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第四話:魔王軍の残滓

勇者が魔王を倒して全世界に平和が訪れました。

しかし魔王軍のすべては全世界に散っています。

彼らが如何にして生き延びたかをちょこっとだけ書きます。

「腹減ったなあ~ぁ~」

グレートドラゴンの与助は尻尾をピタンピタンさせた。

「よせよ、ドラゴンは食わねど高楊枝よ」

ワイバーンのヴィクトールⅡ世は答えた。


ここは人里離れた深山のとある山麓だ。

そこにドラゴン達がたむろしていた。


「う~んポリポリ」

「腹を掻くな、腹を見せて上を向くな!それは服従の仕草だぞ」

「だってきもちいいんだも~ん」

「これだから最近の若ドラゴンは……」


そこへ巨大なダブルドラゴンのムスタファが現れた。

「腹減った」と右。

「腹減った」と左。

「分かっとるわ」とヴィクトールⅡ世。

「しかし腹減ったなあ」と与助。


勇者が魔王を倒した時、魔王軍は全世界で孤立した。

ある者は討伐され、ある者は山に逃げ込んだ。

こうして全世界が闇から解放され、たのはいいが魔物は困っていた。


軍隊の時は兵站支援部隊があり、衣食住は保証されていた。

魔物は全身が武器であるから、全身全霊で戦っていればよかった。

しかし敗戦となるとそうはいかなかった。

補給は細くなり、やがて途切れてしまった。作るより壊すのが得意だからだ。

魔王が倒されて、すべての指揮系統も消え去った。


 ここに与太っている彼らもドラゴン電撃隊として最前線で戦った強者(つわもの)である。


彼らは神獣である。

彼らが食料に困って飢え死にする事は無い。

洞窟の中で何千年でも休眠すればいいのである。

しかし、腹が減るのは如何ともしがたいのだ。


「俺たちはグレートドラゴンやぞ」と与助。

「グレートドラゴンがグレとったらシャレにならんわ」

「や、やめれ……笑うとすきっ腹に響く……」とヴィクトールⅡ世。

「ヘ……ヘタなシャレはやめなシャレ……」

「ぶわっはっはっは……うぐっ」

「あ、死んだ」

「死ぬか、ツッコミじゃい」

うつろな目のダブルドラゴンのムスタファ。

「いやしかし」と右。

「なんだ」と左。


「もう我慢できん!」とダブルドラゴン。

ズッシーンッ

巨躯を唸らせて羽を広げたダブルドラゴンは空に舞い上がった。

「ダブルウィングッ!!」


いや……いちいち言わんでもいい。

技でもなんでもないし。


「おおーい、待たんかーい」

地竜のサラマンダーが追っかけたが追い付けない。


「はは、腹減った」

サラマンダーはかなり追ったが伸びてしまった。

お腹を空かせたドラゴンはとうとう旅立ってしまいました。

もう食欲で理性が吹き飛んでしまった神獣です。

どんなことでもするでしょう。

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