表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
・・・  作者: 青斗輝竜
4/51

少年が生きていた理由

俺は花優の笑顔がとても素敵だと思った。外の景色を見ても何とも思わなかったし、人が笑ってる所を見てもこんな気持ちにはならない。


でもなぜか花優の笑顔はとても素晴らしいと思った。会ったばかりの人なのにこの人には笑顔がとても似合うと思う。


そんなことを考えていると扉の方から(コンコン)とノックの音がした。そして扉が開き誰かがこちらに向かって歩いてきた。「歩呂良くん失礼します」

と言う声とともにカーテンを開けられ1人の女性が入ってきた。


「先生……」


それは俺のクラスの担任の希翁(きおう)先生だった。

先生は安心したような顔で近くに置いてあった椅子を持ってきて俺の前に腰をかけた。


「歩呂良くん。本当によかった…一時はどうなるかと思ったんだから…」……と、ほっとしたように一瞬悲しそうな顔をした。


「あの…俺はなんで病院にいるんですか?」

そうだ、俺は屋上から飛び降りて死んだはずだ。

なのに、なんでこんなところにいるんだろうか…


「歩呂良くんが屋上から落ちた所を近くに住んでる人が見てて学校に連絡をくれたの。それで先生たちで駆けつけて急いで救急車を呼んでね。……本当はもう助からないかと思ったけど落ちた先が雑草がたくさんあってマットのようになってたのかもね。

骨折だけで済んだの。」


そうか……俺は下を見ずに飛び降りたのか……本当にバカだよな。それに誰かに見られていただなんて。そんなことを考えていると……


「ねぇ、なんであんなことしたの?誰かに押されて落ちたわけでもなさそうだし……もし死のうだなんて考えて落ちたならどうしてあんなことしたの?」


先生は怒りながらなのか、何かが怖いのか少しだけ声が震えていた。でも、俺が飛び降りる理由はあまり人に話したくないし、先生が知る必要はない気がするが……「どうしてなの?」と問い詰めてくる。


……これはさすがに答えないといけないのだろうか。それとも何か簡単な嘘でもついておくか?


……いや、これは言わないといけないのかもしれない。それに、ここにいる限り俺が逃げることはできないからな。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ