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第26話 勉強教えて宇治原くん! 7 過ぎ去ったミスコンとボス大黒

「何の話だったの? 」

「勉強を教えるにあたっての心構え? のようなものだった」


 ふ~ん、と疑わしそうな目で見上げてくる愛莉(あいり)

 間違ったことは言っていない。


 頑張り過ぎるから休ませろ。そう言われたが今の彼女に言うことでもない。

 今愛莉は気持ちにブーストがかかっている状態だ。

 それにブレーキをかけることが得策(とくさく)でないのは誰にでもわかる。

 これは彼女の成績と様子を見ながら俺が提案すれば良い事だ。


「ま、良いけど」

「気になったことを聞いても良いか? 」

「なに? 」

「大黒先生、ミスコンに出る予定でもあったのか? 」


 俺の言葉を聞き愛莉の瞳が大きく開いた。


「え、レン。知らなかったの?! 」

「全く興味がなかったからな。ミスコンどころか学園祭にも」

「……本当に男子? 」


 途轍(とてつ)もなく失礼なことを言われた気がする。


 しかし学園祭に興味がないのは俺だけじゃないはずだ。

 学園祭は陽の者が仕切るパーリィーデイ。

 俺達のような影に生きる者達が参加する(もよお)しではない。


「男子からの要望だったんだけど」

「少なくとも俺は要望を出していない」


 愛莉が「みたいだね」と言い、俺達は廊下を歩く。


「しかしそんな要望が通るのか? 学園祭って学生が主導するものじゃないのか? 」

「主導して暴走した結果がこれだよ」

「暴走……」

「一応ボクも役員だったからね。事情は知ってるんだ。男子が言っていたこともわかるんだよ。盛り上がるって言うのは」

「まぁあの容姿だからな」


 愛莉の足が少し止まり、そしてまた俺の隣まで歩いて来た。


「女子としては複雑だけど外から来るお客さんからの収益が見込めるのも理解はできるんだ」

「大黒先生を見に来た人達がお金を落として行くからか」


 隣を見ると愛莉が小さく頷く。


「けど結果的に大黒先生はミスコンに出なかったんだろ? 」

「そう。何でも「風邪を引いた」って」

「サボりの常套句(じょうとうく)

「そう。それだけなら「もしかしたら本当かもしれない」と思うかもだけど、その日違う場所で大黒先生が発見されてたからね。男子は怒りまくって」

「それは怒るな」

「だね。けどその一件で男子に対する女子の好感度的なものが一気に下がったよ」


 そうなるよな、と思いつつ「もしかして俺もその中に入っているのか? 」と思った。

 知らない所で盛り上がり、知らない所で玉砕(ぎょくさい)し、知らない所で人に迷惑をかけないでほしい。


「それならなんで次の学園祭のミスコンに大黒先生が出るように()けたんだ? 」

「単なる意趣(いしゅ)返し、のようなものかな」

「? 」|

「大黒先生が次の期末テストで上位三十位に入れというのはボクの事を思ってとの事はわかるけど、それを提示(ていじ)するのなら先生もそれなりのリスクを()わないといけない。そう思わない? 」

「それがミスコン参加、と? 」

「そう。仮病(けびょう)を使ってまでミスコンに出るのを嫌がったんだ。なら賭けの材料としては()り合っていると思うんだけど」


 愛莉がいたずらっ子っぽく笑う。


 大黒先生は愛莉の医学部挑戦を否定しなかった。

 愛莉にとって背中を押してくれたのはありがたい事だろう。

 これが普通の先生ならば「やめておけ」の一言で一蹴(いっしゅう)されるのが目に見えている。


 しかし逆に嫌がらせのような難題を吹っかけてきたのも事実。

 医学部への入学を諦めない愛莉だが、今回の難題には流石に思う所があったということか。


「ま。任せてよ。猛勉強して見返してやるんだから! 」

「期待しておく」

「他人事の様に……。ボクはもとより全力を()くす気でいるけど、ボクの学力はレンにかかってるといっても過言(かごん)じゃないんだからね」

「そうかもしれないが、結局の所勉強は自己研鑽(けんさん)だからな」


 そう言っている間に俺達は教室についた。

 運動部員は部活へ行き、勉強ガチ勢は塾へ行き、帰宅部が帰った誰もいない静かな教室。

 俺は席に座り、愛莉は空いているトモの席に座った。


「じゃ、一先ずどのくらいできるか教えてもらおうか」

ここまで如何だったでしょうか?


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