エピローグ 『禁忌』
人間と何が違う。どうして人間はそんなに強くなっていける。我々はどうして狩られなければならない。殺せという使命の下、生を受け、その生を全うした。だというのにどうして、死ななければならない。
我が何をしたというのだ。人間を殺すことこそ我が生きているという証明。それを悪とみなされ、殺される。
世界がそうであるならば、我々はどうすれば報われる。
人間を狩りつくせば、報われるのか。人間を狩りつくし、我が種が世界を統べたといえれば報われるのだろうか。本当にそうか。何をもって、何のために我は生まれてきたのだ。
これが思考というものなのか。進化の中で感情を手にし、恐怖を感じた。圧倒的魔力の前にひれ伏すしかなかった。あれはどこか懐かしさがあった。どこであったか分からない。いやきっと我ではない。遺伝子に刻まれた、我々に刻まれた太古の記憶。
なぜ、我々は生まれた。
なぜ、人間が神の力の一端を使える。神が人間に力を与えたのか。
そうであるならば、なぜ、神は人間に能力を与えた。
なぜ、その能力を使って我々を殺す。
人間を殺せという使命を与えたのは神自身であるというのに。
主はそれを知っていたのか。知っていてなおそれに従っていたのか。
とめどなく流れてくる疑問。なぜ、なぜ、なぜ、なぜ。
刹那、その思考を止めるものが脳に流れ込んでくる。何かは分からない。ただ制限ともいうべきか、その先の思考を止めるようにどす黒い何かが脳裏を支配する。
瞬間、それは思考を奪われる。その代わりにもう一つの命が与えられる。死んだはずのその生物がもう一度地上に振り落とされた。ただ、人間を殺すために。
山々に無造作に切り捨てられた同胞の血肉を糧として、氷漬けにされた、燃やされた、モノたちの破片を糧として、その黒い塊の様を呈しているものに命が与えられた。
今話で2章完結となります!
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それでは、3章でお会いしましょう。




