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燎が世界を照らすとき  作者: コンパス定規
1章 『灯火』
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28話 『最後の最後に、戦士であるために』

 ずっと疑問だった。

 自分は人を助けたいと、守る側の人間になりたいと、そう思っていた。

 その想いが本物なのか、疑問だった。

 ずっと恐れていた。

 本当の意味での死に際でもその想いを持ち続けられるのかと。

 今まで幾度となく死にそうになったがそのときは常に自分よりも強いものがいた。

 なんだかんだ守ってくれた。

 モンスターをおびき寄せるための囮に使われようとそれが善意ではないにしろ、最終的には助けてくれた。

 だから本当に自分しかいないとき、そしてその場に守りたい誰かがいるとき、僕は逃げずに戦えるだろうか。逃げ出したりしないだろうか。

 怖かった。

 そんなときいつも決まって思い出していた言葉があった。だけど今は思い出せない。とても大事な言葉だった気がする。

 そして実際、いまその状況が目の前に広がっている。


「カ…ルナ‥‥さん‥‥。」


 今にも途絶えそうな声で僕の名前を呼ぶ人がいる。


「シレーヌさん!」


 シレーヌさんが目を覚ました。

 方法を二通り考えていた。

 一つ目はシレーヌさんが目を覚まさない場合。

 この場合は爆発玉を駆使しながら相手の意識をこちらに向け、引き離す方法。爆発に誰かしらが気付き、ここへ来てくれることを狙いとした方法だ。

 他人任せになってしまうがこの状況ならこれくらいしかできない。

 そして二つ目がシレーヌさんの意識が戻った場合。

 この場合は前者よりもかなり状況が好転する。どちらか一方が敵を足止めしているうちにもう一方が助けを呼びに行く。

 つまりシレーヌさんが目を覚ましたこの状況で僕のとるべき行動。それは―


「シレーヌさん!聞いてください!僕がこいつを引き受けます!その間に誰か呼んできてください!できるだけ強い人を!」


 そう叫ぶ。

 だがシレーヌさんは動こうとしない。何を言っているのかわからないという表情をしている。

 それは当然かもしれない。

 戦士とサポーター。

 それぞれの役割を考えればどちらが何をやるかは明白だった。

 例えシレーヌさんが傷を負っていたとしてもそれは変わらない。

 つまり僕が助けを呼びに行き、シレーヌさんが足止めをする。

 もしくは二人で戦うか、逃走するか、の選択しかない。

 サポーターが足止めをし、戦士が助けを呼ぶなどありえない話だ。


「私も一緒に戦います…!だから…!」


 そう必死に訴えかけてくる。

 だが、僕の心は決まっていた。


「シレーヌ‼行け‼」


 そう叫ぶ。

 シレーヌさんは一瞬驚いた顔をし、すぐに目に涙をためた。


「大丈夫だから。」


 そう優しくなでるように言う。


「だから、行け!」


 そう大声で叫ぶとシレーヌさんはためていた涙をこぼしながら走っていった。

 これでようやく、ようやく死ぬことができる。

 僕は今日ここで死ぬ。

 ここが僕の死に場所だ。

 だけどただでは死ねない。せめて最後は胸を張って「生きた」と言えるような生き様でありたい。

 短剣を握りなおす。


「第2ラウンドだ…!」




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