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世界感の説明になります。
誤字・脱字・誤植や意味不明な箇所があればご指定お願いします。
この世界には、“海„は無い。
いや、それは事実でもあるが正確な表現ではない。
“海„と呼ばれるものは存在する。
但し、青く透き通った魚達の泳ぎ回るそれではないのだ。
テレビ、冷蔵庫、電子レンジといった生活家電。パソコン、プリンター、スキャナー等の事務用品。改札機、自動販売機、凡そ個人で所有していないような工業機械に至るまで。
ありとあらゆる“機械ジャンク„が広がり、青海のそれの如く波を描いて揺蕩う。
──“ガラクタ„が描く異様な“海„
それが、この世界に存在する唯一無二の海。
海水が存在しないため地球のように当たり前の降雨は無く、何故か海と同様の機械ジャンクが作る川は存在する。
どうしてジャンクに埋もれた世界となったのか……それはどんな資料にも記されていない。ただ、この世界の常識ではそういうものだと思って欲しい。
しかしそうなると、全く水源が無い世界なのか。そんな疑問が頭を過ぎるだろう。
答は否。極々小規模であるが、水を湛える湖が存在する。
生物が生きる為には水が必要不可欠であることは地球と変わらない。
湖の水源で生き存える程度の人口の内は良かった。しかし、次第に人類が発展を遂げると当たり前のように人口密度は増していく。
当然、希少な水源を奪い合うことになり争いは絶えなかった。
ここで、もう2つこの世界の常識を追加させてもらう。
1つ目は種族について。
この世界には3つの種族が存在する。
先ずは、人間。
地球上のそれと変わらないのだが、人間の子に突然変異として額に角を持つ者が産まれることがある。
この有角人種は“鬼子„と称される。
人間に比べて頑強な肉体を持つ彼らの角の数や大きさは疎らだが、その角を折られて仕舞うと衰弱し、やがて死に至る。
そんな弱点である角でも利点がある。角で対象を『突く(触れる)』ことで様々な『能力』が顕現するのだ。無機物を有機物に変換したり、火を興したり、対象と念話のようなことが出来たり、傷を癒したり。概ね1人1つの能力を持っている。
角の大きさにより能力の強さは変動するが、魔法のように強大な力がある訳ではなく精々大規模な手品の演出程度のものでしかない。
真に『魔法のような能力』を扱えるのは“神子„と呼ばれる人種だろう。
人間と鬼子の間に奇跡的な確率で生まれ落ちる種族で、見た目は人間と大差がない。
しかし、その見た目に反して鬼子より遥かに強大な『能力』を顕現させることが出来るのだが、まるでバランスをとるかのように神子の体は脆弱であることが多い。『能力』を使い過ぎれば更に生体機能は低下してしまう。
それでは、水資源の枯渇に喘ぐこの世界のヒエラルキーのトップに君臨する種族はどれか。
簡単に考えるならば、鬼子だろう。種として屈強であり、特殊な能力ももっているのだから。
しかし、実際は鬼子は底辺にいる。他種族と明らかに異なる外見から、畏怖の存在として忌避されてしまったからだ。数の暴力には抗えず、その多くは差別の対象となっている。
では、神子ではどうだろう。圧倒的な力を持つ神子だが、人間と被差別種族の鬼子との間にしか産まれず更に確率も低いとなるとやはり数で圧倒的に劣ってしまう。
故に、ヒエラルキーのトップに君臨しているのは世界人口の8割近くを占める人間であった。
だが、人間がその地位を不動のものにしているのは数の多さだけが所以ではない。彼らはつくることに長けていたのだ。
『人間は、水を精製する技術を独占している』
正確には、『人間が造る精水機』からしかクリスタルから水の精製をすることが出来ないのだが…
ここで、この世界の常識の2つ目を説明しなくてはならない。資源についての説明だ。
この世界での資源はエネルギーの結晶体─クリスタルが基本となっている。当然、宝石とされる水晶とは別物で宝石の方は『石水晶』と呼ばれている。この物語でクリスタルや単に水晶と称されるものはこのエネルギー結晶体を示すということを念頭に置いてもらいたい。
話を戻そう。
クリスタルの多くは鉱石と同様、鉱山などから採集されているが『海』や『川』などにジャンクと共に流されているものもある。
また、クリスタルはいくつか種類が存在する。動力クリスタルは全ての機械を動かす為に使う電池をイメージして貰えればわかるだろうか。次に採掘されるのは熱や冷気、光などを内包した一般に生活クリスタルと呼ばれるもの。食生クリスタルと呼ばれるものは水と塩の2種類しかないのだが、人工クリスタルとして栄養素が詰め込まれているだけのものもある。他にも種類はあるのだが、希少に過ぎる為割愛させてもらおう。
クリスタルは種類ごとに色が異なり、純度が高ければより澄んだ色に、逆に純度が低い場合は色がくすんで見える。『精製機』を介してその名称に沿ったものを精製することが出来るのだが、純度によって得られる量は格段に違ってくる。勿論、精製機の精度にもよるのだが純度の高いクリスタルが有用なのは紛れもない事実だ。
ただ、生活クリスタルはこの精製機を用いずとも僅かに恩恵を得ることが出来る。
熱クリスタルであれば触れた箇所がほんのりと温かく、光のクリスタルも蓄手元を確認する程度の光源を得られる。精製に使用クリスタルは徐々に消失していく為、貧困層では精製に使用せず生活クリスタルの僅かな恩恵に縋って生活している者も多い。
そして、この精製機。特に水を生産するための『精水機』が問題なのだ。何故か、水を精製する機械を作り出したところで人間以外の種族が水を精製することが出来ない。紛争が起きる以前から精製機の技術は確立されていたのだが、過去歴史上に鬼子や神子が精製機を用いて水を精製出来たことは一度として無かった。
そして、起こった紛争。
鬼子や神子は、その能力を以てして高い武功を上げた。
上げてしまった。
人間とは、欲の深い生き物だとはよく耳にする。権力のある者ならば、その地位が脅かされることは想像を絶する恐怖なのだろう。
“鬼子や神子は、神に見放された異端の種族だ„
そのような権力者の思惑が横行した。
争いによる資源の不足、大切な者を失った憤り。様々な要因が重なり、鬼子は身分を追い落とされた。その見た目と相まって被差別種族にまで堕ちてしまったのだ。
どんな善人であろうと、人間の罪人や奴隷と同じ。時としてそれより悪辣無比な扱いを受けることが当たり前となってしまった。時折、そんな環境から逃げ出した鬼子が人里離れた場所で作った集落で細々とした安寧を得られることもあったという。
同じプロパガンダの被害を受けたはずの、“神に見放された„とされながら“神„の名を抱く神子はどうなのか。その扱いは残酷で、人間の利己的なものでしか無かった。
見た目こそ人間と同じなのだから、鬼子が人間に贖罪する為に神が与えた命なのだろう。
当時の権力者達はそう宣い、神子を幽閉してその能力を酷使させた。能力を使い過ぎれば神子は衰弱する。更に、能力の使用を拒む神子は劣悪な生活環境に貶めた。そうなると脆弱な体の神子はどちらにせよ衰弱してしまう。結果として権力者による搾取を受け入れることになった。
極僅かに、彼等を受け入れる地域も存在する。
プロパガンダを受けることの無かった辺境や、元々彼等を信仰の対象としていた集落程度ではあるのだが。それが、少しでも彼等の希望になればと願わずにいられない。
話が逸れてしまったが、この世界の概要は以上だ。
まだ疑問に思うことも多々あるだろう。それは、物語が進む内に解かれていくものだと期待して読み進めて欲しい。
拙い語り部が紡ぐ物語の行く末と共に
説明回のせいか、文章がなんか固い…
文体は崩れる恐れがあります←
あらすじに記載しましたが、プロット無しで進めております。
キャラ名とか容姿とか考えるの苦手なので、何か閃いたら教えてくださっていいんですよ!←
月2更新の予定で頑張りたいと思います。
素人ですが、生温かく見守りくだされば幸い。