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第二話 異世界帝王切開

第一回では現実世界の帝王切開について説明しました。

第二回では魔法術を組み合わせた帝王切開を紹介します。


術前


1)麻酔について

白魔法には麻痺魔法があります。

該当する脊椎の神経をブロック麻痺させます。

麻痺の魔法には持続時間に制限があり、魔力には力量に限界があります。

 帝王切開手術時間は魔法を用いると大幅に短縮されますので、術者には辛抱してもらいます。

利点はピンポイントで麻痺によって麻酔効果が得られる点でしょう。

また魔法ですので消失も一瞬です。

魔法による麻酔はデルマトーム図を参照して行います。

これは脊髄分節の支配する皮膚知覚を図にしたものです。

知覚を消失していれば麻痺魔法が効いている証拠です。


2)抗生物質

現実世界では抗生物質の分子式の構造が真正細菌の細胞壁の合成を阻害します。

これが選択的殺菌作用となり人体に無害、細菌に有害な魔法の弾丸となるのです。

魔法で構造式を模倣して真正細菌の細胞壁の合成を阻害します。

元祖「魔法の弾丸」というわけです。


2)術野をヨードで清潔にする

ヨードは天然ガスの坑井から得られるかん水に含まれます。

これを精製濃縮して使用します。

つまり魔法は無しです。


術中


3)縦(正中)切開して開腹する

皮膚、皮下脂肪、筋膜、服直筋、腹膜と切開します。

魔法は使いません。


4)筋膜の切開法は症例をみて判断する

5)子宮下部横切開を行う

魔法は使いません。


6)先進部の圧迫により胎盤の厚さが薄くなっている部位を切開すると出血が少ない

出血の程度により子宮の収縮を魔法でサポートします。

子宮が収縮する事で自然結紮となり出血が収まるからです。

 多胎妊娠で子宮収縮不良(子宮が伸びきってしまい収縮する力が無い)を認める時には、大量出血がある場合があり、出血が多い場合は子宮動脈上行枝を筋層ごと結紮します。

超迅速で行いますのでここで魔法を使います。

子宮内充填法他はここでは遅いので行ないません。

次に卵巣動脈を卵巣固有靭帯で結紮します。

次に子宮動脈本幹を結紮します。

出血が止まったら縫合です。


7)子宮縫合は膜の保護の観点からなるべく腹腔内で縫合する

 縫合はカットグット(動物腸)等の溶ける縫合糸で行うのですがここで魔法の登場です。

縫合と治癒魔法で同時に閉腹していきます。

治癒魔法で子宮筋層の傷が完全に閉じたら結紮を総て開放します。

 子宮(2層縫合)、腹膜、服直筋、筋膜、皮下脂肪、皮膚と逆の順で縫合と治癒魔法を施術します。



8)状態を確認し閉腹する

 閉腹した後は治癒魔法を解除、麻酔の為の麻痺魔法も解除、抗生物質の代わりの「魔法の弾丸」は留置します。

魔法のすごいところは治っている事です。

帝王切開は児の娩出まで3分、縫合閉腹に45分といわれています。

魔法手術は児の娩出まで3分、縫合閉腹に10分かかりません。

 しかし手術侵襲による生体への変化は起こっていますので注意が必要なのは同じです。

また腹腔内を暴露した事による感染症への恐れも同じように残っています。


9)抗生物質は術後感染予防の観点から術後3日は投与する

白魔法の魔法使いが3日間付き添います。

ここんとこが問題です。

抗生物質は発見精製しておいたほうがいいかもしれませんね。

白魔法の使い手は徹夜ですから。


バイタル省略しました。

以上が異世界帝王切開でした。


次回は異世界がなぜ突然知識チートで変貌したか説明します。

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