26話 『彼は最後と、そう言った』
「え、なんでですか……?」
シレーヌさんは驚き、言葉を失いつつも絞り出したようにそう尋ねてきた。
「もしかして、昨日のことを気にしているんですか?それなら…!」
それと同時に恐れていたことが起こってしまったと言わんばかりに抗議してきた。
「違うんです。僕があなたの師匠としてもう教えるべきことはない、そう判断したんです。」
昨日の一件のあとよく考えて出した答え、それは彼女の師匠をやめること。
僕が師匠である限り彼女はこれ以上成長できない。
「そんなことありません!私はあなたにまだ教わりたい!前戦ったときだって私が負けました!だから…!」
「あれはあの時シレーヌさんが僕の攻撃を見たことなかったからです。本当はもうあなたの動きについていくのが精一杯です。そんな僕に、弱い僕にあなたの師匠でいる資格はありません。」
「そんな…。」
「あなたはきっと強くなる。多くの人を救えるようになる。その未来に、僕は不要です。」
失意に満ちた顔が貼り付けけられている。
「それってどういう……?」
もう僕が言おうとしていることを理解しているだろうがそのことを信じたくないと言っているかのようにシレーヌさんが問いてくる。
僕は心を鬼にして言う。
「もうあなたとパーティを組むことはできません。」
その答えを聞いたシレーヌさんは今度こそ失意の念に包まれる。
そんなシレーヌさんに最後に声をかける。
「最後のクエストに行きましょうか!」




