表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で社長になる。   〜5歳児から始める異世界ビジネス革命〜  作者: Mizunoki.Kawai


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

111/266

エステル出張メンバー決定

111話 エステル出張メンバー決定


朝の炎の鍋亭のテーブルには、今日も大盛りの朝食が並んでいる。

パンにスープ、卵料理にソーセージ。

俺とレノ、父さんと母さんの4人で、それを片っ端から片付けていく。


「父さん、母さん。エステルに行きたいんだ」


俺がそう切り出すと、父さんがパンをちぎりながら眉を上げた。


「今度はなんだ?」


そこで、昨日決めた話をかいつまんで説明する。

新卒採用のためにエステル学舎で話をしたいこと。

プレサントの著作物登録も、エステルの商工会でまとめて進めたいこと。

それから、クララとミナも一緒に行きたがっていること。


「また面白そうなことをするのね」


母さんは、楽しそうに目を細める。


「私も行きたいけど……今はちょっと無理そうね」


「レノも一緒だから平気だよ」


俺がそう言うと、スープを飲んでいた父さんが、真面目な声になった。


「いや、レノがいてもな。さすがに子ども3人を1人で見るのは、少し心配だ。

 大人は、もう1人ついて行ったほうがいいだろう。だが俺も新店舗の準備で外せないな」


「そうですね、さすがに子ども3人だと、移動だけでもそれなりにリスクはあります」


レノも穏やかに同意する。


〈……いくらレノが優秀な護衛だとしてもきついよな。それにさすがにパーティーメンバーも攻め過ぎか〉


「そっか。じゃあ誰かに相談してみるよ」


そう言うと、母さんがくすっと笑った。


「うちの社長さんは、ちゃんとみんなに相談できるのね。えらいえらい」


そう言いながら、俺の皿にパンを1つ足してくる。


「ちょ、母さん、それは――」


「長旅になるなら、たくさん食べておかないとね?」


〈……まあ、体力はあったほうがいいか。食べきれるかな〉


なんとか大盛りの朝食を食べ終えて、歯を磨きながら、頭の中で今日の段取りを組む。


〈俺、クララ5歳、ミナ10歳、レノ18歳。さすがにレノ任せはきつい〉

〈ここはやっぱり、組合長に相談だな。ついでにテンドーさんに、リバーシの状況も聞いておきたい〉


そう今日の予定を決めて、俺とレノは市場組合へ向かった。


市場組合の受付で声をかける。


「すいませーん!」


「あら、ライム君にレノさん。こんにちは」


エリーナさんが顔を出す。


「今日はどうしたの?」


「組合長に相談があって。エステルに、また行きたいんだ」


「そうなのね。ちょうどいいわ、今はテンドーさんも来てるの。案内するわね」


〈テンドーさん? やっぱりリバーシかな〉


エリーナさんの後に続いて組合長室に入ると、予想どおり机の上にはリバーシ盤が出ていた。

組合長とテンドーさんが、向かい合って盤面を見つめている。


「おや、ライム君にレノさん」


先に気付いたのはテンドーさんだった。


「いらっしゃい」


「おぉ、ライム君にレノ。どうしたんだい?」


組合長も顔を上げる。


〈この2人仕事してるのか?〉


「エステルに行きたいんです」


俺は一歩前に出る。


「新卒採用の説明を、エステル学舎でしたくて。

 それと、プレサントの著作物登録も一緒に進めたいんです。

 クララとミナも一緒に行きたがってて……大人がもう1人ほしくて、相談に来ました」


説明を聞き終えると、組合長は腕を組んでうなった。


「ふむ。確かに、子どもだけで行かせるわけにはいかないな。

 だが今は年末でね。私も1週間も席を空けるのは、さすがに難しい」


〈組合長本人は無理か〉


「それであれば、私が行きますよ」


テンドーさんが、すっと手を挙げた。


「エステル支店でのリバーシの様子も、ちょうど見ておきたいと思っていましたしね」


「ほんと!? ありがとう」


思わず前のめりになる。


「テンドーさんが一緒なら、ものすごく助かります」


「いえいえ」


テンドーさんは笑う。

組合長も、そこで表情を和らげた。


「それなら安心だな。

 こちらからは、バルド支部長に手紙を出しておこう。エステル学舎で商会の宣伝をするんだろう? 先に話を通しておいたほうがいい」


「助かります」


レノが頭を下げる。


「では私も、一言添えたいので、手紙に同封してもらえますか?」


「もちろんだとも」


組合長は頷き、次に日程の話に移った。


「出発は、いつにする?」


「そうですね」


テンドーさんが少し考える。


「お店のほうの引き継ぎもあるので、3日後くらいに出られると助かります」


「では」


レノが、手際よく話をまとめていく。


「3日後に出発して、川を下って船で1日。エステルで2泊してから、川上りの船で4日かけて戻ります。

 移動も含めて、ちょうど1週間ほどの予定です。よろしくお願いします」


〈さすがレノだ。もう出張の段取りがポンポン固まっていく〉


「それで行こう!」


組合長が頷く。


「では手紙は書いてしまうな」


「2人ともありがとうございます!」


組合長とレノが手紙を書き終わるのを待って、俺たちは組合長室を後にした。


次に俺とレノは、弁当製造所に向かった。

エッタさんは、ちょうど大きな鍋を片付けているところだった。


「エッタさん」


「ライムくん?」


エッタさんが顔を上げる。


「エステルに行くことになってさ。ミナも一緒に連れて行きたいんだ。

 パンフレット作りもあるから、現地を見てもらえたらと思って」


「ええ、聞いたわよ」


エッタさんは、すぐに頷いた。


「あの子、まだ他の街に行ったことがないから、ちょうどいいわ。

 レノさんもいるし、テンドーさんも一緒なんでしょう? 安心ね」


「はい。任せてください」


レノが短く答える。


「ふふ。よろしくね」


エッタさんは笑って、また鍋に手を伸ばした。


次は洗い屋だ。

扉を開けると、水音の中で、アインズさんとサクラさんが並んで仕事をしていた。


「こんにちは」


俺が声をかけると、アインズさんが布をすすぐ手を止めて顔を上げた。


「おや、ライムくんにレノさん。どうしたんだい?」


「エステルに行くことになって……クララも、一緒に行きたいって言ってて」


俺は、新卒採用の話と旅の段取り、テンドーさんも同行することをまとめて話した。


「そんな、クララには早いんじゃないか?」


アインズさんが、少し心配そうに眉をひそめる。


「大丈夫よ」


先に口を挟んだのはサクラさんだった。


「クララにも、いろんな世界を見てほしいわ。

 テンドーさんもいるし、それにレノさんもいるんでしょう? 安心じゃない」


「はい。任せてください」


レノが、まっすぐな声で言う。


「クララさんのことも、しっかりお守りします」


アインズさんは2人の顔を見比べて、やれやれと肩をすくめた。


「そうか……そこまで言われるとな。じゃあ、頼んだよ」


〈レノの「任せてください」に対するみんなの絶大な信頼感。すごいな〉


「ありがとうございます」


俺が頭を下げると、サクラさんがふと思い出したように笑った。


「そういえばクララね。ミナちゃんと『こむ』してくるって」


〈キックオフミーティングか。パンフレットのことかな〉


「パンフレット? とかいうのを一緒に考えるんですって。2人で『ライムを手伝うんだ』って張り切っていたわ……罪な男ね」


「や、やめてよ」


思わず変な声が出る。

サクラさんは口元に手を当てて、いつもの調子で笑った。


「うふふ」


〈その『うふふ』は、本当にやめてほしい〉

〈パンフレットは、あの2人に任せよう。出来上がったら一緒に確認すればいい〉


「では」


レノが最後の確認をまとめる。


「3日後に出発して、川下りの船で1日。エステルで2泊してから、川上りの船で4日。

 およそ1週間ほどの予定です。よろしくお願いします」


〈さすがのレノさんや、締めるところはきっちり締まった〉


こうして、エステル出張のメンバーと日程が決まったのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ