8話 『神は鋭く律する』
試合後、僕とシレーヌさんは一緒に試合を観戦していたロゼリアさんたちに連れられ神殿内部の中心まで来ていた。そこはユーリさんのパーティの本拠地であるようだった。「外部の人間を本部に連れていくなどありえない!」と副団長である、眼鏡の男戦士は怒っていたがロゼリアさんはそんなのお構いなしに僕らを半ば強引に連れ出した。
その内部には相変わらず輝かしいオーラを放っている男神と、凛として立つ女戦士がいた。彼女の立ち姿は先ほどの試合の疲れなど一切感じさせなかった。
「さすがリーダー!」
無邪気な声でロゼリアさんはユーリさんを見つけるとすぐに笑顔で走って近づいていき先ほどの試合の勝利を称賛した。
「ありがとう」
なにやら顔が赤い。この人がこんな顔を見せるのは‥‥‥
「そうだろう!やはりユーリは頼りになる!」
そう隣に立っていた神フレアも称賛した。
やはり、この神が原因なのだろう。敬愛する神からの真っすぐな称賛に一層顔を赤らめる。この人にこんな表情をさせるのはこの男神しかいない。
「わぁリーダー照れてるー!」
メンバーたちがその様子を茶化している。この様子はメンバー公認なのだろう。まぁ来たばっかの僕が見抜かるくらいだからそれも当然のことだろう。
「まぁ、私の話はこの辺にしよう。で、君たちが来た理由は?」
咳払いと共に赤く染まった顔を一瞬でパーティのリーダーの顔へと戻し、その視線を僕たちに向けその理由を問うた。
「理由と言われましても…」
ここに来た理由。それは僕自身よくわかっていなかった。彼女に言われるがまま連れてこられ、その張本人はここにはいないようだった。
沈黙が訪れる。
その場にいたメンバー全員の視線が僕たちに集中する。それもそうかもしれない。駆け出しの中の駆け出しがA級戦士が率いるパーティの本拠地を訪れるなどありえない。あるとすれば神フレアに能力を授かりに来た、という理由くらいだろう。
沈黙を破ったのは男神だった。
「まぁその用事なら済んだのだろう!もともと彼らに用事があったのではないようだしな!」
その口ぶりは全てを察しているようだった。
「ですが…」
彼女は納得できないでいるようだった。リーダーとして自身のパーティの全てが詰まっているとも言っても過言ではない場所によそ者が入ってきたのだ。その事情をはっきりさせたいのは当然のように思えた。
だが、それは男神が許さなかった。その目はいつもの目とは違い、鋭く律するものだった。まるでこれ以上踏み込むなと言わんばかりの目だった。
「はぁ、分かりました。これ以上の詮索はやめましょう。ですが君たちにこれ以上ここにいる理由がないのなら帰ってもらいたい。ここに外部の人間がいるというのは落ち着かない」
「えー、リーダー冷たーい。いーじゃんもうちょっといてもー」
ロゼリアさんはそう駄々をこねているが大半のメンバーがユーリさんの意見に同意のようだ。
「分かりました。じゃあ帰らせてもらいます」
「あぁそうしてもらえると助かる」
そういいここを後にしようとする。シレーヌさんにも声を掛け外に出ようとした多ときある問題に気が付いた。
「あの…、どこから出ればいいですか?」




