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温度差がつらすぎる

作者: 有希乃尋

わたしは久地蘭子、高校3年生にして、同級生である彼氏の今泉宏樹との温度差に悩んでいる。

愛情の温度差ではない。そっちのわたしの気持ちは冷めている。

問題は人生への真剣さに関する温度差である。

あいつはあまりに生きる姿勢が不真面目すぎる!!


「あ〜、もう!どうして夕方なのにパジャマのままなのよ?また起きてから一日中ゲームしてたでしょ!」

「ああ、うん、せっかくの休みだし・・・。」

「まったく!ご飯は食べたの?」

「もちろん。」

と言いながら目をそらされた。さては・・・。


「ゴミ箱にアイスの袋しかないんだけど!」

「いや、リッチミルクのアイスだから栄養あるかと思って・・・。」

「野菜はどうした、野菜は!部屋も汚い!ご飯作ってあげるから、その間に掃除しろ!」


宏樹は、偶然同じころに同じ町に生まれ、かつては親同士も仲がよかった。だから小学校に上がる前から知っている。

宏樹は早生まれだったせいか、小さい頃からいつもフラフラと頼りなかった。

ちょっと目を離すとすぐに迷子になり、忘れ物も多い。学校の机もランドセルの中もぐちゃぐちゃだし、何度注意されても言われたことを守らない。

そんなだったので、当時からしっかり者で評判のわたしは宏樹のお母さんから頼られた。

宏樹と一緒に手をつないで登下校し、学校からの連絡事項を宏樹のお母さんに伝え、一緒に机やランドセルの中を整理した。先生からの指示が守れるようフォローした。


ここまでは、よくある幼馴染の世話焼の範疇を出なかった。宏樹のお世話をするのがわたしの重要な使命になったのは小学4年生の時だった。


宏樹のお母さんが病に倒れ亡くなったのだ。


「宏樹のこと、これからもよろしくね・・・。」

お見舞いに行った病床で宏樹のお母さんが漏らした一言は、今思えばこれからも友達として仲良くしてあげて欲しいという意味だったのだろう。

しかし、当時のわたしは宏樹のお母さんに遺言で宏樹を託されたと思い込んでしまった。


わたしは使命感に燃え、それからも宏樹が学校でうまくやれるよう陰に日向にサポートした。中学生になってからは、宏樹のお父さんが仕事の都合でほぼ東京に行ったきりになったので、家にも行ってあれこれ世話をしてあげるようになった。


しかし、これが悪かったのか、宏樹は、さらにわたしに甘えるようになり、いまや完全に堕落している。自分で家事どころか、ちょっとした用事すらできなくなってしまった。


「ちょっと、この間ゴミはゴミ箱にって言ったでしょ!」

「出したものは元の場所にしまう!」

「食べ残しをそのあたりに放置しない!」


高校生になってからも、こんな幼児に言うような注意を何度したことか。

わたしがいなければ、宏樹の家はゴミ屋敷になり、宏樹はそのゴミに埋もれて餓死してしまうに違いない!


「あっ!おいしい。蘭子が作ってくれたスープ!」

「作り置きしといたから、ちゃんと冷蔵庫に入れときなよ。この間みたいにせっかく作ったおかずを腐らせたらもう作らないからね。」

「ごめ〜ん。」

「明日の学校の準備はできてるの?明日は課外授業で現地集合だったはずだけど。」

「え〜!どこに行けばいいの?」

「・・・明日の朝迎えにくる。」

「ありがと〜。蘭子は頼りになるな〜。」


今日も宏樹を甘やかしてしまったが、一刻も早く一人でも生活できる能力を身につけて、独り立ちして欲しい。これは本心からの望みだ。


ちなみに宏樹と付き合うようになったのも、この使命感によるところが大きい。

中学3年になったある日、宏樹から呼び出されて告白された時は驚いたが、すぐにきっぱり断わった。


しかし宏樹はこう食い下がってきた。


「最近、色々な人から告白されて困っている。恋人らしいことはしなくていいから、名目だけでも彼女となって守って欲しい。」


宏樹の容姿は正直悪くない。頭もいい。その一方で母性や保護欲をそそるせいか、女子人気が高く、特にヤンチャ系の女子から常に狙われている。

これまではなんとかお誘いを断っているらしいが、フラフラしてる宏樹がそのうち断りきれなくなり、そんな女子に捕まったら、そのまま流されて堕落していくに違いない!

だから宏樹が成長して異性と節度のある付き合いができるまで、わたしが壁になろう。ちょうどわたしの体格も壁役にふさわしい。そういう思いで付き合い始めてはや3年あまり。まさか壁役をこんなに長く務めることになるとは・・・。


「ねえ蘭子、今日も宏樹くんが遅刻しないように家まで迎えに行って一緒に来たの?もはや結婚してるんじゃないの?」

今日も学校に着くなり、親友の由里香にからかわれた。


「まったく学校くらい一人で来れないのかしら?早くちゃんとして独り立ちして欲しいもんだわ!」

「そんなこと言って、実は頼られて嬉しいんでしょ?」

由里香はニヤニヤしながらさらに踏み込んでくる。まったくわかってない。


「そんなわけないじゃない!わたしの役割は宏樹の独り立ちまで。交際していることにしているのも不埒な輩から守るためのただの壁役。」

「またまた〜。本気でそう思ってるなら、こんなに続かないでしょ?」


確かに続いているのはそうだが、わたしが世話をしないと宏樹は本当に餓死しかねない。仕方ないのだ。


「しかもあの宏樹くんでしょ。学校ではちゃんとしてるし、成績優秀だし・・・。むしろ蘭子が言うようなだらしない姿の方が信じがたいんだけど・・・」

由里香は首をひねって不思議そうな顔をしている。

これもよく言われる話だ。


「いつもわたしがフォローしてあげてるからよ。学校で恥をかかないようにちゃんと制服をクリーニングに出して、ハンカチとティッシュも持たせて、寝ぐせを直して、課題をちゃんとやってるか確認して・・・わたしがいなかったら学校にすら来られるか不安だわ。」

「そっか〜。でもいつまで続けるつもりなの?結婚するんじゃなかったら、どこかで区切りをつけなきゃでしょ。」

「まあ大学はさすがに別のところに行くだろうし、わたしの仕事も高校までだわ。」

「え〜、ドライだな〜。」


わたしは、心の中で宏樹のお世話と壁役は高校卒業までと決めている。だからこそ我慢できるのだ。


「でもさ、宏樹くんは蘭子のこと好きすぎるから、同じ大学に行くとか言い出しそうじゃない?そもそも高校進学の時も蘭子に合わせたんでしょ。」


そう。高校進学の時も宏樹は、一緒に東京に引っ越そうという宏樹の父の懇願を振り切って一人地元に残り、しかもランクを落として蘭子と同じ高校に来た。放っておけば、きっと大学進学でも同じことをするつもりに違いない。しかし、そんな不真面目な生き方を許すわけにはいかない。そんなことをしたら天国にいる宏樹のお母さんに顔向けできない。


「まあ、秘策があるのよ。」

「蘭子、悪い顔してる〜。何か企んでるな〜。」


わたしには秘策がある。宏樹を独り立ちさせるための・・・。


「そろそろ、蘭子の志望校とか教えてくれない?」


宏樹からまさにその質問があったのは、ちょうどその日の帰り道だった。いよいよ秘策を出す時がきた!


「うん、実はね。東京の大学にしようと思うのよ。できれば東大がいいな〜って。」

「えっ?蘭子ってそんな成績よかった?」

「あっ、うん・・・厳しそうなんだけど昔から夢だったからあきらめたくなくて・・・。」

立ち止まり、宏樹の顔を見上げて目を潤ませてから、少し伏し目がちにして言った。ここが正念場だから演技力大事!


「そっか!じゃあ僕も東大にする。一緒に勉強して頑張ろうよ。」


よっし!言質とった〜!

わたしが東大なんて十浪したってムリ。あと両親からも経済的に地元の国立以外は無理って言われてる。

だけど宏樹は頑張れば東大に行ける。お父さんも東京にいるし生活の基盤もある。


だからこのまま入試までごまかして合格発表の後、『わたしは不合格だったけど、宏樹は東京で頑張って!』とか言って、晴れてわたしはお役御免という寸法よ!

たいしてひねりのない策だけど、意外とこういった単純な策の方が効くのだ!


「よ〜し!頑張るぞ〜!」

人を疑うことを知らない宏樹は両手で拳を作って決意を固めてるぞ、よしよし・・・。



「蘭子、あなた東大に行くつもりなの?」

ママからそう言われたのは数日後のことだった。

「うんにゃ?そんなん無理でしょ。地元の国立が精一杯よ。」

「そうよね・・・。さっき宏樹くんから聞かれたんだけど、何かの間違いだろうから地元の国立が第一志望って答えといたわよ。」


なんだって!宏樹め!幼馴染の立場を利用して親に裏を取るなんて。こざかしい知恵をつけやがって!そんなにわたしを信用できないのか!

まあ、わたしがウソをついたのは事実だけど。

マズイ。早めにフォローしないと。


そのまま急ぎ宏樹の家に走った。


「ママに話を聞いたの?」

「うん・・・驚いたよ。どうして・・・。」

宏樹の顔は悲しげだ。まだ大丈夫。想定の範囲内。プランBだ。


「親にも相談したんだけど、うちの経済的な事情で・・・。だから仕方ないの。宏樹はわたしのことを気にしないで東大に行って!わたしの夢を宏樹が代わりにかなえて欲しい。それがわたしにとっても一番の望みだから・・・。」

よし、セリフも決まった!ほどよく涙も出た!これで宏樹もうまく雰囲気に流されてくれれば・・・。


「いやだ!蘭子が行かないなら僕も地元に残るよ。」


ダメだったか〜。いつもフラフラしてるくせになんでここだけ頑固なんかな〜。じゃあもうはっきり言うしかないか〜。


「あのね。真面目に聞いてほしい。ちょっと座って。」

そう言って宏樹を床のゴミがないところに正座させた。わたしも床のゴミをよけてスペースを作り正座した。


「わたしはね。宏樹に真面目に生きて欲しいの。ちゃんと自分の人生を考えて、自分で決めた道を切り開いて歩いて欲しいの。」

「うん、わかってるよ。だから・・・。」

「わかってない。せっかく東大に行ける成績があって、経済的にも可能。それなのに地元の大学に行くって真面目に人生と向き合ってるって言える?」

「でも蘭子がいるし・・・。」

「でもじゃないの!もしわたしのためにランクを落とした大学に行くようなら、別れますから!そのことを肝に銘じておいて!」

「はい・・・。」

宏樹は正座したままうなだれている。さすがにわかってくれたか。



しかし、わたしのその考えが甘かったことを知るのは夏休み前の模試の結果を受け取った時だった。


「いや〜、なんか急に成績が下がっちゃって・・・、これは地元の大学に行くしかないかな〜。」

宏樹がニコニコしながら成績表を見せてきたとき、わたしの怒りは沸点に達した!


「ふざけないで!あなたはどれだけ人生にちゃんと向き合ってないの!正直生き方の温度差が辛すぎる!しばらく距離を置きましょう!」

わたしは怒りをぶつけて、呆然としたままの宏樹を残して立ち去った。


宏樹からは謝罪のメッセがあったが無視した。そのまま夏休みに入ったが、宏樹の家にも行かないようにした。

ただ、わたしの我慢は1週間と持たなかった。

夏の暑い盛りである。宏樹の家がどうなっているのか心配だった。

ゴミや食べ残しが腐乱してないだろうか、餓死はしないとしても食中毒とかになってないだろうか・・・。

心配になって自分の勉強も手につかなくなり様子を見に行くことにした。


ピンポーン!


宏樹の家の呼び鈴を鳴らしたがまったく反応がない。おかしい。普段はあまり外に出かけないはずだし、もう日暮れ近いからさすがに寝ていることはないだろう・・・。

もしや本当に食中毒とかで倒れて意識を失っているかも!


そう思うといてもたってもいられず、合鍵を使って家に入ることにした。宏樹から鍵を失くしそうで不安と言われて合鍵を預かっているのだ。


「とりあえず異臭は・・しないか・・・。」

おそるおそるドアを開けたが、覚悟していたようなゴミや食べ物の腐乱臭はなかった。


「あれ?おかしくない?」

しかし、わたしはリビングの扉を開けて中に入るとすぐに異常に気づいた・・・。

これではまるで・・・その時だった。


「ウッ、ウギャアアアァァァ〜!」

「キャアアアアァァー!」

リビングの扉が開き、叫び声をあげながら何かが入ってきた!わたしも思わず悲鳴をあげた。


「アァァァ〜って蘭子?」

「あっ、宏樹か。」 


宏樹によれば予備校から帰ってきたところで、わたしと鉢合わせて驚きのあまり叫び出したらしい。たしかに誰もいないはずの家に誰かいたら驚くだろう。わたしも驚いた。


「どうしてここに?もしかして戻ってきてくれたの?うれしい!!」

どさくさにまぎれて抱きつこうとする宏樹を軽くいなしながら、わたしは疑問を口にした。

「わたしが来てないのにどうしてこんなに部屋がきれいなの?」

いつもならゴミや脱ぎ散らかされた衣服や読みかけの本で床面も見えないはず・・・。だけど今は一週間前にわたしが片付けたとき、いやそれ以上に片付いている。


「いや、あんまりゴミを出さないようにしたからかな〜。ほら、蘭子の作り置きおかずもないから外食ばかりで・・・。」

そう言いながら目をそらした。怪しい!


わたしは冷蔵庫を開けて中を確かめてみた。

「作り置きのおかずがある・・・まだ新しい。さては・・・。」

「あっ、いやちゃんと説明するよ・・・実は・・・。」

「新しい女を連れ込んでるのね?」

わたしはゆっくりと宏樹の方を振り返り尋ねた。優しく微笑みながら・・・。


「えっ、いや?なんで?そんなことないって。」

「宏樹が自分で部屋を片付けたり、ご飯を作ったりできるはずがない・・・。」

「いや、あのね。実は・・・。」

「いくら壁役として付き合ってるだけだって言っても、一言も無しにそれはひどすぎる。心配してたわたしがバカみたいじゃない!もう別れる。」

フラフラしてるとはいえ、こんなにいい加減なやつだと思わなかった!


そう思って駆け出そうとすると、宏樹が後ろから抱きしめてきた。

「離して!もう愛想が尽きた!」

「違う、誤解だって。他に女の人なんかいない。僕には蘭子だけだ!」

「じゃあ誰がご飯作ったり掃除したりできるのよ!みえすいたウソはやめて!」

「違うウソじゃない・・・あれは全部自分でやったんだ・・・。」


宏樹の説明はこうだった。


宏樹は、お母さんが亡くなってからお父さんを手伝って家事を分担するようになったため、中学に上がる前には一人でひと通りの家事をできるようになった。でも、中学生のころに、わたしが誤解して家事を手伝ってあげると申し出たため、家に来てほしいあまりそれを隠してしまい、現在に至ると・・・。


「いや、僕ができない方が蘭子が喜ぶと思って、むしろ蘭子が来そうな頃にわざと散らかしたりして・・・。蘭子を離したくないあまりずっとウソをついてました・・・。ごめん。」


わたしは宏樹の腕の中で方向を変えて宏樹の方に向き合いながら静かに答えた。


「わかった。朝起きられないのも、課題を忘れちゃうのもそうなの?」

「それも蘭子と一緒に登校したり勉強したかったから・・・。」


「じゃあ、宏樹はずっとわたしを騙して利用してたんだ・・・。とっくに、いや最初から独り立ちできてたのにできないフリをして、わたしに家事とか押し付けてたんだ・・・。ふざけないで!もっと真面目に生きて!」


わたしは宏樹を突き飛ばし、玄関で靴を履くと宏樹の家を勢いよく飛び出した。

後ろの方で「そうじゃない。話を聞いて!」という宏樹の声が聞こえたがどうでもいい。もうとっくにわたしの役割は終わってるじゃない!


ドンッ


突然の衝撃の後、気づいたら病院のベッドの上だった。どうやらわたしは宏樹の家を飛び出した時に出会い頭にクルマに跳ねられたらしい。

足の骨折以外はすり傷くらいで済んだのが不幸中の幸いだ。頑丈に生まれてよかった。


「蘭子、目が覚めた?何か飲む?欲しいものある?」

ベッド脇には宏樹がいる。わたしが入院してから毎日来てくれている。まさか宏樹の世話になる日が来るとは。


「前にも言ったけど毎日来る必要ないから。」

「でも、怪我したのも僕のせいみたいなもんだし。」

「いや、飛び出したのが宏樹の家ってだけで完全にわたしの不注意だし。」

「受験勉強とかもあるし、参考書とかも持ってくるよ。あっ、ここで一緒に勉強しようよ。」

「まあ、それは助かるけど・・・。」

「あと、退院してからも大変だろうから毎日迎えに行くね。今度は僕が壁役になるよ。」

「いや、宏樹じゃないんだから、もてないわたしに壁役はいらんし。」

「じゃあ杖役でもいいよ。今度は僕が蘭子のお世話をする番だから遠慮しないで。」

「む〜。」


本当に宏樹の考えることはわからん。こうして動けなくなっても来てくれて、むしろ世話を申し出てくれているということは、別にわたしを利用しようとしているわけではなさそうだし・・・。

まあ、わたしが回復したときに独りで生活できるようになってくれていたらそれでいいけど・・・。


⭐︎⭐︎


蘭子は、僕に対して人生に真面目に向き合っていないとよく言うけど、僕は至って真面目に生きている。ただ人生における優先順位が違うのだ。僕の人生における最優先は、大学よりも何よりも蘭子である。


だから蘭子を離さないようにするため、色々と頑張ってきたのだが、それが蘭子の価値観からは不真面目に見えるらしい。


「蘭子ちゃんのように、宏樹のことを考えてくれる人は大切にするのよ。そうすれば宏樹の人生はきっと素晴らしいものになるはずよ。」

病床にあった母の言葉の影響もあって、僕は蘭子がずっと好きだ。離したくない。


中学の時、告白して即答でフラれた後も、名目上の恋人でいいと食い下がり、また一人で何もできないフリまでして必死で繋ぎ止めてきた。だから蘭子が怪我で動けなくなった今は僕が役に立って繋ぎ止めたい。


僕は蘭子がわからない。名目とはいえ交際してくれているし、家にも来てくれる。

でも、僕がいくら好きだと言っても本気にしてくれないし、お世話はしてくれても愛情表現は物足りない。最近は僕を一人で東京の大学に行かせようとするなど距離を取ろうとすらしている。


僕は蘭子との温度差がつらい。恋人としての温度差が。












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