閑話 日常
僕の朝は早い。
午前五時起床。顔を洗い、外へ出る。
この時期の朝はまだ薄暗い。昼夜問わず賑わい、繁盛しているイスファンも朝だけは静まり返っている。
そしてその静かな町の中を走っていく。
約十キロ走り終わると次は剣の修行に入る。僕に剣の技を教えてくれる人などいるわけがないので毎日一人で行っている。
これは小さいころから毎日欠かさず行っている。
幼いころの記憶。
ある一人の戦士に助けられた。
その人はその身にまとった炎で僕を照らしてくれた。
生きる意味をくれた。
その人は僕の命の恩人であり、憧れの存在であり、そして師匠でもあった。
その師匠の技が、剣技があるからこそ僕はサポーターを続けられている。
今も昔も僕は師匠に助けられている。そんな自分が許せなかった。
燃え盛る炎の中、母さんの最後の言葉
―あなたは、人をたすけられる―
自暴自棄に陥っていた時、師匠が言った言葉
―もう大切のものを失いたくないのならこちら側にきなさい。助ける側に。あなたにならできる―
この世界の中で一番愛していた人と、この世界の中で一番かっこいいと思った人が言ってくれた言葉。
僕は人を救わなければいけない。
だからこそ、僕はサポーターであり続ける。
だからこそ、今日も僕は一人修行を続ける。
こうしてまた、僕の一日が始まる。