プロローグ1
おかしい。
明らかにこの状況はおかしい。
俺は確か学校に行く途中でトラックに轢かれ意識を失ったはずだ。
そこまでは良い。いや良くないけどこの際もうどうでもいい。
それが何故イスに座っているんだろうか。
この謎空間も気になる。
どこだここ。
真っ白じゃん。
しかも出口がない。
それどころか天井はないし、地面も真っ白だ。まるで宙に浮いてるような感覚。
そしてなにより気になるのが俺の前に座っている男だ。
整った顔立ちに、清潔感のあるスーツ。そしてメガ
ネ。
柔らかい表情といい、いかにも優男といった感じだろうか。
「こんにちは。意識ははっきりしていますか?僕の声は聞こえていますか?」
男が口を開く。
「え、あ、は、はい!」
思わず声が上擦る。
「そんなに緊張しなくても大丈夫ですよ。」
優しそうな声。少し緊張感が和らいだ。
しかし、だからと言ってこの状況がなんなのかはわからない。
俺は気になっていた事を聞いてみた。
「ここはどこで、俺はなんでここにいるんですか?」
と。
男は答えた。
「驚かないで聞いてください。あなたは交通事故で死にました。しかし、あなたの人生は本来ここで終わるはずではなかった。」
男は続ける。
「理由はわかりませんがあなたの運命は変わってしまった。本来なら魂を体に戻して蘇らせるところですが、あなたの体はもうありません。なのであなたには異世界に転生してもらいます。」
………意味がわからない。
死んだら天国か地獄かじゃないのか。
てか、いきなり転生とか言われても困る。
すごい困る。
具体的には……えーと…うーん………やべぇよ何も思いつかねぇよ。
考え込んでいると男がまた口を開く。
「しかし、近頃転生者による事件が増えて来ているんです。例えば人を襲ったり、殺したり。魔王の手下になって世界を滅ぼそうとしたり。」
「そうした事件を未然に防ぐために転生前にカウンセリングをさせて頂くきまりになっているんです。」
なるほど。理解はできた。が、納得は出来ない。
「いきなりこんなとこ呼び出されて死んだから転生とかカウンセリングとか言われても意味わからないんですけど!?」
「だいたい、カウンセリングって精神に問題のある人が受けるやつでしょ?俺が受ける必要あるんですか?」
男が答える。
「そんなに難しく考えることはないですよ。ただ元の世界への心残りとかそう言ったものを取り除き、新たな世界で普通に暮らせるようにするために行なっているだけですので。」
「それでは、カウンセリングを始めます。」
次回でプロローグ終わるつもりです。