表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

11/62

第11話 宇治原くん、風邪をひく 1

 スマホの目覚ましが聞こえてくる。

 目を(つむ)ったまま音源を探す。

 コツンと硬いものに手が当たり、続いて振動が伝わって来たのでスマホだとわかった。


 それを手に取り止めようとするも、(まぶた)が重い。

 いや瞼だけじゃない。

 何か頭がぼーっとし、体中が重い。


 眠たいわけでは無い。

 しかしこの重さ……。


「風邪引いた、か……ゴホゴホッ」


 ★


 むくりと体を起こして動こうとする。


 その時気が付いたのだが、俺の体にケットがかかっていない。

 ケットは俺の枕の隣にある。

 なるほど。寝汗と夜の寒さにやられたということか。

 日中暑いといってももう秋だ。夜はそれなりに冷え込む。

 原因に納得しながらも体をもぞもぞと移動させる。


 スマホを持ったまま重たい体を無理やり動かし、ベッドの(ふち)に座る。

 回らない頭で何をするべきか、考える。


「……学校に連絡? いやその前に体温計か」


 どこにあったか思い出しながらも腰を上げる。

 ねっとりとした気持ち悪さに襲われた。


「汗、()かないとな」


 顔を(ゆが)めつつベッド下にあるケースを引っ張りタオルを取り出す。

 服を脱ぎ体を拭いてついでに着替えた。

 少しさっぱりしたが体の重さは変わらない。

 一先ず体温計を探すため俺はノブに手を回した。


 リビングまでの短い廊下がいつもよりも長く感じられる。

 これは本格的にまずいかも、と思いながらも途中風呂の扉を開けて洗濯かごにタオルを入れる。

 ダイニングとくっついたリビングを歩きぼやける視界で薬箱(くすりばこ)を探す。


「確か取り出しやすい場所に置いていたはず」


 日頃(ひごろ)使わないからあまり場所を覚えていない。

 うろ覚えながらもやっとの思いで薬箱を見つけ体温計を(わき)に挟んだ。


 ピピピピピ……。


「これはまずいな」


 体温計を取り出して確認すると三十八度六分を指していた。

 病院に行った方が良さそうだと思いながらも体温計を元に戻していると、中にある市販(しはん)薬が目に映った。


「一時(しの)ぎくらいにはなるか」


 薬箱から横長(よこなが)な市販薬を取り出した。


 ――何があるかわからないから持っておきなさい。


 母さんの言葉だが、全くもってその通りだったな。

 実家を出る時、「そんなのいらない」と言った俺を殴りたい。


 パッケージの裏を見ると食後の方が良いらしい。

 パンがあったと思いだしそのままキッチンを探って食パンを(かじ)る。

 コップを準備し冷蔵庫から水を取り出し容器に入れて、ひんやりとした水で風邪薬を飲んだ。


「後は連絡か」


 それぞれ片付け部屋に戻る。

 ぼーっとする頭を何とか動かしスマホを発見。

 そう言えば学校の番号わからん。

 重大なことに気が付きどうするか考えつつ、机からスマホを回収。


 ベッドに寝転がりながら考えているとウトウトしてきた。

 まずいと思いつつも天井を見ていると「トモに連絡を頼むか」と思いつく。

 すぐにスマホを操作して『佐々木友和(ともかず)』を選び、「風邪ひいた。三十八度六分。先生に伝えて」とだけうち、そして俺は意識を手放した。

ここまで如何だったでしょうか?


面白かった、続きが気になるなど少しでも思って頂けたら、是非ブックマークへの登録や広告下にある★評価をぽちっとよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
新連載を始めました。
ジャンルはおっさんものの異世界ファンタジーになります! もしよろしければご一読ください。
アラフォー冒険者の田舎暮らし~元魔剣使いのセカンドライフ! ~
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ