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第三話 なぜ中世風異世界が知識チートで変貌したか

第一回では現実世界の帝王切開について説明しました。

第二回では魔法術を組み合わせた帝王切開を紹介しました。

第三回ではなぜ中世風異世界が知識チートで変貌したか説明します。


中世風異世界の現状

医学の知識は以下の如くです。

01)医療占星術

02)瀉血治療

03)浣腸治療

04)酸で焼く

05)焼きゴテで焼灼する

06)煮えたぎった油を染み込ませた布で包む

う~ん、やはり恐ろしいですねえ。

目をつぶれ!歯を食いしばれ!うぎゃあああ!は地獄の苦しみです。


現代医学と比較して足りないものは以下の如くです。

01)麻酔がない

02)顕微鏡がない

03)消毒剤の知識がない

04)感染症の知識がない

05)人体解剖の知識がない

06)抗生物質が発見されていない

07)血液循環の知識がない(血管吻合しない)

注:血管結紮による止血法が確立されていない

08)注射器がない(中空細管製造技術が確立されていない)

う~ん、抗生物質どころか赤チンもありません。えらいことです。

今ならコンビニに売ってる薬剤もありません。ひえ~です。


技術的前提は以下の如くです。

01)鍛冶屋があって冶金が出来る

02)水車があって水力が使える

03)陶磁器があって1200℃ー1500℃の火力の維持の知識がある

04)木炭や石炭を使っている

05)硝石の鉱脈がある

06)麻酔に必要な植物が生えている

あるいは01)~06)に代わる魔法術が存在する

中世風異世界は異次元の惑星であり、大陸があり、通商が始まっている前提です。

ですから採掘さえ出来れば地下資源が、輸入さえすれば材料原料が手に入ります。


さてどこまで中世風異世界で手術の実現が可能でしょうか?

注射器を例にとってみましょう。

当たり前に使っている注射器はどのようにして作られるのでしょうか?

01)手術にはシリンジ(注射器)がどうしても必要です

02)それには注射針(ニードル)が必要です

03)針製造は冷間圧延鋼鈑を曲げ加工して接合部を溶接し伸延加工します

04)冷間圧延には前段階として原材料の熱間圧延工程があります

(圧延荷重は5000トンです)

05)原材料のスラブ製造には銑鋼一貫製鉄所が必要です

(製造費は一兆円です)

06)製鉄所には鉄鉱石とコークスが大量に必要です

07)原材料の鉄鉱石を鉱山から搬出する大量輸送手段も必要です

08)耐熱レンガと蓄熱レンガを大量に使用して高炉と蓄熱炉を建造します

09)高炉ガスを処理する圧力パイプ及び容器が必要です

10)それには圧力に耐える継目無鋼管の製造が必要です


うーん、知識チートとして注射器が欲しかったのに大規模な技術が必要ですね

 多分現代の知識で現代の方法で知識チートしたら、製鉄所だけで国が二つ三つ滅びます。

 中世は人口と食物がマルサスという学者が言う所の「マルサスの罠」にはまった状態なのです。

食物が少なく餓死や病気が蔓延していて人口が増えず、ずっと横ばいでした。

 食物の生産を上げようにも土地は有限で人口は幾何級数的に増える傾向があります。

その結果、また人口は増えるのをやめるのです。

現代の豊かな時代はマルサスの罠を抜け出た状態なのです。


ではどうしたら中世風異世界は変貌するのでしょうか?

そこで現代にいない方々の登場です。

知識チート+技術チート+魔法術+異人+魔物を駆使して異世界産業革命です。

実は魔物や異人の皆さんは人間界の様々な業界で働いている前提にしています。

もちろんその魔術や異能力をフルパワーで駆使して働いているのです。


製鉄所には高炉のコークス燃焼温度を上げる熱風を蓄熱する熱風炉が二つ必要です。

交代で稼動する為に二つが二つで四つ必要な場合もあります。

「二つで充分ですよ」「分かってくださいよ」

え?誰ですか今の。そこのドワーフの親方でしたか、脅かさないでくださいよ。


さて話を戻しますが、この製鉄所には熱風炉も熱風を吹き込む矢口もありません。

 そのかわり火竜サラマンダーが2000℃の高炉の中でファイヤーブレスを吐いて温度管理しています。

 ここではその温度管理をしている火竜のサラマンダーさんにインタビューしてみます。

サラマンダー「どうもです」

わたし「温度管理はどうされていますか」

サラマンダー「底部2000℃~上部200℃の温度勾配で管理させていただいています」

わたし「暑くないですか?」

サラマンダー「火竜ですから平気です」

わたし「アルバイト中にありがとうございました」

サラマンダー「どうもです」

以上は精神感応で高炉内でバイト中の火竜さんに聞いてみました。


高炉で出来た銑鉄には炭素分が多く残っていて脆いです。

これを転炉で空気を底から注入して炭素分を燃焼させます。

この時の酸化熱(燃焼熱)のため熱補給は必要ありません。

こうして出来た溶鋼を連続鋳造工程にまわします。

スラブ、ブルーム、ビレットという中間素材になります。


ここでは板金中間素材のスラブを追ってみます。

四段式圧延機の稼動現場にやってきました。

たくさんのトロールさんが圧延機のそばで働いてらっしゃいます。


トロール「どうもです」

わたし「ここでの圧延荷重はどのくらいですか?」

トロール「5000トンです」

わたし「ひえ~、重くないですか?」

トロール「愚問です、力仕事は大好きです」

わたし「アルバイト中にありがとうございました」

トロール「どうもです」

トロールさんに愚問とか言われちった……。

以上は精神感応で圧延バイト中のトロールさんに聞いてみました。


スパイラル鋼管の製作現場にやってきました。

 アーク溶接担当のテスラさんとフォーミング成形担当のトロールさんに聞いてみます。

テスラ「どうもです」

トロール「ちっす」

わたし「仕事のやりがいはいかがですか?」

テスラ「電圧をメーターの緑の範囲に入れるにはちょっとしたコツがあるんです」

テスラさんは電撃を得意とする異人さんです。

 アーク溶接では安定した電圧と電流が必要ですのでコンデンサーと変圧トランスを介して作業をされています。

トロール「成形ロールにかかる力加減はオレにしか出来ないっス」

わたし「ありがとうございました」

ここのトロールさんは昔ちょっとやんちゃな感じだったような気がします。

以上こうして能力を最大限に生かして品質が保たれているんですね、わかります。


人間と魔物さんたちの共同作業で製品がどんどん出来上がっています。

 出来た冷間圧延鋼鈑はプレス機にかけられて丸くなり継ぎ目を溶接され中空鋼管になります。

このあと30-40工程伸ばされて細い中空鋼管になるのです。

先をグラインダーで尖らせて注射針の完成です。


 こうして知識チート+技術チート+魔法術+異人+魔物で中世風世界は変貌したのです。

次回は魔物と人間の共存社会ができたきっかけです。


第四話魔王軍の残滓。

魔物は魔王軍として統率され行動していました。

しかし魔王が勇者によって討伐され、指揮系統は崩壊。

魔物達はなーんにもできない魔獣に堕落してしまいました。

その顛末を書こうと思います。

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