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燎が世界を照らすとき  作者: コンパス定規
1章 『灯火』
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30話 『彼女は問うた。戦士はいかなるものか、と』


『あなたは何を想う?』


 声が聞こえる。優しく全てを包み込んでくれるような声。僕は死んだのだろうか。


『あなたはどうなりたい?』


 そっと目を開ける。あたりは白く、輝いている。

ここは…?どこだ?

 やはり死んだのだろうか。だとしたらここは天国か。


『ここは天国ではありませよ。正確にはあなたはまだ死んでいません。』


 え、僕口に出していたか?心を読まれた?

 というか声の主はどこにいる?この空間には僕以外の姿は見えない。

 それに僕は死んでいないのか。だとしたらこんなことをしている場合ではない。あいつを足止めしないと…!


『足止めをして何になるの?』


 え?


『仮にあの子が助けを呼んできたとして、あのモンスターを倒すだけの手練れを呼べると思う?』


 痛いところを突いてくる。というか僕らが置かれていた状況を知っているのか。

 心なしかあたりが徐々に闇に包まれていく。

 確かにそうだ。あのモンスターはおそらく、いや確実にボス級に分類されるモンスターだ。

 そのボス級に対抗できる戦士がどれだけいるだろうか。D級では無理だ。最低でもC級、できればB級以上が望ましい。

 それほどの戦士を運よく見つけられる確率はかなり低い。


「それでもやるしかないんです。そこに助かる可能性があるのなら…!」

『死ぬわよ?』


 現実を突きつけてくる。だがそんなことは関係ない。


「たとえ死んだとしてもやらなきゃいけないことがあるんです。」


 そうはっきりと答える。


『あなたをそこまで突き動かしているものは何?』


僕を突き動かしているもの。


「僕は戦士に助けられ、戦士に憧れました。僕は戦士になりたい。」

『戦士ね…。私は彼らに辟易しているわ。自らの力に酔い、プライドと傲慢さをはき違えた彼らと同じになりたいっていうの?』

『それにあなたは適性に恵まれなかったのでしょう。そんなあなたが戦士になれるの?』


 この人の言っていることは正しい。でも僕がなりたいのは―


『あなたにとって戦士とは、なに?』


 僕にとって戦士とは―

 幼い時の記憶。あの頃は師匠に何度もボコボコにされた。その度に僕は師匠に言った。

―戦士である師匠に勝つなんて無理だ―と

 その度に師匠は決まった返答をした。当時は何を言っているかわからなかった。ただの詭弁だろうと軽く聞き流していた。

 思い出した。どうして忘れていたのだろう。今ならわかる。師匠の言葉。

―あんたは戦士を何だと思っているの?力があれば戦士?魔法が使えれば戦士?違う。戦うから戦士なのよ。モンスターとだけじゃない。自分自身とも、よ。怖い、つらい、憎い、もうやめたい、逃げ出したい、そんな弱い自分と、負の自分と常に戦うの。それら全部に打ち勝って助けを求める人の前に立つ。それが戦士よ―

 そう、立つんだ。立ち上がるんだ。かっこ悪くても、泥臭くてもかまわない。

 守るために。

 今なら答えられる。あの時答えられなかった質問に、今なら答えられる。

「僕にとっての戦士は―」

 辺り一面が光り輝く。闇は消え光が全てを照らす。

 無駄な言葉はいらない。どうせこの人は僕の心を読んでいるんだから。


「どんなに絶望的な状況でも、守るべき人がいる限り立ち上がる、そんな人のことだ!」

『身の丈に合わない、なんて無謀な想い。そんなの理想でしかない。でも、その純粋無垢な想いこそがこの世界を変えるのかもしれない。いいわ。あなたにその資格を与えましょう。でもあくまでこれ試練。この先どうなるかはあなた次第。見せてもらいましょう、あなたの想いを!』


 そう聞こえたかと思うと白く輝いていた空間がより一層輝き、何も見えなくなった。




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