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・・・  作者: 青斗輝竜
24/51

幽霊

今日は3日ぶりに望月さんが来てくれた。

けど、期待していた報告ではなかった。悲羅義という人が『彩史さんは死んでいる』と言ってから歩呂良くんの様子がおかしい。


いつもならこんなこと考えてそうだな、そう思えるのに今は何を考えているのか分からない。


きっと彩史さんが死んでいたという事実が受け止められないんだ。


……だってつい数日前に会っていた人が死んでいたなんて誰も想像がつかない。


……つまり私たちは幽霊と話していた。ということになってしまう。


でも、現実にそんなことがあるのかな?

なんで歩呂良くんの先生は彩史さんがまだ、生きているような喋り方をしていたのかな? 私には分からない。


でも、一つだけ私に分かることがある。あの日……彩史さんが来た日……彼女には足だけがなかった。

私は歩呂良くんも気づいているのかと思ってたけど、違かった。

『椅子から転びそうになったりしていた』と歩呂良くんは言ってたけどあれはただ単にバランスを崩しただけ。

彼女は死んでから椅子に座ったことがなかったからだと思う。……足がないんだもん。『背中を見せたりしてきた』とも言ってたけどあれは多分見間違え。

私は実際に見てないから分からないけど、彼女は服を着ている……というよりどこかに置いている……そんな気がした。


だから彩史さんには顔と腕しかなくて、歩呂良くんが見たという傷はきっとドアの近くのポスターのことだろう。

体がなくて服を上げた時に体が透けているから彼女の向こう側にあるポスターが偶然重なってそう見えたんだと思う。

……それでも私は歩呂良くんに言わなかった。

言いたくなかった。

だって……歩呂良くんなら自殺しようとしている人を助けようとするかもしれない。

そう思ったから。


ーーーーーーーーー


ーーーーーー


ーーー


「おい……! 彩史 愛夢って子。お前と同じ日に死んだんじゃないのか! 」

病室のドアを思い切り開け望月さんが走り込んできた。それでも、歩呂良くんは一瞬だけ見るだけで何も反応しなかった。


「だ……誰ですか。あんた」

いきなり来た人に困惑している悲羅義くん。


「お、俺は……警察官の……望月……っちゅうもんや……」


息を上げながらも呼吸を落ち着かせながら自己紹介をする望月さん。それから望月さんは少しの間、呼吸を整えて、


「夢似くん……どうして俺に嘘なんて着いたんだ? 」

腕を組んで怒ったように望月さんは歩呂良くんを鋭い目で睨んでいた。

歩呂良くんは何も答えない。


「今の歩呂良くんには時間が必要だと思います……私がお話をお聞かせしたいと思います」


だから、私が歩呂良くんの代わりにお話をしてあげようと思った。


「そ、そうか……じゃあ花優ちゃんに頼もうかな」

望月さんは私が話しかけると笑顔になって照れたように鼻を啜る。……なんでちょっと顔赤くなってるんだろう……。


「はいっ! 」


「え……誰、このvery cuteな子……」


悲羅義くんはものすごく何言ってるか分からないから無視しとこうかな……そう思って目を逸らす。


「え……? 俺、目逸らされた? まじ? なんか心の奥底に興奮しているもう一人の俺が目を覚ました気がするのは気のせいか……? 」


何か一人で考え事をしながらブツブツ言っていた。……この人を相手にすると疲れると言っていた歩呂良くんを思い出してあまり喋らないようにする。

だって……本当に疲れそうなんだもん。


「実は……彩史さんは亡くなってからこの病院に来たんです」


私は亡くなってからこの病室に来た彩史さんについて話をすることにした。


「そんなバカみたいなことあるんか? 」


望月さんは私に疑いの目を向ける。

……誰だってそうだ。死んでた人が会いに来るなんてありえない。


「でも……」


私はその言葉を言おうとして口を閉じる。

今まで生きてきたこの場所を……

私の好きな居場所を……

変な場所だと思わせてしまうと思ったから……

でも、こんな変な場所でも歩呂良くんなら一緒にいてくれるのかな?



あの人は一緒にいてくれる。

私に迷いはなかった。

だから……私は口に出す。


「でも……ここは病院ですよ? もし、ここで亡くなった人が幽霊になって私たちの所に来てもおかしくないですよ? 」


私は……本当は言いたくなかったことを言った。

私は……霊感がある訳じゃない。


でも、人が亡くなってから少しの間この病院では幽霊が見える……そういった噂がある。


でも、幽霊が見えるのはこの病院に好感を持っている人だけ。楽しい……とか面白い……とか、病院では思わない感情を持つ人の所に現れる。


……私はもう何度も幽霊みたいな人達を見てきた。

変かもしれないけど、怖いとかそういう感情はない。

……ただ、可哀想だなって。

それだけ……


「幽霊って……花優ちゃん。幽霊なんて信じてるんか? 」


こんなに私が真剣な顔で言っても望月さんには信じてもらえないらしい。望月さんは私を幽霊を信じてる小さい子供のようだと思ってるんだ。


信じてもらえてない?


……なら信じさせればいいんでしょ?


彩史さんが亡くなってからまだ44日。


四十九日には後5日ある。


……なら。


「彩史 愛夢さん。歩呂良くんに顔を見せてあげたらどうですか? 」

私は言う。

何もない壁の方に向かってーー

私ですら何も見えない所に向かってーー

あの人がいるような気がしてーー

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