プロローグ
彩史さんから聞いた話によると……。
この世界は現実と見た目が同じというだけで、実際中身は似ていないらしい。
中身というのは人間関係や場所、時間などを指すようだ。
特にこの世界の不思議な事は『夢の夢が現実になる』ということ。
つまり、この世界で寝た時に見る夢はどちらかの世界で正夢になるとの事。
最初は全く信じていなかったが、実際俺は一回体験してしまっている。
過去にあった両親の交通事故。
それが俺の夢に出てきた。
本当にあったことや、現実に起こりそうな事以外の夢は見れないらしい。
あの事故は俺が自殺を図る前に起こった事だが、過去にあったのは事実だ。
ここに来てから、見た夢は三つほどだろうか。
両親の他界、誰かが自殺する夢。
そして――。
もう一つは思い出す事が出来なかった。
だが、嫌な夢ではなかった気がする。
そこにいてとても居心地が良いような……
「歩呂良くん? 」
「あ、うん。何? 」
「理解出来ましたか? 」
彩史さんが歩みを止めて俺の顔を覗き込んでくる。
内心、ちょっとドキッとした自分がいたがすぐに脳内をリセットして、コクコクと頷く。
……ってか今まで何考えていたっけ?
不意に呼ばれたせいか、考えていた事が全て吹っ飛んだ。
まあ、少しは脳を休めてリフレッシュなんかもした方がいいのかな。なんて事を思ったりしていると、前の方に学校が見えてきた。
俺の通っている私立の学校だ。
場所も見た目も何も変わっていない。
「行先って聞いてなかったけど、もしかして学校? 」
彩史さんは顎に手を当てて唸ったような声をあげてから、少しの間考えると、閃いたように目を見開いて。
「本当はただ外を歩きたかっただけなんですけど、ここまで来ちゃったのでせっかだし、私も久しぶりなので入ってみましょうか」
そう言って彩史さんは歩くスピードを早めて学校へと向かう。
俺は、彼女の後ろ姿を何秒か見てから数歩遅れて歩き出した。
彩史さんがなぜ『久しぶり』と言ったのか不思議でしょうがなかったから。
確かに彼女には気になることがあまりにも多すぎる。
自殺しようとしている――とか。
霊だった――とか。
挙句の果てには後、数日で消えてしまう――とか。
そんな俺と花優の仮説は、合っているのか間違っているのか。
それすらも分からなくなってしまった。
だが、彩史さんが言った『始まりました』という言葉がどうも引っかかる。
あれは彩史さんが自分の未来を表している、と仮定しよう。
俺が見た夢は誰かが、この病院から飛び降りるというもの。
それが彩史さんの未来を表しているというのなら、俺たちが考えてきた『彩史さんはもう死んでいた』
という説は嘘になる。
だから、彩史さんはまだ生きており(この世界にいるから現実での真相は分からないが)俺が夢を見てしまった事で自分の危機を感じてしまったのではないだろうか。
分からない。
何も分からない。
けれど一つだけ。
彼女に悲しい思いはさせたくない。
それだけはさせてはならない。
花優も同じだ。
絶対に誰もが悲しむ結果を残してはいけない。
そう誓ってから俺は彩史さんの横につき、学校へと歩き出した。
作者の青斗です。
まずはここまで読んでくれた皆様に感謝を…!
サブタイトルを見たら分かると思いますが、今回は「プロローグ」です。
皆さんの知ってるあの、プロローグです。
この物語はここから盛り上げて行きたいな。と、考えており、このサブタイトルにさせていただきました。
一話一話の文字数が少ないし、前までは不定期で更新してたし……。
読者の方々には申し訳ないと思っているのですが、それでもやっぱり、この文字数がいいんじゃないかと思う訳ですよ……。
だけど、せめて不定期更新は直したいと思い、今年に入ったばかりなので小さな目標を!
「一週間に一回は投稿する! 」
という目標を2021年は立てていきたいと思います
もし、この小説を楽しんでくれているなら…
もし、週一の小さな楽しみになってくれたら…
私は嬉しい限りです!
これからも
「自殺志願者、生を祈る少女に恋をする。」
をよろしくお願いします。
少年は自殺した。
それがこの物語の始まり――だった。




