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燎が世界を照らすとき  作者: コンパス定規
2章 『始動』
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19話 『確かな異変と信頼を持って剣を握る』

 まるで僕の成長を待っていたかのように、何かを掴むのを待っていたかのようにその異変は突然起きた。

 朝食を食べ終え、山の調査に向かおうとしたその時だった。全員がその異変に気が付く。地面が揺れている。地の怒りを体現するように地響きが起きた。


「なんだこれは‥‥」


 見るものは言葉を失い、絶望した。地震であったならまだよかった。地震のせいで土砂崩れが起きたのならまだよかった。だが、それは違った。

 その地震の正体。

 それは巨大蟻の大群の大移動によって引き起こされたもの地鳴りであった。地が揺れる程の大群が差し迫ってきている。

 それはまさしく絶望であった。ボス級と対峙したときとはまた違ったものであったが、それもまた紛れもない絶望であった。


「終わりだ…」


 誰かがそう呟く。村人はその場にひざまずき、天を仰いでいる。

この二週間彼らは決してこの地を離れようとはしなかった。きっと彼らが、いや彼らの先祖が開拓し、確かに守ってきた地であったからであろう。この地を離れ、避難することもできた。だがそれをしなかったのは彼らの責任だ。あくまでこのクエストの依頼は巨大蟻の討伐。そこに彼らの保護は含まれていない。

そんなことは分かっている。

だが、彼らが、あの村長がどんな思いで、僕たちに依頼したのか。考えなくても分かる。

僕が、今、ここで、絶望してる暇なんてあるのか。



「一匹すらもこの地に踏み込ませない。村に入る前に駆除します」



 そう強く、仲間にだけ伝わる大きさで呟く。もっと効率の良いやり方があると否定されるかもしれない。自分たちの力では無理だというかもしれない。だけど、妥協はしたくなかった。自分の想いを、戦士としての在り方を曲げたくなかった。

 だが、そんな心配は杞憂であった。

 彼らは、誰一人として否定しなかった。常に冷静で僕を止めてくれるシレーヌさんの目は覚悟を決め、確かに仲間となったラルウァさんは不敵に微笑み、人一倍の温かさを持ちつつもひどいまでの現実主義者であった彼女はただ一心にその群れを見ている。

 彼らの姿勢から、視線から、表情から、何を考えているかは一目瞭然だった。

 あぁ本当にこの人たちとパーティを組んでよかった。


「行きましょう!」


 剣を抜き、一歩を踏み出す。絶望に負けないほどの頼もしさがそこにはあった。




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