## 13話 新たなピースの発見
## 13話 新たなピースの発見
父さんの、ぶっきらぼうだが最大限の信頼が込められた「よろしく頼む」という言葉。
〈よし、これで父さんの信頼も少しは取れた、よな?〉
今回の「薪仕入れ効率化プロジェクト」には、大きな副産物があった。
〈クララのおかげで、うちの会計情報は俺が掌握した〉
母さんが頭を抱えていた帳簿の整理。あれくらいなら、前世の記憶を持つ俺がやれば30分もかからない。
俺が帳簿管理を引き受ければ、母さんの時間もかなり捻出できるはずだ。
クソ重い酒樽の運搬や面倒な薪の注文も、銀貨5枚――5,000円相当――の駄賃でテトが喜んでやってくれる。一度軌道に乗ってしまえば、俺が細かく介入する必要もなくなる。
そして、マルタのおっちゃんと組合長が口にしていた、新たな商売の種――「ランチ難民」だ。
〈マルタの薪屋の従業員、市場組合の職員、それに西の鉱山の連中……この街の景気が良くなって、昼飯を食う場所に困ってる連中が大勢いる〉
俺の頭の中で、バラバラだったピースが一つずつハマっていく感覚がした。
〈母さんの空いた時間、馬車の空き時間、そしてランチ難民の需要……これをうまく繋げられないか?〉
「よし」
思考がまとまってきたところで、俺は店を出た。
「クララのところに遊びに行こう」
こういう時は、賢い幼馴染との何気ない会話が、一番のヒントになる。
炎の鍋亭の隣、洗い屋の扉を開ける。
「ごめんくださーい」
「はーい!」
店の奥から顔を出したのは、クララ一人だった。彼女は、大人用の高い受付台で、小さな背中を精一杯伸ばして店番をしていた。
「よお、クララ。一人か?」
「うん!お母さんとお父さんは、洗濯物のお届けに行ってるの」
〈お父さん?〉
そういえば、クララのお父さんの姿は、最近あまり見かけていなかった。
「お届けって、大変だな」
「そうなの。最近、街が忙しくなって、大口のお客さんが増えたんだって。だから、お父さんもお母さんも、お届け物で出かけちゃうことが増えちゃって」
クララは、そう言いながらも「受付してるの、偉いでしょ」と胸を張った。だが、その顔は少し寂しそうだ。
「でもね、本当は、お父さんとお母さんともっと一緒にお手伝いしたいな……」
〈……そうだよな。クララも5歳だもんな。店番はできても、重い洗濯物を運んだり、配達について行ったりするのはまだ無理か〉
街の景気が良くなっているのは、うちの店だけじゃない。クララの洗い屋も、マルタの薪屋も、みんな忙しくなっている。
だが、そのせいで、クララは5歳にして一人で店番をする時間が増えている。
「よし、クララ!」
俺は懐から、手製のリバーシを取り出した。
「俺も一緒に店番してやる。どっちが先にお客さんに『いらっしゃいませ』って言えるか勝負しながら、リバーシやろうぜ」
「やる!今日こそライムに勝つんだから!」
俺はクララと店の入り口に盤を広げながら、さっきの「ランチ難民」の計画に、もう一つのピース――「洗い屋の配達問題」――を組み込む方法を考え始めていた。




