える」


組合長が頷いた。


〈クララさん、しっかり営業まで……ほんとに驚かされる〉


「それでリバーシのことなんだけど、この前の20個はもう仲間に渡し終えたよ。他の仲間から“どこで買えるのか”って聞かれてるんだ。買える場所を決めておいてくれると助かる」


「そうですね……販売所はまだ決めてませんでした。とりあえず、コマは炎の鍋亭で、盤はマルタのおっちゃんに直接、で伝えてください」


「了解。買いたい人はこれからも増えるよ。販売所はしっかり決めたほうがいい。困ったら仲間の商会を紹介する」


「ありがとうございます。その時はご相談します!」


クララがぺこりと頭を下げる。


組合での用は済んだ。次は鍛冶屋だ。

通い慣れた路地を抜けると、炉の熱気が外まで押してくる。


「こんにちはー。……あれ、カチさんはいない?」


「おう、ライム坊!」


出てきたのはラークだった。


「親分は銅の鉱山に出てる。こないだの『蒸留器』の素材を見繕いにだ。リバーシの方は200個分でプレス機を回してるぜ」


「ありがとう! 組合長も“これから買いたい人が増える”って言ってたから、引き続きよろしくね」


「あぁ、任せとけ」


ラークが胸を叩く。


鍛冶屋をあとにして、市場の食料品エリアへ移動すると、甘い匂いのする菓子屋が目に留まった。


「わぁ、美味しそう!」


クララが目を輝かせる。


「いらっしゃい。可愛いお客さんだね! どれにする?」


菓子屋の主人が笑顔で迎えてくれた。


「手土産を探してるんだけど」


俺が言うと、クララがすっと前に出る。


「焼き菓子がいいと思います。1個1個になってるから、みんなで分けやすいです。12個ほしいな。割れないように箱に入れて、袋に可愛いリボンをつけてください!」


「お、おう! 嬢ちゃん手際がいいな! 試食、いるかい?」


「うん、ありがとう! お茶にも合うのがいいです」


「……すごいね。お茶か、それならこの蜂蜜の焼き菓子がいいだろう。12個で銀貨3枚だよ」


「お母さんにも食べてもらいたいな。今日だけおまけ、ください」


「んーかなわないねえ。参った! 2つ、おまけだ」


主人は笑いながら、小さな包みを追加してくれた。


「ありがとうございます」


「ありがとう、おじちゃん! また来るね」


クララが箱を大事そうに抱える。


〈今日もクララは大活躍だな。手土産も手に入ったし、弁当の段取りも整った。よーし、明日はいよいよテトの“実家訪問”だ〉


明日を楽しみにしながら、俺たちは市場をあとにするのであった。





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