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燎が世界を照らすとき  作者: コンパス定規
1章 『灯火』
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20話 『僕はなにも変わっていない』

気づくと家についていた。家といっても捨てられたボロボロの小屋を優しいおじさんが譲ってくれたとても質素なものである。それでも住む場所があるだけありがたい。

一見とても華やかに見え、全員が金持ちにみえるイスファンでも、貧しいものは存在する。ひどい人は家も持っていない。そういう人たちはスラム街と呼ばれる無法地帯に住むしかない。

モンスター討伐依頼をはじめとするクエストの管理や戦士の登録だけでなく、都市の警備を担っているギルドの目もスラム街には届いていない。

そんなこんなで家の有難みを感じながらベッドによこになった。

僕の頭の中には先ほどの会話がはなれなかった。


『現実からにげるなよ!』


ある神のことばであった。


「現実、か…。」


そう呟きながら、この家に一つしかない本を取り出した。田舎から出てきて何も知らない僕がこの世界を知るために少ない貯金から出して買った本である。


「ボロボロだな…。」


 何回も読み返した本は所々汚れ、ボロボロになっていた。保存方法も悪いのかもしれない。その本を開きもう暗記するほど読んだページをもう一度読む。

 そこには、人とモンスター、そして神について書かれていた。


『約二千年前の世界にはモンスターなどという生き物は存在していなかった。一匹の竜を除いて。現代ではその竜を始原の竜と呼んでいる。始原の竜は強大な力をもっていた。人々は恐れ、救いを求めた。その願いに答えたのが六体の神だった。それぞれが炎、水、地、雷、光、闇を司り、力を合わせて戦った。しかし、六体の神の力をもってしても始原の竜を追い詰めることができてもとどめを刺すことはできなかった。竜は自らを回復させるべくこの地を去った。そして自身を守るため大量のモンスターを生み出している。

 ここで神は考えた。不変であるが故に何度やってもあの竜にはかてない。主悪の根源を断つことはできないと。

 ならば、それならば、多くの未知、可能性にあふれた人間たちに我々の力を譲渡することでいつかあの竜を倒すことができるのではないかと。

 それがこの世界の始まりである。』


ここまでは有名な話だ。僕も小さいころよく母親に聞かされた話だった。そのころはただ純粋に戦士のことをすごいとしか感じていなかった。


「あの頃はなにもわかっていなかった…。」


 僕は本を閉じ目をつぶった。

 


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