エピローグ
少年は乗り越えた。
どんな非難も、しがらみも、試練も、才能の壁さえも、少年は乗り越えて見せた。
一度は愛する者を失い絶望の淵に堕ちようと。
一度は自身の無力さに絶望し、心が折れようと。
少年は立ち上がったのだ。
あぁ、彼が、彼こそが、この少年こそが真の戦士になるべき者であるのか。
だとするならば彼女にはなんて先見の明があるのだろう。あの弱々しかった少年に可能性を見出し、この試練を用意したとでもいうのだろうか。
いや違う。
彼女はそんな打算的な女ではない。
救えるものを、その手で救えるものはすべて救おうと考えていたただのお人よしだ。
だとするならばこれは少年の足掻きに他ならないのではないか。
自身の才能を人に認められず、何も成し遂げられなかった少年の足掻きではないのか。
ならば見届けよう。
少年の雄姿を。弱々しい勇者の姿を。
まだ弱い。まだ足りない。
それでもその想いは歴代の者たちとも何の遜色はない。いやむしろずば抜けているともいえる。
現代にもまだいたのか。純真たる想いを秘めた愚か者が、まだいたのか。
その力に溺れるか。欲にまみれるか。それとも―
少年の本当の試練はここからだ。
想いを燃やしなさい。生きる意味を考えなさい。
何度転んでもいい。その度に立ち上がればいいのだから。
その姿こそが、戦士であり、勇者の姿であるのだから。
その力で多くの者を救いなさい。その温かさで多くの笑顔を咲かせなさい。その炎で悲しみを、絶望をその炎で溶かしなさい。そして―
絶やしてはならない。灯し続けなければならない。
それこそがあなたのあるべき理由なのだから。
それこそが原始の炎の存在理由なのだから。




