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燎が世界を照らすとき  作者: コンパス定規
1章 『灯火』
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5話 『あなたの想いと共に僕は踏み出す』


『ゴブリン三体撃破』


 戦士であれば決して難しくない、いやむしろ簡単な部類に入るクエストだ。

 だが僕にしてみればギリギリこなせるかどうかの難易度だ。クリアできるかどうかの難易度。


(すごいな、マリーさんは。)


 心からそう感じる。それと共に感謝の念が押し寄せてくる。

 ばれなければ大丈夫とマリーさんは言っていたが、そんなわけはない。あの言葉の裏に、その決断の裏に、どれほどの覚悟があるだろうか。

 僕にできることはその期待に応えることだけだ。

 都市を出発し、しばらく歩くとその繁栄ぶりは次第に消え、緑が広がっていく。

 都市の喧騒と自然の静けさ。

 僕はこの静かさが好きだった。風の音、草の匂い。全てが僕を包み込んでくれる。自然を前にすると僕がいかにちっぽけな存在かを思い知らされる。

 この悩みも想いも全部ちっぽけに見えてくる

 だからこそ自然が好きだった。

 そんなことを考えながら歩いていたので、気付くと目的地に到着していた。


『怪物の大森林』


 その名の通りモンスターが住み着いている大森林だ。

 この森林から出たモンスターが町や村を襲うことが多々ある。

 世界には各地にモンスターの住みかとして発達した場所があり、そのような場所のことを『ハザードスポット』と呼ばれている。

 もちろんハザードスポット以外の場所にもモンスターが出現することはあるが、モンスターの強さは断然ハザードスポットのモンスターの方が強い。

 というのもハザードスポット内では常にモンスター同士での殺戮が行われているらしい。モンスターにとっても食料は必要であるし人間などはめったに入り込まないために互いに殺し合い、負けた方が食われ、勝った方が食うという食物連鎖が行われている。

 だから生き残り、ハザードスポットにいるモンスターは自然と強くなる。

 この怪物の大森林もハザードスポットの一つである。

 ハザードスポットには各々に特徴があるが、この森林の特徴として中心部に近づくにつれモンスターが強くなっていく点が挙げられる。

 森林に目を向ける。

 そこには僕の好きな自然が広がっている。見た目は何も普通の森林と変わらない。だが一度入ってしまえばそこには地獄が広がっている。

 一人でここに入るのは初めてだ。というか普通の戦士なら入らない。

 別にここじゃなくてもゴブリンはいる。ここである必要はない。

 身体が震える。正直怖い。

でも応えたい。マリーさんの期待に。そう思うからこそここでなければならないと感じる。


「よしっ。」


 気合を入れ直す。絶対に倒して帰ってくる。

 僕は自ら地獄への一歩を踏み出した。



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