プロローグ 悠里なる故郷からの追憶にて、
なろうでは初投稿ですので、どうぞお手柔らかにおねがいします。
聞こえてくる――――がらろん、がらろん、がらろん。
耳を劈いて――――がらろん、がらろん、がらろん。
村ひとつを巻き込む勢いで――――がらろん、がらろん、がらろん。
鐘楼の、あらゆる終わりを告げる鐘の音が……。
響き渡る――――ろぉん……ろぉん……ろぉん。
肌寒さを伴って――――ろぉん……ろぉん。
黄昏時の、薄暗い空間でもって嘲笑われるかのように――――ろぉん……。
残響が……。
僕を愛し最期まで僕に笑顔を振りまき続けた、慈しみで満ちた僕にとって唯一の、ひと。
――――は、もう、僕の足元。
目の前で棒切れが突き刺さった小丘には土が、こんもりと。
何も感じなくなった目を閉じると、頭でなく、心で考えてみた。
静けさが訪れて、ちょっぴり寂しくなったあとで、目を開けた。
気付けば辺りは真っ暗で、一寸先には光すら通って、ない。
僕を愛してくれる、あの優しい笑顔を振りまくひとも、いない。
あの人の声も、雰囲気も、吸い込むと心安らぐ匂いすらも、ない。
もはや、僕の中で、あの人を繋ぎ止められるものは、ない。
思い出も、ない。
愛着も、ない。
心残りも、ない。
最期に、あの人が言ってくれた言葉も思い出せ、ない。
僕は、ここには、居、ない。
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