9話 『何者かとそう問われる中で』
その後、ロゼリアさんとルーネさんに案内されながら外に出る。
「それにしても、あなた何者なの?」
たわいもない会話の最中に、突然にその問いをしたのはルーネさんだった。
「何言ってんのルーネ。カルナはカルナだよ?」
ロゼリアさんはその質問の意図を理解していないようだった。
「そんなことは分かっているわ。私が聞きたいのはそういうことじゃなくてあなたの能力はいったい何なのかってこと」
「能力?試合見てれば分かるでしょ?火使ってたじゃん」
「はぁ。あんたそれ本気で言ってるの?」
ロゼリアさんは頭に?を浮かべている。だが僕にはその質問の意図がはっきりと伝わった。
「だから、その火が問題なんでしょ。あんたうちの主神が何を司る神か忘れたの?」
「あ」
そこまでいいその意図を理解したようだ。
「確かにー!てことはカルナもうちもパーティってこと?えでもさっきよそ者って。え?どういうこと?」
質問の意図が理解できた今、ロゼリアさんの頭には一層の?が浮かんでいるようだった。
「そう、リーダーは確実に彼のことを『よそ者』と言ったわ。つまり彼はフレア様からの恩恵は受けていない。とするならフレア様の火から派生した何者かが神に至ったということ。でもそんな話は聞いていない。」
「あなたは一体誰の恩恵を受けたの?」
さきほどのユーリさんの視線とまではいかないがそれに負けずとも劣らない鋭い視線を向けてくる。ロゼリアさんは単なる興味本位というようであるが。
きっと彼女は見極めようとしているのだろう。立場上ユーリさんほどの情報を神から与えられちいるわけでもない。だからこの場で、自身の目で、僕という戦士が信用に足る人物であるのかを見極めようとしているのだろう。
だから、その質問にちゃんとした答えを提示するのが正解であるのだろう。だが僕はその答えを持ち合わせていなかった。僕自身、この能力が何なのか分からなかった。
「分かりません」
それしか答えられなかった。
数秒の沈黙が訪れる。
「ふっ、まぁいいわ。そんな簡単に人を見極めることはできないわ。でも覚えておいてね。もし私たちの敵になるようだったら容赦はしないから」
視線が交差した後僕に笑顔を向けてそう言った。そこには強者の余裕が感じられた。やっぱこの人も相当な戦士なのだろう。
「んーまーよくわかんないけどカルナは友達ってことだよねー?」
どういう流れでそうなったのだろう。この人の思考が全く読めないぞ。
「そういうことでいいわ」
ルーネさんもロゼリアさんの前ではこれ以上何を言っても無駄だと半ば諦めたように溜息をつきながら笑った。
「じゃあさ!あそこ行こうよ!カルナのも壊れてるみたいだしさ!」
ロゼリアさんは僕の腰につけられた真っ二つになった剣を指さしながら僕らを次の目的地へと誘う。
そう言えばそうだった。あの森林での戦いで壊れた剣がそのままであったのを忘れてしまっていた。それにしても「あそこ」とは?
「それ私も思ってたわ。あなた剣士よね?よく剣士が剣を折れた状態で決闘を承諾したものね。それとも、剣があればルーヴに勝てたのかしら」
さんは先ほどよりも警戒はしてないもののどこか挑発的な態度だった。
どうやらルーネさんはこのスタイルで僕に接するらしい。まぁ分からなくもない。フレア様の恩恵を受けていないのにもかかわらず炎を使う得体のしれない者なんて不気味というか怪しいしな。逆にロゼリアさんがすごいのだ。
「いや、そんなことは‥‥」
こういうときなんて答えればいいのだろう。剣があったところで僕がルーヴさんに勝てないのは明白だったし、それにしてもそれをただ率直し伝えるのも違う気がする。「そんなわけないじゃないですか~!」なんて軽口で答えられたらいいのかもしれないがそんなこと僕にはできない。その結果一番つまらない反応になってしまった。
「まぁいこーよ!私たちの行きつけ教えてあげる!」
そう僕が悩んでいるのなんか気にすることなく、楽しそうにロゼリアさんは僕らを案内した。




