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異世界で社長になる。   〜5歳児から始める異世界ビジネス革命〜  作者: Mizunoki.Kawai


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## 26話 新たな人材と中古馬車

## 26話 新たな人材と中古馬車


〈よし、費用は聞けた。弁当箱の金型が金貨2枚。プレス機本体は作業費に入れてくれた。リバーシが売れれば、借りの分はすぐに稼げるはずだ!〉


俺がカチ鍛冶屋を後にしようとした、その時だった。


「お、おい!坊主!待ちな!」


後ろから声がして振り返ると、さっきの弟子、ラークさんが慌てて追いかけてきた。


「これ!忘れてるぞ!」


彼が差し出したのは、麻袋に詰められた、大量の木のコマだった。


「さっき師匠に言われた分だ。きっかり100枚、プレスしといたぜ!」

「うわ!ありがとう、ラークさん!仕事早いね!」

「おう!またいつでも言えよ!」


〈忘れてた!よし、これでうちの店の『酒札』の運用テストができるぞ!〉


俺はラークさんに礼を言い、今度こそロンドール市場組合へと向かった。


〈組合で確認するのは、まず馬小屋の利用ができるかと、その利用料。それから、中古の馬車(荷車)が手に入らないか。あとは、リバーシの市場調査(アイザット組合長の反応)と……一番大事な、人材だ〉


扉を押し開ける。


「こんにちはー!」


カウンターには、今日もエリーナさんがいた。


「あら、ライム君!こんにちは。今日はどうしたの?」


俺が、馬小屋のレンタルと中古の荷車の相談、それと人材斡旋について確認したい、と告げると、エリーナさんは、みるみるうちに目を丸くして固まった。


「馬を……買う?人材斡旋?」


5歳児の口から出る言葉を処理しきれないようだったが、やがてゴホンと咳払いをして、プロの顔に戻った。


「……わかったわ。その件なら、組合長も交えて話した方が早そうね。ちょっと来て!」


「え?」


俺は、またしても彼女に腕を引かれ、組合長室へ連行された。


「組合長!ライム君が、馬を買うから馬小屋を貸せって!」


「なに!?馬を買う!?」


リバーシ盤とにらめっこしていたアイザットさんが、勢いよく顔を上げた。俺は、今考えている計画――配達代行業とランチボックス作戦――を説明した。


「……なるほどな。また君は、次から次へと面白いことを考える!」


組合長は、商売人としての興味を隠せない。


「よし、わかった!まず馬小屋だが、空きはある!使っていいぞ!」

「やった!」


「ただし」


エリーナさんが帳簿を広げる。


「場所代と、毎日の水と藁のエサ代込みで、月に銀貨100枚になるわ」

〈高い!……いや、1日あたり銀貨3枚ちょっとか。テトの見積もりとも、そんなに変わらないな〉


「馬車(荷車)も一緒に置けるかな?」

「荷車置き場代も込みで、月に銀貨120枚よ」


「それと、荷車なんだけど、中古だとどれくらいかな?」


俺が尋ねると、組合長は「おお、ちょうどいい」と手を叩いた。


「うちの組合で使ってる荷車が、ちょうど古くなってきたから、今度新しくするんだ。古い方でよければ、君に安く譲ってやろう。金貨1枚でどうだ?」

〈金貨1枚!……昨日もらった金貨で、ちょうど荷車が買える!〉


「ありがとう、組合長!」


「あっはっは!商談成立だな!……それより、リバーシだ!」


組合長は、待ってましたとばかりにリバーシ盤を指差す。


「仲間――幹部連中――がすごく欲しがってるんだ。それに、その仲間がまた知り合いに声をかけててな、欲しいって人がどんどん増えてるよ!」


〈よっしゃ!素晴らしい広告塔だ!〉


「えっとね」


俺は交渉モードに入る。


「コマをこの前みたいにキレイに白黒に塗ったやつで、銀貨10枚で売れるといいなって思ってるんだけど、どうかな?」


〈原価は銀貨3枚くらい。アインズさんも『銀貨10枚なら買う』って言ってたラインだ。盤は別売り。欲しい人は、マルタのおっちゃんに直接注文――だな〉


「銀貨10枚か!あの綺麗なコマのセットがそれなら、庶民でも欲しがる奴は多いだろうな。よし、とりあえず5セット買えるか?」


「ごめん、組合長。それは、まず父さんに相談してからじゃないと……」


昨日、金貨の件で釘を刺されたばかりだ。


「む、そうか。そうするといい。今度、ゴードンさんと一緒に来てくれるかな。私も話がある」

「わかった!」


「あとね、組合長。馬車を使ってお弁当を市場のみんなに売る計画なんだけど……料理と、会計ができる人って、どこかで紹介してもらえないかな?」


「うーん、悪いが、組合は人材斡旋はやってなくてな……」


組合長が腕を組んだ、その時だった。


「!」


隣にいたエリーナさんが、息を呑む気配がした。


「ら、ライム君!それって、お弁当の調理をする人のこと!?」

「え?うん、そうだけど」

「うちの母でもできるかしら!?計算もできるわよ!」


「エリーナ?」


「うちの母、この前、荷馬車から落ちて足の骨を折っちゃって……。仕事――市場の運び屋――がなくなっちゃったの。幸い、もう歩けるんだけど、重い荷物は持てないから、新しい仕事を探してたところで……」


エリーナさんが、必死の形相で俺に詰め寄る。


「それに、私の妹も料理ができるわよ!」


「え、ええと……」


〈調理兼会計1名、調理1名……完璧じゃないか!〉


「うん!足が悪くても、厨房に立って料理ができれば大丈夫だよ!」

「ほんとう!?よかった!」


エリーナさんは、心の底から安堵したように胸を押さえ、次の瞬間、いつもの「市場のアイドル」の笑顔に戻った。


「あ、ライム君。うちの妹、すごく可愛いわよ!ついでに、もらってやってよ!」

「(圧がすごいな……)ぼ、僕、5歳だから!」

「あら、『もらって』って意味もわかるのね?」


〈またカマかけられた!〉


「エリーナ、あんまりいじめるなよ」


組合長が、苦笑いしながら助け舟を出してくれた。


「ライム君、そういう訳だ。エリーナのお母様がケガをされて大変みたいなんだ。すまんが、考えてやってくれ」

「うん!助けになるなら、こっちも嬉しいよ!この件も、父さんに聞いてみる!」


俺は組合を後にした。


〈よし!これで全部揃った!〉


中古の馬車は金貨1枚。馬小屋と荷車置き場の維持費が月銀貨120枚――1日あたり銀貨4枚。テトの見積もりとも、ほぼ一致する。

そして何より、計画の最後の穴だった「人材」――調理2名(エリーナ母・妹)と会計1名(エリーナ母)――の目処が立った!


〈よし、ここまでで一旦、ランチボックス作戦を外した事業計画書を作ろう。まずは、酒札の運用テストからだ!〉

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